NHK連続テレビ小説「ファイト」
NHKの連続テレビ小説「ファイト」が始まった。
群馬県を舞台にしており、県も応援しているので、ぐんぐんまの著者としては、見ないわけにはいかない。
最近の連続テレビ小説ははずれが多いので、ちょっと心配しながら初回を見たが、ヒロインの木戸優(本仮屋ユイカ)はさわやかだった。
木戸啓太(緒形直人)、木戸亜沙子(酒井法子)という若すぎる両親がまたさわやかだ。
観光ガイドのように群馬をきれいに紹介していた。高崎市、嬬恋村などが出てくると素直にうれしくなる。
連続テレビ小説はスタジオでの撮影が多いような気がする。初回は群馬の景色がふんだんに出て、光輝いていた。
初回を見て次回以降に期待が持てた。
高崎競馬は廃止されたのに・・・などと言わずに、馬を愛する優ちゃんを応援しよう。
なお、NHKのホームページに作者である脚本家の橋部敦子さんの言葉があった。
ヒロインは15歳です。「将来」が楽しみだと周りから言われる年齢です。しかし、ヒロインとその家族の生活は、ある日、一変し、「将来」が見えなくなってしまいます。 たとえ将来が見えなくても、「今」を生きていかなければなりません。たとえ今、何をしたらいいのかわからなくても、「今」を生きていかなければなりません。でも、「今」できることを精一杯やっていれば、きっと「将来」に夢や希望を持てる ―― そう信じて生きていくことができたら……。そんな願いを込めて、この15歳のヒロインの物語を書きたいと思います。
(追記1)
取引先の大手商社の不正を新聞記者に話したのがきっかけで木戸バネ製作所の工場に注文がまったく来なくなった時点での感想。出演者の台詞、ふるまいにリアリティーがあってとてもよい。過去2回の朝ドラはまったく現実感がなかったが、「木戸優」は自然。ドラマだからストーリーは大胆であってほしいが、こんなときにこんな反応する?と思うような不自然なやりとりはドラマをしらけさせる。それぞれの立場、思いがよく出ている。
(追記2)
母親と長男が四万温泉に行き一家が別れ別れになった時点での感想。まだまだリアリティーを保っている。母親が四万温泉に働きに出ても、父親が深夜のごみ分別の仕事で体を壊しそうになっても、高校生は部活の毎日。まだまだ本当の現実と直面せず、モラトリアム状態の木戸優。さて、これからどうなるのか。NHKの大河ドラマでも主人公が若い時は新鮮なのだが、後半、陳腐なドラマに陥ることがよくある。これから、このドラマの真価が問われる。
さて、ブログをしていながら、トラックバックの仕組みがよくわからなかったが、ヤボ夫さんが「ファイト」を熱く論じているので、トラックバックにはじめてチャレンジする。
(追記3)
うう、また泣けた。
学校に行けなくなった優。当然父親は学校に行かせようとする。母親も四万から戻り、優が学校に行けなくなった理由を見つけようとする。母親の親友、琴子は優に悩みを打ち明けられているから理由は知っているが、優と約束したからといって理由を明かさない(えらい!)。高校の先生は仲間はずれの事実は知っていたが、無力だ(事実を知っているだけで良い方だ)。
厩舎を訪れた母親は厩舎のおやじさんに聞く。「馬がなぜ気が高ぶっている理由、わかるんですか」。
おやじさんは言う。「わかんねえ。けど、気持ちはわかる」。
これこれ。
我々は理由を見つけることに汲々として、相手の気持ちをわかろうとすることが少ないのではないか。理由がわかっても解決できないことは多い。気持ちがわかればそれで十分ではないか。
母親はそれに気づいた。
優の気持ちを理解して、「つらかったね」という母親。
母親の気持ちと優の気持ちがひとつになる。
うう、本当に涙が出た。
(追記4)
四万温泉に母親と一緒に住み始めた優。仲居をしたいと言い出すが、両親は強く反対する。勝手に旅館を回り就職活動をするが18歳未満は採用していない、仲居は募集していないと断られる。
最後は仲居になるのだろうが、高校生が仲居、というストーリーはかなり抵抗感があり、現実味がない。それをどうリアリティを出すか。話の展開は止まっているが、ゆっくり話を進め、違和感のないように脚本を作っているようだ。
優は「とりあえず高校に行き、とりあえず大学に行き、とりあえず就職する。それがとりあえず安心だからいいの?私はとりあえずじゃなく、やりたいことをやってみたい」と母親に言う。
とりあえずの人生、結果オーライの人生を送ってきた私としては耳が痛い。
(追記5)
ファイトは人間の描き方が面白い。登場人物は必ずどこかの回で主役となる。四万温泉に本当に疎開したことのある児玉清は駒乃館の主人として疎開時代を優に語る。酒井法子は一時、完全にヒロインを食っていた。しかし、極めつけはこの回だろう。残念ながら見逃したので、この方のブログを参照してほしい。
(追記6)
売れっ子のインテリアスタイリスト、琴子を手伝うことによって、仕事の厳しさを学ぶ優。琴子に「仕事の10のうち9はつらいことばかり」と聞き、なんでそれでも仕事を続けるんですか、と尋ねる。
菅井きん演じる一人暮らしのお年寄りの部屋を改装することになった。ラフスケッチを見て喜んだお年寄りだったが、改装の当日、「やめて」と涙を流す。「おじいさんとの思い出を壊さないで」というのだ。ここで3流ドラマだったら、改装をやまるのだが、琴子はお年寄りに頭を下げる。「まったく別の部屋になっても思い出は必ず残しますからやらせてください」。
改装が終わった。おじいさんが使っていたふとんや碁盤をうまく盛り込んだ改装にお年よりは満足した。
仕事が終わり乾杯する優と琴子。優は「10のうち9はつらくても楽しいこと、うれしいことが1あれば、そのために仕事ができるんですよね。ソフトボールもそうでした。練習はつらかったけれど・・・」と琴子に話しかける。
ここで「そうなの」とか、琴子に言わさない脚本がいい。琴子は優の話など聞かずにすでに眠りについていた。
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