新町屑糸紡績所(新町)
10月20日、新町(屑糸)紡績所の初めての見学会があり、参加した。
新町紡績所は現在カネボウフーズの新町工場として操業を続けており、ふだんは中を見ることができないが、臣町紡績所が富岡製糸場と並ぶ日本の産業近代化の拠点であったことから、富岡製糸場と組み合わせて世界遺産登録を目指すことになり、見学会が催された。
富岡製糸場で繭から生糸をとり、高級な桐生織物などに使った。これに対し、新町屑糸紡績所では3-5cmの長さの屑糸(生糸をとった後の繭をつぶしたりしてできたもの)を紡いで絹糸を作った。これは、大衆的な伊勢崎銘仙などに使われた。
富岡製糸場開設が明治5年。その5年後の明治10年7月に官営工場として開業した。日本人技術者のみで構想から建設までが行われた日本最初の洋式工場として価値が高い。
建設の総指揮を任されたのは佐々木長淳。実際に建設にあたった大工の棟梁は山添喜三郎。
山添は厳しい大工で、瓦屋から買った瓦は一晩水に浸け、水分を吸いすぎる瓦を不合格としたため、倒産する瓦屋もあったと、見学会でエピソードが披露された。
紡績工場の建造物は建設当時のまま残っていることが県などの調査で今春、判明し、9月に新町工場の従業員OBや商店などが「よみがえれ!新町紡績所の会」を設立、保存運動を開始した。
なお、富岡製糸場と組み合わせて世界遺産登録を目指している県内の施設は以下の通り。
島村養蚕農家群× 伊勢崎市境島村
荒船風穴× 下仁田町屋敷
高山家住宅(旧高山社)× 藤岡市高山
郷原養蚕農家群× 安中市郷原
小幡上野養蚕農家群× 甘楽町小幡・上野
赤岩養蚕農家群 六合村赤岩
富沢家住宅 中之条町大道
薄根の大桑 沼田市石墨
碓氷社本社本館 安中市原市
新町屑糸紡績所× 新町
桐生本町建造物群× 桐生市本町
碓氷峠鉄道遺構 松井田町
岩鼻火薬製造所× 高崎市岩鼻町
旧中島飛行機本社工場× 太田市スバル町
中小坂鉄山跡 下仁田町小坂
(注)×は文化財保護法の各種指定や、市町村の文化財指定などを受けておらず、文化財としての保護がまだなされていないもの。
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