« 猿川温泉・水沼温泉センター | Main | とうとう東京 »

富弘美術館(勢多郡東村)

 富弘美術館(勢多郡東村大字草木86、0277・95・6333 )は、わたらせ渓谷鉄道神戸駅から東村営バスで10分のところにある。
 星野富弘さんは、1946年、群馬県勢多郡東村生まれ。1970年に群馬大学を卒業し、中学校の教諭になるが、クラブ活動の指導中、頸椎を損傷、手足の自由を失う。しかし、1972年、群馬大学病院入院中、口に筆をくわえて文や絵を書き始める。
 そんな富弘さんの作品を集め、富弘美術館が1991年、生まれ故郷の勢多郡東村に建設された。
 昨年4月には「新富弘美術館」が開館した。
 クルマで国道122号を進んでいくと、右手に、建築家のヨコミゾマコト氏が設計したモダンな美術館が見えた。草木湖のほとり。富弘さんが愛した東村の自然と一体になった建物だ。
tomihiro001
 シャボン玉をイメージしたという正方形の建物は、円筒状の大小33の部屋にあつまった廊下も柱もまったくない造りになっている。時計回りとは反対にサークルを回っていくと、展示室1→2→小展示室→展示室3→展示室4→小展示室2、とひと通り展示が見られる。各展示室の壁や床は作風に合わせて少しずつ変えており、照明は、作品保護のため、紫外線フィルターや照度の低い中でも作品を見やすくする色温度補正フィルターなどを使用しているという。
 館内は、美術館の許可を得て撮影させてもらった。
tomihiro002
 一つひとつゆっくり作品を見る。この感動は一体何なのだろう。絵と言葉が心に直接語りかけてくる。
 小菊(1980年)の詩が気に入った。
 愛 
 よろこびが集ったよりも
 悲しみが集った方が
 しあわせに近いような気がする
 強いものが集ったよりも
 弱いものが集った方が
 真実に近いような気がする
 しあわせが集ったよりも
 ふしあわせが集った方が
 愛に近いような気がする
 
 富弘さんのいくつかの詩に感動して、ミュージアムショップで星野富弘全詩集Ⅰ、Ⅱを買ったのだが、活字を読むよりも、富弘さんの直筆と絵による表現は直接心に響く。富弘さんが一つの作品を仕上げるのにだいたい10日から15日かかる。どんなに無理をしても2時間くらいしか筆をくわえられないという。
 そんな絵や文字には力がある。人を押さえつけるような力ではなく、人の心の奥深くに直接語りかけてくるような力だ。詩の内容はもちろん、すばらしいのだが、そのビジュアルの力の強さを感じる。
 
 キダチベコニア(1985)の詩も好きだ。
 見ているだけで
 何も描けず
 一日が終った
 こんな日と
 大きな事をやりとげた日と
 同じ価値を見出せる
 心になりたい

 いのち(1986)
 いのちが一番大切だと 
 思っていたころ
 生きるのが苦しかった
 いのちより大切なものが
 あると知った日
 生きているのが
 嬉しかった

 思わずポストカードと額も買ってしまった。
 ぜひ、絵と詩を間近で見て、富弘さんと語り合ってほしい。

 県内のいくつかの美術館に行ったが、すばらしい空間に、力のある作品が展示された富弘美術館は別格だ。
tomihiro003
 カフェの自家製シフォンケーキ(400円)と水出しコーヒー(400円)もおいしかった。

 入館料は大人500円。開館時間は午前9時から午後5時まで。4月~11月末日までは無休。12月~3月までの月曜日、12月26日~1月4日までは休館。

| |

« 猿川温泉・水沼温泉センター | Main | とうとう東京 »

Comments

以前 行ったとき(3年くらい前でしょうか?)カフェなどはなかったような記憶ですが ステキなカフェができたのですね。

アタシも星野さんの絵、言葉にはいつも感動してしまいます。泣きそうになってしまうのです。自分のその時々の状況で 心に感じる作品もまた変わってきますね。

またココに行きたくなりました。。

Posted by: ★青りんご☆ | 2006.01.16 09:35 AM

竣工間もない頃、ヨコミゾマコトさんの設計の展示を青山で見ました。円形の珍しいプランで面白いなと思っていました。
写真で見ると、大自然に抱かれたロケーションがまた魅力のよう。
ぜひ訪れてみたいところですね。

Posted by: BUNNY | 2006.01.16 06:20 PM

>★青りんご様☆
 男なので「感動」と書きましたが、実は、「泣きそう」になったのです。
 現代のアートは見る人間を突き放したようなものが多いですが、書いてあること、描いてあることは一見、わかりやすい富弘さんの詩と絵は、それ以上の何かを伝えかけてきますよね。コミュニケーション力とでも言うのでしょうか。アートはコミュニケートできないとだめなのではと感じました。

Posted by: フーテンの中 | 2006.01.17 06:48 AM

>BUNNY様
 内外のコンペを勝ち抜いたデザイン。コンペの模様が一冊の分厚い本になっていました。
 過疎路線のわたらせ渓谷鉄道沿線にこんな文化があるなんて驚きでした。
 ぜひ来てください。

Posted by: フーテンの中 | 2006.01.17 06:51 AM

はじめまして。
自分も昨年の秋、夫婦で新・富弘美術館に行ってきました。それ程混んでいる日ではなかったので、落ち着いて富弘さんの作品を見ることが出来ました。
富弘美術館も昨年末、来館者が500万人を突破したそうですね。

Posted by: ぐんまの夢見人 | 2006.02.11 09:20 AM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 富弘美術館(勢多郡東村):

« 猿川温泉・水沼温泉センター | Main | とうとう東京 »