伊豆の踊り子ゆかりの宿、湯ヶ野温泉・福田屋
熱海からそのまま東京に帰るのはもったいないので、伊豆の秘湯に行くことにした。
日本秘湯を守る会の宿は静岡県では3つ。その中から福田家(静岡県賀茂郡河津町湯ケ野236、0558・35・7201)を選んだ。
川端康成が一高生のときに3日間、泊まったのが福田家。そこで、踊り子の一行を目にする――。
熱海で10時11分発のJR伊東線、伊豆急下田行きに乗車。11時43分河津着。七滝経由修善寺行きの東海バス
に乗り、15分で湯ヶ野に着く。
湯ヶ野温泉入り口。
伊豆の踊り子の文学碑を目指して数分歩くと橋があり、橋の先に福田家がある。
福田家に向かって橋の右を見ると左手に文学碑がある。
橋の左をみると左手に踊り子たちが昔入浴した共同浴場がある。
福田家の玄関。
踊り子の像。
事前に連絡したところお風呂は10時から17時まで日帰り入浴できるという。
二つの風呂があり(どちらも入浴料700円)、泊り客は時間によって、どちらかを選ざるを得ないが、昼過ぎに行ったのでどちらも入れる。
まず、岩風呂・露天風呂に入ることにした。
温泉はナトリウム・マグネシウム・塩化物泉。源泉の温度は62.5℃。
岩風呂は温度が高い。
これに対して、露天風呂は外気でぬるくなっており、これがかえってちょうどよく、長湯ができる。
1時間以上、露天でのんびりとした。林の中で空気もきれいだ。久々に、山の中の温泉を楽しんだ。
旅館では昼食が取れないので、バスどおり沿いにあるうなぎの田丸家(静岡県賀茂郡河津町湯ケ野192-7、0558・35・7016)に行った。
うな重とビールを注文。
一休みしてから、また福田家に行った。
今度は榧(かや)風呂の番だ。明治12年創業以来のお風呂だ。
この浴槽はすばらしい。四万温泉の積善館や道後温泉本館のような、歴史のある風呂場は、念入りに造られていて、その造りでも癒やされる。榧(かや)風呂もそんな感じのお風呂だ。
かけ流しの熱い湯に浸かり、心身が活性化した。
温泉を満喫し、ようやく関心が伊豆の踊り子に向かった。
橋を渡って旅館の右の方へ行くと文学碑がある。
文学碑の前にあった説明書きの文章を引用しよう。
伊豆の踊子
『伊豆の踊子』は、ノーベル文学賞を受賞された川端康成の代表作であります。
康成は孤独な学生生活の中で、一人、傷心の伊豆の旅に出て、天城峠に茶店で娘を連れた旅芸人の一行に出会い、共に連れ立ち、幾重にもつづれ織りなす天城路の美しさと、初々しい踊子の明るさ、清らかさに心を引かれていく、『伊豆の踊子』のほのかなロマンは天城路の描写と共に、名作と言われるゆえんであります。大正七年十一月のことで、二日、三日、四日とこの地に宿泊したときのことが物語の中心になっております。
『伊豆はあらゆる風景の画廊である』―と康成はこよなく伊豆を愛されました。
康成は明治三十二年六月大阪に生まれ、昭和四十七年四月他界、七十二歳でした。世界的な文豪としてその名は不滅であります。
川端康成文学碑保存会
康成が福田家に3日泊まった時の2階の部屋。
福田家の前の橋もロケに使われた。
踊子の一行が入浴した共同浴場。当時は露天だったようだ。
今は住民しか利用できない。
共同湯から福田家の方を見ると、康成が泊まった部屋からこちらを見通せることが確認できた。対岸に見える共同湯の前に立った踊り子の裸姿にびっくりしたというのは本当のようだ。
湯ヶ野温泉でゆっくり過ごした。15時48分発河津駅行きのバスに乗り、16時16分発のJR特急スーパービュー踊り子10号(大宮行き)に乗った。パソコンの路線案内だと、熱海で新幹線に乗り換えることを勧めるが、池袋までそのままいけるので、3時間弱乗っていくことにした。19時過ぎに池袋に到着。
温泉あり、文学散歩ありの、予想以上に楽しい1日旅行だった。
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Comments
伊豆の温泉ってまあまあな印象が強いのだけど、ここよさそうですね。手がしびれるので、温泉に行きたいです。
Posted by: 賽目 | 2007.06.19 03:33 AM
手がしびれるのは首筋が原因だったりするので、この温泉の露天で1時間くらい寝て過ごすといいかもね。
この温泉は当たりでした。
Posted by: フーテンの中 | 2007.06.21 04:58 AM