世界ICTサミット2010~圧巻だったUstream(ユーストリーム)、Evernote(エバーノート)、セカイカメラ(Sekai Camera)の開発会社トップが語るモバイル&クラウド
東京・大手町の日経ホールで開かれた「世界ICTサミット2010 クラウドが変える情報社会」(主催・日本経済新聞社、総務省)の講演を聴いた。圧巻だったのが15時10分からのセッション2「モバイル・クラウドの波頭」。
クラウドはそれ自体を論じてもあまり面白くない。クラウドというプラットフォームを使って何ができるか、何が変わるかを考えるのが面白い。クラウド時代の名プレーヤーたちを集めたディスカッションは、クラウド時代だからこそ生きるモバイル、モバイル時代だからこそ注目されるクラウドを的確に論じ、とても刺激的だった。
セッションのパネルは、キーノートも担当したUstream(ユーストリーム)共同創業者兼CEOの ジョン・ハム氏と、エバーノートCEOのフィル・リビン氏、頓智ドットCEOの井口尊仁氏で構成した。
セッションを追う前に、それぞれの会社と、トップに関する予備知識を得ておこう。
フリー百科事典「ウィキペディア」によると、「Ustream(ユーストリーム)とは2007年の3月に設立されたアメリカの動画共有サービスである。ユーザーによる略称はUST、ユースト。ライフキャスティングやライブビデオストリーミングなどのプラットフォームを提供する、さまざまチャンネルネットワークで構成されている。動画視聴者とのチャット機能や、視聴者から投票を受け付ける機能などがある」。
日経電子版2010年4月17日付コラム(フリーライター竹内亮介氏)によると「米国発のオンラインサービス「Evernote(エバーノート)」は、文書や画像、音声といったさまざまなデジタルデータをネット上に自動で整理して保存し、自分だけのデータベースのように使える。パソコンはもちろんスマートフォンなど複数の機器で利用できるのも特徴で、これまでボイスレコーダーやデジタルカメラ、パソコンなどと使い分けていた仕事をスマートフォン1台でこなせるようになる」。
そして、頓智ドットは、iPhone上で動作する拡張現実ソフトウェア「セカイカメラ(Sekai Camera)」を開発した企業。ウィキペディアによると、「セカイカメラを起動すると、iPhone内蔵のデジタルカメラによって目の前の景色が画面上に映し出された上に、その場所・対象物(建物・看板など)に関連する「エアタグ」と呼ばれる付加情報(文字・画像・音声)が重ねて表示される。エアタグはユーザーが自由に付加することができ、ユーザー間で共有される」。
講師略歴(パンフレット、ホームページより)――。
ジョン・ハム氏はカリフォルニア州リバーサイド生まれで、Ustream共同創業者の一人であり、CEOです。同氏は、2007年3月にウェストポイント(アメリカ合衆国陸軍士官学校)で知り合ったブラッド・ハンスタブル及び技術面の開発者であるDr.ジュラ・フェヘルと共同でUstreamを設立しました。同氏はオピニオン・リーダーとして、全国放送協会(National Broadcasting Association)、 Web 2.0 エクスポ、デジタル・ハリウッド、オルウェイズ・ワン、ストリーミングメディア、レッドヘリング100等で重要な発言を続けています。
同氏は若くして起業に興味を示し、16歳で株式投資やオプション取引を始めました。ウェストポイントでは、アメリカ航空宇宙局とニューヨーク証券取引所のインターンシップに参加。航空宇宙工学の学士を取得してウェストポイントを卒業すると、アメリカ陸軍で少尉に任じられ、韓国に配属されました。在韓陸軍在籍中に同氏は指揮官となり、のちに第19戦域支援司令部(19th TSC)司令長官の補佐を務めました。
フィル・リビン氏は起業家でかつ経営者として、ネット関連の会社2社をその設立から経営的な成功まで導いた経験を持ち、さらに3社を支援し急成長させました。エバーノート入社前に、同氏はコアストリート社(Core Street)を設立し社長を務めていました。コアストリート社は現在では政府機関や世界中の大企業向けに電子証明や本人認証システムといった技術を提供するトップ企業の一つになっています。同社はのちにアクティブアイデンティティ社(ActiveIdentity)に買収されました。それ以前に、同氏はエンジン5(Engine 5)というボストンをベースとするインターネットソフトウェア開発の会社を設立しましたが、同社は2000年にヴィグネット社(Vignette Corporation)に買収されました。買収後も同氏は引き続き主席アーキテクト兼アプリケーション技術の責任者として勤務しました。
同氏は、ソフトウェアエンジニアとしてトレーニングを受け、ATG, Exchange Applications やEF向けに複雑なシステムを構築することからキャリアをスタートさせました。同氏は技術的なことについて、数多くのイベントにて活発に講演したり、ウォールストリートジャーナル、ニューヨークタイムズ、フィナンシャルタイムズ、エコノミスト、CNETなどマスコミに寄稿しています。2004年InfoWorld 誌において“イノベーターオブザイヤー”に選ばれました。彼は4つの技術特許を持つことから発明家と呼ばれています。
井口尊仁氏は、立命館大学文学部哲学科卒。ソーシャルネットの未来に魅了されて株式会社デジタオを1999年に創業。さらに現実空間のソーシャル化を志向して頓智・株式会社を2008年に立ち上げる。同年9月に「セカイカメラ」のコンセプトをTechCrunch50にて発表、その一年後に日本にてリリースし、2009年12月には世界77カ国に向けてセカイカメラをローンチ。未来ビジョンを現実化するための頓智に総てを賭ける毎日。
以下は、会場でのメモをもとにまとめた。
<キーノート〉Ustream(ユーストリーム)共同創業者兼CEOのジョン・ハム氏
初めに、「ライブの進化」の歴史をたどろう。
最初が、「同じ場所に全員が集まる」ということ。できるだけ多くの人が集まれるように、「スタジアム」というツール作った。東京ドームは5万人が集まれるが、ステージから離れた後ろの席だと、ステージのアーティストを直接識別するのは難しいなど、同時に集まることの限界もある。
ここに登場したのが、ラジオのライブだ。ラジオのトークショーは、視聴者参加を取り入れ、マススケールでインターアクティビティを実現した。
テレビは何百万人に動画を同時に送った。国全体で一つのものを楽しむようになった。そこに"コミュニティー"と言う感覚が生まれた。全国レベルでワールドカップを楽しむという体験は、単にメディアを消費しているわけでない。視聴者はコミュニティーを求めている。テレビの力は過去10年間、衰えていない。
そして、インターネットが登場した。
インターネットでどうライブを共有するのがいいのか。
3つのファクターがある。
一つがリアルタイム性だ(Realtime Web)。二つ目が社会的要素。誰と何をみたいのか(Social Web)。もう一つがモバイル(Mobile Web)。ライブがケータイでみられるようになった。
インターネットによって、何百万人が、同時にライブ体験ができるようになった。
Ustreamは、従来型メディアを補完できるメディアだ。従来型メディアとはwin-winのモデルを構築できる。
夜9時にテレビ番組があるとすると、その前に、ターゲットにオンラインで関連の番組を見せる。そうすると、多くの人がテレビ番組をみることにつながるのだ。
米国の事例だが、ABCの午後8時の番組の4時間前からターゲットとなる層に絞ったライブをUstreamで流した。補完的なコンテンツをつくった。ミュージシャンをバックステージでインタビューする。それが観客を魅了し、4時間の間に200万人を引き込んだ。
NBCもゴールデングローブ賞関連の番組をネットで1週間前から何回も流し、100万から200万人くらいテレビの視聴者を増やした。
映画会社とも協力した。AVATARやALICE IN WONDERLANDでプロモーションに協力した結果、公開初日の大量動員につながった。Ustreamとテレビや映画は相互補完的コンテンツなのだ。
モバイルでライブはどこにでも届く。テレビ、コンピューターと合わせた"3スクリーンアプローチ”がこれからは当たり前になる。Ustreamによって、ライブを誰もが誰とでもどこでも共有できるようになった。
<パネル〉
パネルは、ジョン・ハム氏に、エバーノートCEOフィル・リビン氏、頓智ドットCEOの井口尊仁氏が加わって行われた。モデレータは、小柳建彦日本経済新聞社産業部編集委員。
小柳氏はまず、ハム氏がIT起業家の中では異色の陸軍士官学校出身であることを紹介する。
軍隊はなかなか自分たちの姿を届けられないが、届けられるようにできないかと考え、ハム氏は技術者と、ウェストポイント(米ニューヨーク州オレンジ郡にあるアメリカ合衆国陸軍士官学校の通称)の同級生とで起業した。前回の大統領選挙ではオバマ陣営がUstreamを有効活用。日本でもIT関係者、若者たちにポピュラーな存在になった。
続いてエバーノートCEOフィル・リビン氏を紹介した。
シリアルアントレプレナー(連続起業家)といわれ、エンジン5、コアストリート社を設立した後、2007年にエバーノートにCEOとして招かれる。
エバーノートは2004年にサービスを開始した。動画から手書きのメモなどあらゆるデータをWeb上にストックするサービスで、中身は遡って検索できる。消費者向けモバイルクラウドサービスの一つだ。象のマークで有名。
エバーノートCEOのフィル・リビン氏のミニキーノート
ソフトウエア会社にとって、いまほどよい時代ない。エバーノートは3つ目の会社だが、クラウドがあるおかげで重要な変革生まれ、ソフトエンジニアビジネスを行うベストな時期になった。
The best product doesn't always win.
よく、このようにいわれるが、今の時代は、優れた製品つくることに集中すればよくなった。口コミのみでソフトが売れるからだ。物流、流通、マーケティング、顧客管理、サプライチェーンなどは、意味を持たなくなった。
Evernote is global platform for human memory.
エバーノートはメモや写真をストックする外付けの頭脳だ。
ソフトウエアはマック、スマートフォン…などに向け、9つのバージョンがある。
2005年の初頭に針リース。2年半で5万以上のユーザーを得るが、2007年7月に私が入社してから、デザインをやりなおした。
クラウドベースに2008年2月に変えたのだ。その後、ユーザーは3-4ヵ月で倍増した。デスクトップからモバイルまで、多くのプラットフォームに対応できるようになったからだ。
PCはウィンドウズ対応が49%、マック対応が38%。モバイルはアイフォーンが63%、アンドロイドが12%、アイパッドは発売されたばかりだがもう9%にまで構成比が増えている。
無償サービスと有料のプレミアムサービスがあるが、一つのプラットフォームしか使わない人より、二つのプラットフォームを使う人のほうが、プレミアムサービスを長期にわたって使う傾向がある。フリーミアム(Freemium)モデルがうまく機能している。
クラウドのメリットは何か。
一つは、開発に迅速に着手できる。開発期間も短い。パートナーシップを結びやすい。いろいろなアプリケーケーション、機能、をすぐにプラグインできる。いろいろなプラットフォームに対応できるので、口コミで伸びていく…。
続いて、小柳氏は頓智ドットCEOの井口尊仁氏を紹介した。井口氏はデジタオを1999年に創業。さらに現実空間のソーシャル化を志向して頓智・株式会社を2008年に立ち上げた。同年9月に「セカイカメラ」の構想をTechCrunch50で発表、昨年、その一年後に日本でプロダクトリリースし、2009年12月には世界77カ国に向けてセカイカメラのサービスをローンチした。iphone時代の申し子のような存在だ。
井口氏は英語でプレゼンテーションを始めた。
井口尊仁氏のミニキーノート
セカイカメラは、現実空間にエアタグ(デジタルなポストイット)を貼付けることでコミュニケートするソーシャルコミュニケーションアプリケーション。スマートフォンを「かざす」だけで、「その場所」「その時」に対応した情報をインターネットから取得し、カメラが映し出す現実空間に表示。ユーザー自身も自らタグをつけられる。アイフォーンでは100万以上ダウンロードされた。
興味ある場所でエアタグを見つけてほしい。みなさんの周りにある、たくさんのエアタグをみつけてほしい。もし情報が多過ぎるときにはフィルターを使えるし、自分が好きなようにエアタグを整理することもできる。バーチャル・エアシャウト(エアタグを空間に置くだけでなく、飛ばす)を友達に送れり、あなた自身のことを知らせることもできる。タグのブラウザでコメントをみたり書いたりすることもできる。観光客にとっては役に立つガイダンスになる。
ナイキやロエベ(スペイン)とのコラボレーションを始め、内外のいくつかの博物館では観光ガイドに活用している。
アイパッド用セカイカメラでは14の都市のローカルなエアタグをブラウズできる。
今後、Social+location+AR=SoLARを目指し、ゲーム開発者用API(Application Program Interface)もリリースする。AR Gamingで新しい価値を創造したい。
パネル
(以下ジョン=ジョン・ハム氏、フィル=フィル・リビン氏、尊仁=井口尊仁氏)
小柳
消費者向けクラウドサービスがモバイル使って広まっている。こうしたサービスを提供、開発している人に集まってもらった。
各氏に質問をしていく。Twitterからの声も選んで、ミニインタビューをしたい。
Q:まず、Ustreamはスピードが速いが、なぜか。
ジョン
インターネットでリアルタイムでビデオを共有する「ライブビデオネットワーク」を当初から目指した。インフラを作りライブビデオを動くようにした。インフラにはコストをかけ堅牢性を強めた。
Q:日本語の認識テクノロジーも近々出荷するのか。
フィル
やる予定。
エバーノートは手書きでも検索できるようにしている。
開発はアップル・ニュートンの時代まで遡る。数十年かけて開発した。
過去1年、日本語版を開発、これから数週間で日本語版をローンチする。
印刷でも手書きでも認識できるが、もちろん、完璧ではない。書いた文字は書いた本人でさえ読めないことがある(笑)。数ヵ月でより改善できるだろう。
手書きでもしっかり認識できるよう、手書きのサンプルを集めている。
クラウドで認識する。サーバーを使うわけだ。エバーノートは歳をとるほど認知能力が高まる。今、だめでも時間をかければ可能になる。毎年、毎年よくなっていく。子供の頭脳みたいなものだ。
Q:セカイカメラはアイフォーンでは100万以上ダウンロードされたというが、長期的ビジョンは?
尊仁
モバイルコンピューティングが立ち上がって、AR(拡張現実)を使ったサービスが可能になったが、ARはまだ揺籃期だ。どんどんモバイルクラウド革新されていかないと、対話性を高めたりするなどの個々の対応が十分にできない。アイフォーンは、話すだけのデバイスではない。この数年で大きな変化があるだろう。
Q:スマートフォンの登場はどんなインパクトがあったか。デザイン、ビジネスモデル、その影響など。
ジョン
スマートフォン登場以前のブロードキャストでのライブコンテンツは合格点以下だったが、スマートフォンの登場でライブコンテンツが見られるようになった。モバイルプラットフォームは
画期的に良くなった。視聴者の数大幅に伸びてきている。
フィル
エバーノートは、ウィンドウズ上でもそこそこ普及していた。1日300人前後が使っていたが、アイフォーンの登場で1日3万人が使うようになり、100倍になった。App Storeができたことが大きい。
尊仁
頓智ドットを初めるきっかけではあったが、セカイカメラ開発計画はアイフォーン、スティーブ・ジョブズに依存しているわけではない。今年はモバイルが主流になってきた画期的な年。新しいカテゴリーを提示する必要がある。
Q:アイフォーンVSアンドロイド。基本的違いは何?
ジョン
ライブなコンテンツはすべてのプラットフォームに対応することが必要で、Ustreamはアンドロイドにも、アイフォーンに対応している。
いろいろな違い、類似点があるので、それぞれ理にかなった開発をしたい。
アンドロイドは後発だが、オープンなプラットフォームという面では貢献している。
フィル
まずアイフォーン、その次がアンドロイドだ。
アイフォーンによって質の高い開発作業が容易になった。アプリケーションの見てくれが良くなった。ルックアンドフィールが良くなった。影響を受けて、ブラックベリーやノキアもよくなっている。
アンドロイドは2年目に大きな進捗があった。違いはアンドロイドがよりオープンというところ。これは強みでもあり、弱みでもある。
アンドロイドいろいろなタイプがあり、一貫性はない。
尊仁
アイフォーンはパイオニアで、重要だが、アンドロイドによって新しい拡張現実の世界も開かれると思う。
Q:アイパッドはまったく新しい媒体?デバイス?アイパッドバージョン開発するときどんなフィーチャーする?
ジョン
初日からアイフォーンアプリ使えるコンサンプションデバイス。
ただ、アイパッドはカメラがない。スクリーンサイズはいい。
フィル
アイパッドはすばらしいが、カメラがついていない。アイパッドにカメラついていないのはがっかりだった。カメラは非常に重要だ。
しかし、美しさを体感できるデバイスだと思う。「美しさ」「きれいさ」が新しいユーザーインターフェースだ。
アイフォーンアプリもあるが、ゼロから開発し、このサイズに切り取って印刷したらどうなるかを考えた。
エバーノートはいろいろなバージョンがあるが、エバーノートの中で一番美しいものができた。カメラがなくても、何十万人という人たちがアイパッドでエバーノートを使い始めている。
なお、6月24日に発売されると言われているアイフォーン4向けにエバーノートスペシャルバージョンを開発中だ。
尊仁
拡張現実を改善するデバイスだ。カメラはついていないがARが進化していく、カメラなくても
リモートエアーの機能をつけた。いろんな都市に行ける。コメントも共有できる。アイパッドにカメラをつければもっと大きな機能をつけられるようになるだろう。
アイフォーン4のカメラ、ジャイロセンサーは強力な拡張現実のツールとなる(アイフォーン4には3軸ジャイロセンサーが搭載される。ジャイロセンサーは加速度センサーと組み合わせると、前後左右上下の6軸の動きを詳細に検出可能。これにより、新しいタイプのゲームやアプリケーションの登場が期待される)。
Q:新しいデバイスについて。
フィル
アンドロイド電話は面白い。タブレットも面白い。いくつかプロトタイプみた。カメラもついていた。究極のデバイスになるかもしれない。
ただ、アンドロイドの場合、いくつかあるバージョンすべてがビューティフルになるかどうかはわからない。
Q:マックやPCはどうなる?
尊仁
愛しているけれども「マックよ、さようなら」かもしれない。
スマーフォフォンは、すべてのものを変えた。デスクトップPCは動かせない。
新しいARアプリはスマートフォンがなければできなかった。アイパッドにもカメラをつけてほしい。
フィル
私はPCもマックも、これからも生き続けると思う。
PC、マック向けにもエバーノートを出しているが使用率は増えている。
ラップトップの使用頻度は決して少なくなっていない。
例えば30秒以内しか使わないならばアイフォーンがいいが、5~10分使うならアイパッドがいい。10分以上ならラップトップを使う。
eメールもたくさん処理するならラップトップを使う。1本ならアイフォーンだ。
アイパッド、携帯、ラップトップすべてにアプリが乗っている。
いろんなプラットフォームは、どれも使い勝手がいいので、シチュエーションに応じて使われる。
ジョン
クライアントはシンになる。
PC、マックは関連インフラがたくさんあるから、なくなるとしても時間がかかるのではないか。
フィル
eメールでこれまでドキュメントを同僚に送っていたが、最近は、もっと簡単に、同僚の席まで行って、アイパッドを渡して「これ見て」と言う。物理的にアイパッド持ってっていって二人でこれを見る。アイパッドが出るまではこうしたことは不可能だった。これができる。スタートレックにはそういう場面あった(笑)。
社会的インターアクションが可能になった。自然にそうしていた。このようなタイプの現象が出てくると思う。
Q:ソーシャルアプリケーションがモバイル、ケータイに移行しているという見方があるが?
ジョン
ライブという意味では分かる。ライブは携帯のほうがキーになる。オバマの就任演説をどこででも、ライブで見たい。コメントを交換したり、就任演説に関してチャットする。
マイケル・ジャクソンの追悼式は600万人がUstreamに接続、7万5000件のチャットのラインがあった。ライブに関してはモバイルが重要だ。品質が上がり、接続性が堅牢になってくればさらに利用されるようになるだろう。
フィル
前提としてバイラル(viral)は必要だ。友人が使わないと広がらない。友人がいていっしょに
口コミで増えていく
Twitterのような過去立ち上がったサービスはバイラルで、ソーシャル性がある。
ただし、エバーノートにソーシャル性はない。頭の中の話だからだ。
バイラルはモバイルデバイスに帰着すると思う。
尊仁
ドラゴンクエストの最新版は、パスウェイコミュニケーションを重視していた。300万人以上が使って成立する。アイフォーンのユーザーももっと増えないとだめだ。デバイスメーカー、キャリアのアライアンスが必要かもしれない。
Q:ソーシャルネットワークは世界的に見ると利益をあげるのが難しい。一方でソーシャルアプリケーションを扱う企業は利益をあげている。アプリケーション vs Webの動向は?HTML5も提唱されているが。
ジョン
フラッシュは浸透率98%。Ustreamはフラッシュ、HTML5ともにサポートしたい。
フィル
これはすぐに決着がつくものでない。
ただ、バイラル性がないと利益はあがらない理由。
しっかりした製品を作ることが大事だ。
尊仁
HTML5はあまりセクシィではないが、みんなで力を合わせて進歩させていくべきだろう。
Q:誰が勝つか。UstreamはYoutubeとどう戦う?
ジョン アメリカではGoogleに対して恐れを抱いている企業が多い。しかし、いろんなUstreamはいろんなネットワーク、映画会社とパートナーシップが組みやすい。潜在的脅威は感じないはずだ。もちろん、いずれは対立するかもしれないが、新たな関係を築き上げwin-winの関係になりたい。
エコシステムを破壊していくより、協調性、調和とっていこうと考えている。破壊ばかり考えるころも正しい面もあるが、私たちにとってはメディア会社にも価値がある。
フィル
他の人がやっていることを気にしている時間がないというのが正直なところだ。
自分たちの製品をよりよくすることだけ考えている。ハイテクビジネスはゼロサムゲームではない。新しい価値を創出していこうというビジネスだ。
どちらかというと、グーグル、アップル、マイクロソフトよりも。小さい会社のほうが脅威だ。APIのパートナーは実は競合会社だ。競合他社とパートナーシップ結ぶとこちらにもユーザー入ってくる。
尊仁
アイフォーンがゴールではない。日本で、もっとよいデバイスがつくれると思う。
新しいアクティビティが実現できるようにがんばりたい。
20人の小さな会社だが、世界舞台に、アップルなどとも一生懸命戦い合う関係になって(アップル製品は好きだが)、いいものができる。Webとインターネットをわれわれ作ると言う気概をもって、上を見て、開発の最先端にいるようにしたい。
追記)2010.5.15 2日目の注目講演はグレッグ・パス 氏 ツイッターCTO 「Twitter, Technology, and You」。
講師略歴
グレッグ・パスはTwitter社エンジニアリング担当バイスプレジデントを経て現職。Twitterに入る以前は、サマイズ社CTO兼共同創業者、AOL社システム・アーキテクト、ツーフィッシュ社CTO兼共同創業者を務めました。
9時半から10時の30分の講演。Twitter初心者も意識しているので「今何が起きていますか?」「140文字」「モバイルで使ってもらうことを想定」といった基本中の基本の話から講演はスタート。面白かったのは「4つの原則」=timly、open、ubiquitous、relevantと、いくつかの数字。
timlyというのはリアルタイムということ。現在は毎秒2000ツイートが発信されて、600人がそれを聞いて(見て)いるという。
openというのは、16万の異なるアプリケーションがツイッター上で動いていること。すなわちopen technology。もう一つはオープンな情報という意味だ。
RTという“転送”機能で他のリスナーに転送できるので、情報の伝播も速い。
ubiquitousは「相互運用性」。日本は携帯メールが普及しており6500万ツイート(1日平均)の12%が日本のユーザーの発信だという。
relevantというのは一つは「迷惑なもの」「興味のないもの」をいかに排除できるかということ。
irrelevantな情報、すなわちスパムをいかに排除するか。
これに対してはTrust &Security teamがアルゴリズムでスパムを発見。排除している結果、一時は全体の9%がスパムだったが、今は1%以下になったという。
もう一つは各人が一番興味のあるトピックを効率的に出す仕組みで、対応技術の開発を進めている。
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