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映画『英国王のスピーチ(The King's Speech)』

 映画『英国王のスピーチ(The King's Speech)』を観た。

The_kings_speech

 公式ホームページ、パンフレットのINTRODUCTION。

 スピーチができない男が、国王になった―。
 吃(きつ)音症に悩む英国王ジョージ6世が自らを克服し、
国民に愛される本当の王になるまでを描いた感動の実話。

 幼い頃から吃音というコンプレックスを抱え、自分を否定しながら生きてきた男がいる。内気な性格から人前に出ることが最も苦手なこの男が、国王になってしまった。“王冠を賭けた恋”のために王位を捨てた兄の代わりに、望まぬ座についたジョージ6世、現在の英国女王エリザベスの父だ。
 
 何人もの言語聴覚士の治療を受けても一向に改善しない夫を心配して、妻のエリザベスはスピーチ矯正の専門家ライオネルを訪ねる。固く閉ざされた心に原因があると気付いたライオネルは、独自の治療法とその率直な性格で、王の気持ちを解きほぐしていく。折しもヒトラーの率いるナチスドイツとの開戦を余儀なくされ、揺れる国民は王の言葉を待ち望んでいた。王は国民の心をひとつにするべく、渾身のスピーチに挑むのだが──。

 これは、深く傷ついた心を抱えた一人の弱い人間が、様々な困難を乗り越えて、国民から信頼される、強く優しい王になるまでを描いた真実の物語である。その陰には、型破りのセラピストとの出会いと、彼との身分を越えた友情、何があっても王を支える妻の愛情があった。

 ジョージ6世に扮するのは、『シングルマン』(09)で数々の賞に輝き、アカデミー賞にノミネートされたコリン・ファース、ライオネルには『シャイン』(95)のオスカー俳優ジェフリー・ラッシュ、妻のエリザベスには『アリス・イン・ワンダーランド』(10)のヘレナ・ボナム=カーターという名だたる3人の演技派俳優による贅沢なアンサンブルが実現した。他にも、『ハリー・ポッター』シリーズの名優マイケル・ガンボン、『ハート・ロッカー』(08)のガイ・ピアースらが脇を固めている。監督は主にTV 作品を手がけ、エミー賞やゴールデン・グローブ賞に輝くトム・フーパー。

 ごく普通の人間と同じように、欠点や弱みを抱えた一人の男が、王に“なる”ために必要なものは何だったのか──そこには、私たちを励ます答えが隠されている。元気と自信を失いつつある今の日本で、それでも明日を見つめて歩き続けるための答えが──。

◇   ◇   ◇
 アカデミー賞の作品賞、主演男優賞(コリン・ファース)、脚本賞(デヴィッド・サンドラー)、監督賞(トム・フーバー)を受賞した作品。テーマもエンターテインメント性も、脚本もすばらしい!五つ星の映画だった。

 ジョージはヒトラーの演説をフィルムで観て、「何を言っているか分からないけど、とても上手だ」と評する。
 ドイツとの開戦。その勝敗の決め手となるのは国民の士気を左右するリーダーの言葉だった。

 ヒトラーは饒舌で、身振り手振りも含めた映像的な演出で国民の支持を得ようとする。これに対して、ジョージはマイクの先に立っている、スピーチ矯正の専門家ライオネルに話しかけるようにして、なんとかスピーチをやり遂げる。
 たどたどしくやっと絞り出す声だが、その言葉には力がこもる。
 
 最近、テレビは本当に人のメッセージを伝えているのだろうかと思うことが多い。わが国では、短い言葉、一瞬のパフォーマンスで人気を博した首相がいたが、まさにパフォーマンスに向いているのがテレビだ。

 しかし、昔も今も、じっくり語りかける言葉こそが、最も人々に伝わる。

 その意味で、過去のメディアなどと言われているが、声、言葉を感情とともに伝えられるラジオは見直されてもいい。


 ジョージ6世は吃音だったが、だれでもマイクに向かい、秒読みを始められると緊張が高まり、最初の言葉が出なかったり、声が上ずったりするものだ。
 
 ライオネルの治療法はわれわれにも役に立つ。あがらないでしゃべるノウハウになるかもしれない。


 優れた映画というものは、題材の選び方、脚本、演出、どれもが秀でているが、やはりほしいのは心にしみるメッセージ性だ。
 なんだか明日から、元気なりそうな気にさせてくれる『英国王のスピーチ』のような映画は素敵だ。
 
 『ソーシャル・ネットワーク』もいくつかの部門でノミネートされていたが、最終的にはひとつも受賞できなかった。映画としてのつくりは素晴らしくても、映画が伝える感動に欠けていたのではないか。『英国王のスピーチ』を観た後では、率直にそう感じた。

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