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小池良次著『クラウド』を読み、ユビキタス時代に思いを馳せる。

 小池良次著『クラウド~グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図』(インプレスR&D、1800円、2009年3月1日発行)を読んだ。

Koike_ryoji
クラウド

 検索エンジンのグーグルが途方もないことを考えている、ということで、とても面白かった。

 クラウド・コンピューティングは2008年のIT業界の流行語らしい。

 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』は次のように説明する。
 クラウドコンピューティング(cloud computing)とはインターネットを基本にした新しいコンピュータの利用形態である。ユーザーはコンピュータ処理を、ネットワーク(通常はインターネット)経由で、サービスとして利用できる。
 クラウド(雲)はネットワーク(通常はインターネット)をあらわす。従来より「コンピュータ・システムのイメージ図」ではネットワークをクラウド(雲)であらわす場合が多く、それが由来と言われている。
 クラウド・コンピューティングの形態で提供されるサービスを「クラウド・コンピューティング・サービス」または単に「クラウド・サービス」、そのサービス事業者を「クラウド・サービス・プロバイダー」または単に「クラウド・プロバイダー」などとも呼ぶ。

 小池氏は『クラウド』第三章でグーグルの巨大投資を紹介する。これが同社の次世代事業「クラウドコンピューティング」のインフラ(基盤)整備につながる、というのだ。

 「グーグルは、何億人というユーザーが同時にソフトウェアを利用しても耐えられる巨大データセンターを準備している。それにはNASAのような巨大コンピューター設備の管理技術や原子力発電所による電源確保、そして世界の通信大消費地に広がる光幹線網が必要だ。そして、それら幹線網を結ぶ海底ケーブルもなければならない。グーグルは、ソフトウェアがコンピューターから解放され、インターネットを自由に飛び回る世界を予測し、インターネット世界の中を巨大なソフトウェア流通システムにしようとしている。そのための巨大なハードインフラを着々と準備しているわけだ」。

 「最先端のソフトウェアはハードウェアから逃れ、OSから解放され、データフォーマットの束縛からも、いま逃れようとしている。最先端のソフトウェアは、インターネットで必要なときに必要なプログラムを呼び込み、誰にも意味がわかるデータフォーマットを使って処理をする」。

 こうした時代の変化を背景に「グーグルはインターネット時代のソフトウェア最大手を目指している」という。

 小池氏は「クラウドコンピューティングについては、よく次世代データセンター(仮想化技術)事業だけ、あるいはアプリケーション(サーズSaaS、ソフトウェア・アズ・ア・サービス)だけをとりあげる専門家やマスメディアが散見される。しかし、両者が一体となって初めてクラウドビジネスが成立する」という。
 
 グーグルのように両者を整備する企業は少なく、その意味でグーグルの強さは際立っている。

 本書は第七章で「クラウド時代へのロードマップ」を示す。2010年ぐらいから普及が進み、2015年ぐらいから時代を席巻する成熟期と向かうのではないかと予想する。
 
 卑近な例で言えば、路線検索の「駅すぱあと」は昔、ソフトをインストールして使っていたのでダイヤ変更のたびにバージョンアップしなければならなかったが、今はインターネットのサイトで利用できる。一事が万事こういう状態になり、個人がネット上でスーパーコンピューターだって利用できるようになるのかもしれない。
 さまざまな端末がネットにつながれば、端末間の差異もなくなってくる。いつでもどこでもインターネット経由でいろいろなサービスが利用できるユビキタス時代が目前に迫っているのかもしれない。

 そのときの主役がグーグルでいいのか、日本企業はどうするのか、という疑問だけが残った。

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