たんげ温泉・美郷館その5 木工館
美郷館は木にこだわる旅館。木挽き職人の林以一(はやし・いいち)氏が挽いた木がふんだんに使われている。
林氏は次のように語っている。
「群馬県の沢渡温泉の近くにある美郷館という温泉旅館は、総欅造りとし、各部屋にも各種銘木をふんだんに使った、とても立派な旅館です。ここの木は足かけ3年、都合200日ぐらいかけて、私と、相棒の力ちゃんが挽いたものなんです。ここの社長は高山さんと言って、じつは材木会社の社長さんでもあります。ですから木のプロです。日頃から、これはという木があったら買い集めておく。この人もいい木があると惚れ込んじゃう人です。私らが挽いたときも、まだどんな旅館にするかっていう具体的な構想はなかってと思いますよ。とにかく、いちばん価値の出る形に挽いてみて、それから使い方を決めたんだと思います。このときの欅は樹齢300年、400年級の立派なものばかりでした。挽いた端から売ればずいぶん儲かったんでしょうけど、それを売らずにあえて、7年も8年も寝かしておいて、自分で旅館を建てちゃった。はっきりいって、これだけいい木を使った旅館というのはそうそうありませんよ。~~~美郷館は、仕事に関わったということを抜きにしても、ここが今まで、私が行った中でいちばん気に入っている宿です」(小学館 『木を読む』より)」
旅館には木工館が併設されていて、この道40年の関木酔さんが木の工芸品を作っている。くつべら(2000円)とくつべら立て(3000)を買った。
檜で作ったくつべらは、目の通りが良すぎて、縦に割れてしまうことが多い。これに対し、彼が選んだのは夏椿。旅館で使ったとき、頑丈で、今まで使ったくつべらのなかで一番はきやすかったので、つい買ってしまった。
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