iPhone日記)モバイルコンピューティングは都会のファッション?
「アイフォーンやアンドロイド携帯、ネットブック、キンドル、デジタル・フォトフレーム、そしてアップルの新しいタブレット型メディア端末など、次々と登場する多彩なモバイル・コンピューティングは、従来のデスクトップ・コンピューティング(机上の情報処理)という狭い枠組みを破壊し、情報処理の対象を広大な実空間における多様な領域へと開放する」
「モバイル・コンピューティングとは、全生活空間における私たちの活動を支援してくれるものだ」
小林雅一著『モバイル・コンピューティング』(PHP研究所)を読んで、iPhoneによって、まさに新しい世界が開けると期待した。
ところが…。
高尾山でEvernote for iPhoneを使おうと思った。
ボイスメモ、カメラなどが使えれば便利だからだ。
ところが、電波が通じていないところでは、この情報収集ツールの画面さえ現れない。
クラウド上にノートを保存できないところではボイスメモや撮影さえできないのだ。
これでは、デスクトップ・コンピューティングの延長から一歩も出ていない。単に自宅ー会社間の移動時に使うツールに過ぎない。
IT用語辞典 e-Wordsによると、モバイルコンピューティング 【mobile computing】とは、「移動中、あるいは外出先でコンピュータを利用すること」だという。
なるほど、その程度のことだったのか…。
しかし、USTREAMは電波が通じない所でも iPhoneに録画しておいて、あとでアップロードできるし、クラウドサービスのDropboxもオフライン状態でもとりあえず、そのデバイスに保存しておくことはできる。ネットが通じなくなったときに、何もできなくなってしまうというアプリケーションはモバイル全盛時代にはつらい。
ところが高尾山では、Evernoteが使えないどころか、USTREAMで短い動画を4本撮ったりしただけなのに、iPhoneの電池が切れてしまった。
山などアウトドアではSmartphoneはひ弱だ。従来のデジタルカメラやICレコーダーがやはり、力を発揮する。
電波が通じるエリアということではWiMaxなども頼りない。
東京都内では便利に使えるが、この夏訪れる四国でのサービスエリアを見ると県庁所在地くらいしかカバーしていない。ルーターも2時間くらいですぐに電池切れになる。地方ではまだ、使えないWiMAX。
将来計画されている携帯端末向けマルチメディア放送も人口が少ない地域はカバーしないようだ。
本来モバイルに「人口カバー率」といった概念はなじまないはずなのに、人口カバー率が通信インフラの投資の目安にされることが多い。モバイルに必要なのは「地域カバー率」のはずなのに…。
IT用語辞典 e-Wordsは、ユビキタスコンピューティング 【ubiquitous computing】については、こう説明している。
「生活や社会の至る所にコンピュータが存在し、コンピュータ同士が自律的に連携して動作することにより、人間の生活を強力にバックアップする情報環境」。
「モバイル」の究極の姿はユビキタスなのかと思っていたが、インフラ整備の効率が悪いといった理由で、「モバイルコンピューティング過疎地」が相当できそうだ。
都会でだけ使えるお洒落なアイテム。 iPhoneがそうならないことを祈る。
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