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山崎将志著『残念な人の思考法』(日経プレミアシリーズ)~あなたにもきっと残念な部分がある!?

Zannennahito_no_shikoho
残念な人の思考法
 山崎将志著『残念な人の思考法』(日経プレミアシリーズ、2010年12月17日)を読んだ。
 「残念な人」というタイトルは微妙だ。「オレは別に残念な人じゃないから関係ない」と手に取らなかったが、帯を見ると、「30万部突破!」だという。日本人は意外に素直な人が多いから自分が残念な人だと思って手に取ったのか? それとも最近の部下はよく分からないと管理職が社会学を学ぶような気持ちで買ったのか?

 たまたまある会合で山崎氏にお目にかかったので、読んでみることにした。

 山崎氏はビジネスコンサルタント。仕事をする中で出会った、または同僚に聞いた「残念な人」についてエッセイ風にまとめている。読み進めていくと分かってくるのだが「残念な人」は「なぜ、こんなこともできないのか」という本当に残念な人もいれば、「これをクリアすれば、大成功したのに」と思われる、惜しい残念な人もいる。だから、対象の幅が広くて、「残念な人の特徴」、「残念な理由」などの分析は拡散していく。amazonなどを見ると、本書の評価は真っ二つ。この本を残念な本と見る人は、「クリアな分析」がないところが恐らく、不満なのだと思う。しかし、残念な人とは、人それぞれで、また、実は誰にも「残念なところ」があるのだ。
 やはり、30万部も売れたのには理由があるようだ。何をするにも簡単にはうまくいかない今の時代、「残念な人」は世の中に満ち溢れているのだ。

 本書によると「残念な人」とは、「ちゃんと学校を出て、入社試験もクリアした。役に立つ資格も持っている。そして、やる気も十分あり、夜遅くまで懸命に働いている。しかし、結果が出ない。そんな人たちのことだ」という。
 
 「ちょっとしたホウレンソウをおろそかにしたおかげで『聞いてない』とせっかく作った企画をご破算にしてしまう経営企画の人」
 「顧客は自分のビジネスにどう役立つかが知りたいのに、製品の機能説明を延々と続けてしまう営業の人」
 「中途採用の志望動機書に応募先の企業評価レポートを書いてしまう転職希望者」
 「生産能力以上の客を詰め込み、ランチタイムに客を待たせてしまう転職希望者」

 「残念な人は、やる気OK、能力(読み書きそろばん)OK。しかし、何かが間違っているために、結果がいまひとつになってしまう」「だから、残念な人とは、決して『バカな人』という意味ではない。『もったいない人』と言い換えてもよい」。

 「論理的思考」はできるが、「前提条件」で間違えて、結果が残念になる人もいる。

 事例をみると、なんでこんなことができないのか、と思うことも多かった。そういった事例は自分にとって役に立たないので、自分にとって役に立った、残念な事例を、引用しておこう。

 システム化により「残念な人が生まれる」という話は面白かった。
 「人の手をかけて業務を行っていたときは、担当者全員が重要な業務の担い手なのだが、人が行うことに起因するさまざまな問題を解決してしまうシステムを作ると、業務の細かい部分で判断をする人間が要らなくなってしまうことがある」「『システムを作るときの検討に加わったメンバー』と『単に新しくできたシステムを使う人』との間には知識レベルに相当のギャップが生じる」「ほとんどの判断をシステムが行うために、今まで起こっていたくだらない問題が発生しなくなり、オペレーターは代わりが利く仕事になる。そのため、残念な人に『なってしまう』」「それは、その仕事の背景にある意味がわからなくなる、知識を得る過程で必要な問題解決の機会を逃してしまう、などの理由からである。学習、言い換えれば試行錯誤する機会を与えられないという仕組みの結果なのである」。

 「現実問題として一度よいサービスを受けてしまうと、気づかないうちに当たり前になってしまい、それが与えられないときに初めて違和感として認識するのだ」「消費者はどんどん贅沢になっていく。無関係な人にとっては過剰と思われることでも、サービスを受けている側はすぐにそれに慣れてしまう。我々はそういう競争環境にいることを理解して、自分の仕事に取り組まなければならない」。

 「時間の使い方を自分自身で決めていると、時間の使い方にムダが生じず、しかも仕事そのものが楽しくなる。反対に、他人に時間の使い方を決められていると、ムダな時間が多くなり、しかも仕事は楽しくなくなる」。

 「ゼロを1にしたら、次は1を10にすることに力を注がなければならないのに、ゼロを1にする段階でつまずいているプロジェクトをいくつも抱え、みんなでパニックになっている」「実行してみて、『どれだけ頑張っても駄目なことがある』と自分の仮設の間違いを知ることは、行動における最大の収穫である。ある時点で見切り、損切りすることは、成果をあげるためにきわめて重要な行為といえる」「後ろを振り返ることはしなければならない。しかしそれは、失ったものの価値を計算してくよくよするためでなく、ロードマップのどこで間違ったのかを点検するためである」。

 「壁は人の頭の中にある」「上限は自分で決めてしまうものだ」。
 そこで引用されているプロゴルファー、宮里藍の言葉が印象的だ。
 「私はバーディーが3回続くと、次は何か(トラブルが)あるのではないか、と考えてしまう。しかし、アニカは全ホールバーディを目標に毎ホール積極的に狙ってくる。常にプラスのことしか考えていないように見える点が、とても勉強になった」。

 どんなに成功しても、慢心せず、また、どんなに失敗しても、くよくよせず、必要なことに常に細心の注意を払い、前向きに物事を進めていく大事さを本書に教えられた。

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