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FPN、徳力 基彦、渡辺 聡、佐藤 匡彦、上原 仁著『アルファブロガー~11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから』(翔泳社)その2

Alpha_bloggers
アルファブロガー

 FPN、徳力 基彦、渡辺 聡、佐藤 匡彦、上原 仁著『アルファブロガー~11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから』(翔泳社、2005年10月20日発行)を読んだ。

 草の根投票企画「日本のアルファブロガーを探せ2004」が実施され、2005年2月に「ベストイレブン」と「セカンドチーム」の合わせてトップ20のブログが選出された。本書はこの「ベストイレブン」へのインタビュー集だ。

 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、「アルファブロガーとは、影響力のあるブロガーをさす言葉。もともとは、ニューズウィークの記事中に書かれた単語を徳力基彦らが引用したものである」。
 「当初は徳力が率いるブログ仲間のグループであるFPNが主催したブログ賞『アルファブロガーを探せ』の受賞者を指し示す単語であった。FPNがアルファブロガーという言葉の紹介として、『世論に影響を与えてる』『ブロガーのリーダー格』『影響力が大きい』『多くの人のアクセスを集める』として紹介を続けたために、アルファブロガーは『影響力のあるブロガー』などの意味で用いられることが多い」。
 もっとも、「アルファブロガーという言葉はニューズウィークの記事にとりあげられたものの海外では定着をせず、影響力の強いブロガーはa-listブロガーなどと表現されている。現在アルファブロガーは和製英語としてしか通用しない。海外のa-listブロガーと日本のアルファブロガーは定義は同じであるが、a-listブロガーが政治に影響をあたえるなど実際に目に見える形で力をふるっているのに対し、日本のアルファブロガーの実態は客観的に分析されたデータは存在せず、2つの言葉が同じであるとの証拠はない」というのが現状のようだ。

 一個人が手がけられる情報発信メディアとして期待されたブログだが、最近はtwitterが話題になってもブログが取り上げられることはあまりなくなってきた。最近の若者は自己主張よりはコミュニケーション重視で、気軽に仲間と話ができるSNSやtwitterに流れる傾向が強いという。しかし、SNSやtwitterに参加するにしても、やはり個人メディアとしてのブログを持っていたほうが中身の濃いコミュニケーションができるのではないかと思う。せっかくソーシャルメディアに参加していても、しっかりした情報や意見を発信していないと、“向こう三軒両隣”的な狭いコミュニケーションにとどまってしまうのではないだろうか。

 そんなことを考えて、もう一度、ブログの可能性を模索してみたくなった(私のブログは単なる趣味だが^^;)。ブログに夢があったころのブロガーに対するインタビュー集には何がヒントがあるのではないか。

 アルファブロガーたちに対するインタビューの中で一番、「自分に近い」と思ったのは、On Off and Beyondの渡辺千賀さんだ。

 「せっかく誰にも文句を言われないで書きたいことが書ける自分のサイトなので、他人のために書くのではなく、自分が面白いと思ったことを、自分が面白いと思うように書くことにしています」

 「うーん、別にネタ集めはしてません。普段の生活の中から出てくるものを書いているだけなので」

 「自分の思いや感想だけ書く、というのもあんまりしません。そうではなく、自分の考えを裏付けるような事実があったときに、その事実を淡々と記述するようにしています」

 「これは、最近しみじみ思うことなんですが、『たくさんの人に読まれる』というのと『自分が伝えたいことを受け止めてくれる人が読んでくれる』というのは違うことなんだなぁ、と」

 isologue(イソログ)の磯崎哲也さんの「私はブログを『誰かのため』に書いているわけではなくて、仕事の中で必ず知っておかなければならないことや自分で考えた結果などを忘れないようにする『自分のためのメモ』に近いものなんです」というのも同じ感覚だ。

 Ad Innovatorの織田浩一さんも「ブログで浅く書いたものを、さらに詳しく調べたり、インタビューするなどして、調査報告書や記事にするとか、ブログで個々に書いたことをまとめて記事やトレンド調査内容にするようなことを行っています。僕のブログはさまざまな業務をするうえでのベースになるものです」と言っている。

 この「自分のために書く」ことがブログの品質維持に不可欠のことではないか。ブログは日記というより、備忘録に近いと思う。

 逆に「一番遠い」と思ったのがネタフル
 コグレ マサトさんは「ネタ元は基本的にはメールマガジンです。それは仕事で見る必要があって見ているものなので、その間にネタも集めています。メルマガは20くらい登録してみています」「(ブログでは)とりあえず読むのは200サイトくらいある」「ニュースをひっぱてきて、それについてコメントを書く、というのは最初のメールマガジンのときから変わっていません」と言っている。

 ネタは自分が体験したこと。それを書くのがブログと、私は思っていた。他のブログやメディアに載った記事を論評するのは、あまり気が進まなかった。本も他人が書いたメディアだが、読書のように時間をかけると「自分の体験」の領域に入ると思っている。

 しかし、ブログの始まりは、自分が気になったニュースやサイトなどのURLを、寸評つきで紹介した英語のウェブサイトとされる。「WebをLogする」という意味でWeblog(ウェブログ)と名付けられ、それが略されてBlog(ブログ)と呼ばれるようになったのだ。
 そう考えるとネタフルのようなサイトこそが、本来のブログなのかもしれない。

 日本のブログに、議論が盛り上がる米国型のようなブログが少ないのは、結局、個人、個人が自分のできる範囲内で独自ネタを自分のために書いてきたためだからかもしれない。相互の接点が少ないのだ。互いのブログについてもっと論評し合えば、米国型になるのだろうが、日本はブログを書く人とコメントをする人というワンセットで閉鎖的なブログの世界が展開される傾向が強い。

 My Life Between Silicon Valley and Japanの梅田望夫さんも「ブログ、つまり『Weblog』とは、もともと『Web上で読んだもののログ(log)である』という原点をいつも意識しています。何もないところから、つまり自分の頭の中から何かを生み出して書く、という作業は、とてもじゃないが毎日できるわけがありません。ただ、日々Web上で読んだものの中で刺激を受けたもの、これくらいの質の高いものならば『読んでみたら?』と薦められるなと思うものもあります。そういう記事や論考を選ぶこと自体が価値なんだと思うようになりました」と話している。

 梅田さんは「ブログをやってはじめて実感したことは、ネットの向こう側にいる人たち一人一人の教養の深さ、知識の広さ、発想の豊かさ、頭の良さ、文章能力の高さ、それぞれの専門について語るときの鋭さでした」「それで、あるときからネットの向こう側に『高校時代の教室』をイメージするようになりました。16、17歳なのにあんなに凄い奴がいたな、こんな凄い奴もいたな、という昔のことを思い出し、そういう人たちが、『高校の教室』を出て、3年、10年、20年、30年という歳月を過ごし、そして今ネットの向こう側にいるんだなと思いました。人が一人生きているということはそれだけで凄いことであり、こういうことを実感できたことが自分にとっての大きな財産になった」と語っている。

 このような体験がブログを介してできれば、ブログスフィアも捨てたものではないと思うのだが、今回のアルファブロガーたちに対するインタビューでは、梅田氏以外には、このような熱いコミュニケーションについて語る人はいなかった。

 印象に残ったのは、極東ブログのfinalventさん。ブログを始めたきっかけについて「小さい声でいいから異論を述べてみたいと感じ、日本社会のさまざまな部分でもっと異論が出てきたら社会は変わるんじゃないかとも思いました」。

 マスメディアのアンチテーゼとしてのブログ。こうしたブログの多くが炎上し、消えようとしているのだろう。
 finalventさんは「やはり日本のブログに対しては『小ネタ(ちょっと気の利いた話題)に留まっていろ』というような沈黙の圧力や『ジャーナリズムの領域を侵すな』という圧力のようなものがあります」とも語っている。
 彼の「誰でもができることをたまたましているだけのように思います。自分が先行しているともそれほど思わないですね。これからはもっといろいろな人がいろんなことを言うようになればいいと思います」という言葉は本音だろう。しかし、日本が誰もが自由にものを言える社会でないからこそ、彼のしていることは貴重なのだろう。


 切込隊長BLOG(ブログ)の山本 一郎さんは、「ブログの最初の注目の度合いからすると、一回『終わった』のかなぁと思います。…検索エンジンの経由で『一見さん』が多くなったようです。『固定客』というか、ブックマークやRSSリーダーに登録してるような読み手の率が減って、ある程度客数を取れているサイトであっても1日当たりの一見さんが5割を超えるようになった。そういう一見さん比率が高くなるにつれて、他のブログからリンクを張られる比率が減ってきて、ブログ同士の関連性を示すトラックバックの送り合いのようなものがかなり薄れたように見えます」と2005年ごろの“現状”について語っているが、その傾向はますます強くなっているのだろう。

 自己主張する個性的なブロガーたちは、それぞれが孤軍奮闘しているが、その間で、有効なネットワークは作られていない。この本を読んで、そう感じた。仲良しがあつまるようなSNSとは違う、実りあるブロガーのネットワークが構築できないものかと思った。

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