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映画『クライマーズ・ハイ』


 映画『クライマーズ・ハイ』を見た。
 配給 : 東映、ギャガ・コミュニケーションズ
 上映時間 : 145分
 監督・脚本 : 原田眞人
 原作 : 横山秀夫
 脚本 : 加藤正人、成島出
 出演 : 堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努

 NHKドラマ「クライマーズ・ハイ」に感動。横山秀夫の原作も読んだので、映画にはとても期待していた。しかし、土日は何かと忙しいので、なかなか見られない。そこで平日の夜、新宿三丁目のシネコン「新宿バルト9」(東京都新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル9~14階、03・5369・4955)に行って、見た。
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 新宿バルト9は、ホームページによると、「最先端のデジタル上映システムと音響設備で、臨場感あふれる作品鑑賞を楽しめ」る映画館。
 具体的には①美しさが違う、全館デジタル上映(日本初、9つのシアターすべてにデジタルシネマプロジェクターを設置。どのシアターでも、デジタル上映ならではの臨場感あふれる鮮やかな色彩をお楽しみいただけます。総席数1825席)②本物そのまま、リアルサウンド(圧縮を一切用いない、製作スタジオそのままのサウンド再生を実現した<バルトゴールドシアター>を採用。音にこだわる映画通の方の期待を裏切らない、最高水準のサウンドをご体験ください)③疲れ知らずのゆったりシート(身体工学に基づいて開発された<バルトリラクゼーションシート>を装備。心地よく体にフィットし、疲れを感じることなくシネマワールドを堪能できます)――などが特長。 
 初めての映画館に行けて、良かった。
 作品について。
 堤真一をはじめ、俳優は熱演だった。
 谷川岳をはじめ、映像はとてもきれいだった。
 前橋商店街をはじめ懐かしい場所がたくさん出てきて楽しかった。恐らく、あの料亭は小松ではないか。レストラン ポンチも出てきたような気がする。
 それだけでも、群馬のエンターテインメント作品としては及第点なのかもしれない。
 しかし、この映画を、原作やNHKドラマを全く見ずに、今回、初めて見た人はどう感じたのだろうか。
 例えば、悠木はなぜ、長男の淳に会おうとしなかったのか、なぜ燐太郎とは何年もしてから山に一緒に登ったのか。
 なぜ、悠木は特ダネにゴーサインを出せなかったのか。
 「オオクボレンセキ」と聞いて、すぐに「大久保連赤」が思い浮かぶだろうか。
 クライマーズ・ハイは新聞社内でのやり取りと谷川岳登山のシーンだけでも相当な時間を要する。145分では、原作で取り上げた要素をすべて盛り込むことは無理。それは分かるが、当然、伝えるべきことは伝え、そのうえで映画監督としての個性を出すべきではなかったか。
 逆に、原作やNHKドラマをしっかり記憶にとどめている私は、「映画の監督は必ずしも原作通りにストーリー展開する必要はない」ということを理解しつつも、監督が付け加えた部分には余計な枝葉が多く、原作やマスコミというものをあまり理解していないのではないかと感じた。
 NHKのドラマについて、私は、つぎのように書いた。

 原作に、悠木のデスクワークのシーンがある。
 「まずは不必要な部分をばっさり切った。次いで、危ない箇所を削り、前後を繋げながら文章を整えていく・・・中  略・・・最上級の抜きネタに贅肉はいらない。骨格だけをひたすら際立たせるのだ」
 ドラマはまさに削り込んだ原稿のようだった。悠木の子供の頃の体験、安西が倒れた理由、個々の記者のエピ ソードなどはドラマでは描ききれなかったが、かえって、切れ味鋭いストーリーになったような気がする。
 
 今回の映画はNHKドラマが削った悠木の子供の頃の体験を中心にすえていた。「お前んちの母ちゃんさ、パンパンなんだってなあ」と子供の自分に言われた記憶。それも、悠木の親子関係を描くうえでは必要なのかもしれないが、悠木と社長の関係や、特ダネを掲載するかどうか迷う場面を描く際に無理に関連付けるのはいかがなものか。
 ワンマン社長と悠木の関係は、編集と営業の対立や社内抗争の延長線で描けばよく、特ダネを掲載できなかったのは、夜回りの感触程度で「これが真実だ」と書くには対象があまりに大きく、恐怖心が出てきた故であり、母親についての記憶と関係があるとは思えない。
 
 越えなければならない山の捉え方が私と原田眞人監督とはまったく違った。原田監督はそう解釈したのだから、それでもしかたがないのかもしれない。しかし、パンパンをしていた母親の話が中心に来ると、初めて見た人は何がテーマの映画か分からなくなったのではないか。悠木が社長に寵愛され、寵愛から逃れようとしている?そこで山に登り、おりる?う~ん??
 悠木の秘密、安西の秘密、社長の秘密・・・。クライマーズ・ハイをミステリーのようにしてしまった結果、登場人物の心の動き、感情がうまく描けず、なぜ、部長と悠木は特ダネの場面で仲直りしたのだろう、なぜ佐山は特ダネの場面で逡巡したのだろうと、クライマックスでも考え込んでしまうような映画になった。

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Comments

映画って、みんな気負いがあるのだと思います。とくに最近の映画はそうだと思います。ドラマと映画のちがいはなにか、の自問ゆえでしょう。

新聞と雑誌はやっぱりちがうものだと思います。新聞のほうにぼくの根っこはやっぱりあるようです。

削り込んだ原稿、いまやっています。クライマーズ・ハイになっているかもしれませんが、ただ気持ちが悪くなってくるだけです:)

Posted by: さいのめ | 2008.07.23 at 04:12 PM

あなたはクライマーズ・ハイじゃなくてチューハイでしょう(笑)

Posted by: フーテンの中 | 2008.07.24 at 08:39 AM

こっちにはチューハイないんだよなあ:) NHKドラマのほうのビデオが見たい!

Posted by: さいのめ | 2008.07.24 at 11:21 AM

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