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日経BP社 出版局編集、枝 洋樹、林 信行、小林 弘人、津田 大介、武田 徹、高須賀 宣、岡野原 大輔、片瀬 京子、高橋 秀和、亀津 敦著 『Twitterの衝撃~140文字がビジネスからメディアまで変える』(日経BP社)

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Twitterの衝撃

 日経BP社出版局編集、枝洋樹、林信行、小林弘人、津田大介、武田徹、高須賀宣、岡野原大輔、片瀬京子、高橋秀和、亀津敦著 『Twitterの衝撃~140文字がビジネスからメディアまで変える』(日経BP社、2009年11月9日発行)を読んだ。

 本書の「はじめに」でも書いているが「Twitterは、使い方次第で見え方が大きく違うサービスである」。
 そのためか、10人の著者が10章を分担している。
 
 第1章 Twitterとは何か? 枝洋樹(株式会社DGインキュベーション 投資・事業開発本部 マネージャー)
 Twitterの基本をまとめてくれている。
 「米グーグル社が提供しているような既存の検索技術を使っても、個人が発信する情報を検索することは可能だ。ただし、得られる情報はTwitterのようにリアルタイムではない。このため…『場の共有』は難しい」。

 「既存の検索技術の場合、検索対象となる情報をあらかじめ全世界のサーバーから集めておく必要がある上、ブログやSNSを通じた個人の情報発信の頻度はそれほど高くはないからだ」。

 「Twitterの場合は、世界中のユーザーのつぶやきがまずTwitter社のサーバーに集まり、そこから配信される仕組みになっている。…さらに、思ったことをひと言『つぶやく』だけでよいので、投稿のしきいが低いぶん更新頻度が高い」。

 「たったひとつのつぶやきから始まるほかのユーザーとの“ゆるい”つながりが、Twitterをさらに面白くする」「ほかのユーザーのつぶやきの中に、自分が反応したいものがあった場合に、『@相手のユーザー名 それってすごいね!』といった具合に、そのユーザーに向けて自分のつぶやきを発信すればよい。それだけで自然に対話が始まる」。

 「こうした“ゆるい”つながりを生む仕組みを機能として具現化したのが『ReTweet』(リツイート、RT)である。リツイートは自分のタイムラインで見つけたほかのユーザーのつぶやきをもっと多くのユーザーに紹介したい場合に使う」。
 「一つのつぶやきを複数のユーザーが連鎖的に共有することを通して、ねずみ算式に多くのユーザーがつながる」。

 第2章 Twitter×iPhoneが切り開く新情報時代 林信行(ITジャーナリスト)
 「時間軸」「親密軸」「空間軸」の三つの軸がTwitterの魅力だという。

 時間軸。「『新しい情報が上』という構造を取り入れている。TwitterがブログやこれまでのSNSと違うのは、情報を140文字単位に区切ったことだ。短く区切ると、さらに情報の鮮度が上がる」。

 親密軸。「Twitterは、まるで食べ物に入れる薬味を選ぶように、自分の好みで一方的に友達を登録(フォロー)できる」。

 空間軸。「実はiPhoneでは、Twitter用クライアント(Twitterを閲覧したり、投稿したりできるアプリケーション)が数多くある。その多くが、位置情報を活用している」。

 第3章 既存メディアを脅かす個人ジャーナリズム 小林弘人(インフォバーンCEO)
 これからのジャーナリズムとして、「リンクジャーナリズム」「コラボレーティブ(協調型)ジャーナリズム」「オープンソース・ジャーナリズム」「プロセス・ジャーナリズム」の4つがあるとし、Twitterはこれらの受け皿になるという。

 「Twitterでのジャーナリズムは140字の制限があるから、書けることが限られています。そこで活用されるのはリンク…これは従前より言われているリンクジャーナリズムです」。

 「リンクが組織の垣根を越えて、いまのニュースが組成される枠組みが壊れていくことになるでしょうね。プロセス・ジャーナリズムの台頭です。これまでは、完成品ジャーナリズム。後者は作品のように磨き込んでから報道するのに対し、前者は過程を報道します。そこでは間違いがあれば訂正し、他者による補足や伝播によって上書きされていく新たなジャーナリズムの形です」。

 「プロもアマも協力し合うという点でコラボレーティブ(協調型)ジャーナリズムになるし、個人サイトやさまざまな報道機関、研究機関が協力し、その情報が誰にでも無償で公開されることでオープン・ソース・ジャーナリズムになります」。

 第4章 プロと素人の差を縮める属人的メディアの誕生 津田大介(メディアジャーナリスト)
 「tsudaる」という言葉にもなった「社会問題上重要度の高いカンファレンスにオンライン状態で出席し、現場で発表された発言の140字の要約ポストをTwitterのタイムライン上に送り続ける行為」で知られる津田大介氏がこの章を担当する。

 「Twitter中継の良いところは、記者として手離れがいい」点。「文章の巧拙は起承転結の流れが重要になる文字量の多い文章では如実にわかるが、短い文章の場合はそうした文脈がないので、それほど気にならない。しかも、Twitterの場合、話者の発言を元にしているため、そもそもがロジカルな日本語でなくても『会話』のニュアンスとして読者が受け入れられるという特徴がある」。

 「実際のところ3分の話のうち本当に重要なのはわかりやすく言い換えたエッセンス1分間ぐらいであり、凝縮された1分をいかにして140字というフォーマットで要約していくかというところがTwitter中継の本質である」。 

 第5章 同時多発の声が生む「信仰」 武田徹(評論家、ジャーナリスト)
 「140文字しか書けないTwitterは散文的というよりも韻文的、詩的なコミュニケーションに近い。それは時に迫真の言葉となり、時に感動的であろう。しかし、詩は行間を読む物だ。そこに自由なイメージを投入できる。そうした余白を埋めていく読解スタイルは、事実の輪郭を定めつつ報じる報道には、実はなじまない。Twitterは報道の新しいシステムではなく、世界をひとつの声で同時につなぐ、巨大なミサのような『信仰』の空間をつくったのではなかったか」。

 「可能性は感じるが、Twitterを報道のメディアにしていくにはまだ何重ものハードルがあるだろう。それを一つひとつこなしつつ、報道の信頼性を、実質を伴うかたちで新しいメディア空間で構築していく必要があるはずだ」。

 第6章 Twitterが未来の会社を象徴する 高須賀宣(サイボウズ創業者)
 高須賀氏は「コミュニケーションの無駄を省ける点」をTwitterの利点としてあげる。米国では電子メールの代わりにTwitterを使う若者が増えていると言う。

 第7章 ベンチャーを支えるツール 岡野原大輔(プリファードインフラストラクチャー 特別研究員)
 「私たちも各地の優秀なプログラマーや研究者との情報収集には、Twitterやブログなどを利用している」。
 ただ、「離れたところにいる社員とのコミュニケーションに主に使っているのは。Skypeだ」「Twitterはどうかというと、リアルタイムのコミュニケーションツールとしては向いていないと考えている」「Twitterは、発信自体はリアルタイムだが、それに対する反応は非リアルタイムだ。大抵の場合は『つぶやく』だけで、つまり反応を強制しない」。

 「Twitterに書きたくなることはある。たとえば、ブログでは書けないようなことだ」。

 「一次情報でもなく、二次情報でもない、三次情報を収集する場として使っている」。

 第8章 仕事にTwitterを駆使するiPhoneアプリ開発者 片瀬京子(ライター))
 Twitterが最も有用に活用されているのは、iPhoneアプリ開発者の間ではなかろうか。
 「Twitter上に『iphone_dev_JP』という情報交換用のアカウントがつくられている。…このアカウントをフォローした上で、このアカウントに対してつぶやくと、そのつぶやきがフォローしている全員で共有される」。

 「無事に商品としてリリースした後に、ユーザーサポートにTwitterを利用している開発者も多い」。
 
 「さらに、新しい仕事もTwitterで生まれている」。

 「わざわざ言うほどでもないことを『つぶやく』場なのだから、これまでは耳に入れることができなかった声が聞こえてくる」。

 第9章 Twitterを支える技術の現在と未来 高橋秀和(日経BP社 ITpro 記者)
 「Twitterは外部サービスに、代表的なクラウドコンピューティング・サービスである『AmazonS3』を採用している。使い道は、ユーザーが設定するアイコン画像やウェブブラウザで実行するプログラム・ファイル(JavaScript)の置き場所だ」。

 第10章 Twitterの将来を見通す6つの視点 亀津敦(野村総合研究所 情報技術本部 技術調査部 主任研究員)
 6つの重要な視点。
 (1)ソーシャルハブとしてのTwitter
 「Twitterには『ソーシャルメディアとソーシャルメディアをつなぐ』という、もうひとつの顔がある」。
 「Twitterを介したソーシャルメディアの間でのユーザーのライフストリームの共有が現実のものとなった背景には、2007年頃に始まったソーシャルメディアのオープン化の流れがある。引き金を引いたのは、Facebookとグーグルだ」。

 (2)ライフログへの進化
 「ソーシャルメディアでのユーザー行動の履歴は『アクティビティストリーム』や『ライフストリーム』と呼ばれているが、これらの蓄積されたデータがリアル・バーチャルを融合しつつ、ある量と緻密さを超えると、それはユーザーの生活を反映した『ライフログ』という価値の高いものに成長していくのだ」。

 (3)Twitterが先導するリアルタイムウェブ
 「Twitter社は、リアルタイムに近いタイミングでつぶやきをを取得できる『Twitter Streaming API』を2009年4月から公開している」。

 (4)マーケティングでの活用
 「①顧客サポートのためにつぶやき監視、②ブランド・評判の把握のための分析、他のマーケティングプラットフォームとの統合――の3つがある」。

 (5)情報管理が課題に
 「つぶやきの公開範囲は『パブリック』(公開)か『プライベート』(非公開)のどちらかでしかコントロールできない」「自分がプライベートに設定していたとしても、フォローされている友人が非公開のつぶやきを転送すると公に伝わってしまう」。

 (6)企業向けのソーシャルソフトウエアに拡大
 「Twitterはオープンな場であるため、本格的に業務コミュニケーションに使うのには限界がある。そこで、企業内でTwitterと同等のコミュニケーションを実現するための、企業向けマイクロブロギングサービスが登場した」。


 CGM(Consumer Generated Media、インターネットなどを活用して消費者が内容を生成していくメディア)と言われるメディアのなかでも、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でものを書くためには、書きたいという強い思いや根気が必要だが、Twitterは「投稿のしきいが低いぶん」、誰でも参加できると思う。140文字で表現するためには簡潔な表現にせざるを得ず、結果的にコミュニケーションは円滑になる。Twitterが広がるわけが分かった。

 もっとも、どんな意義、効果があるのだろうかと考えると、まさに人それぞれなのだろう。
 「疲れた」というようなつぶやきでも、そうしたつぶやきが多く流れれば、Twitter全体としては、それなりの意味を持つかもしれない。しかし、主体的で有意義な使い方は、iPhoneアプリの開発者たちの助け合いのような使い方以外は、そんなにないのではないかと思う。
 
 気になる人の近況を知ることができるのは便利だが、自分をフォローしている人にしか一次的には自分のつぶやきが届かないのであって、伝播力はそれほど強くはない。一番言いたいことは、Twitterでは言わないのではないか。

 フォロワーが多い有名人たちにとっては間違いなく有力なメディアであるため、Twitterは有名人たちの“ファンクラブ”が錯綜するネットワークのような感じもする。

 Twitter、SNS、ブログ、あるいは口コミサイト全体をみると、ソーシャルストリームのパワーは無視できない大きさになっている。自分がこれらにどうかかわるかは別として、たまにはTwitterを初めとするソーシャルメディアの流れを追うことが現代的なITリテラシーを養う上では必要なのだろう。

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