安保徹著『疲れない体をつくる免疫力』(知的生きかた文庫)
安保徹著『疲れない体をつくる免疫力』(知的生きかた文庫、2010年9月10日発行)を読んだ。
「はじめに」に、これからどんな知識を与えてくれるのかが、書いてある。
「疲れを取り、病気を防ぐ鍵を握るのは『自律神経』です。自律神経とは、呼吸や心臓を動かすなど生命活動を司る神経のこと。仕事で無理が続いたり、ラクな生活が続いたりすると、自律神経が乱れ、免疫力が低下します。すると、疲労物質を処理することができなくなり、肩こり、腰痛、をはじめ、冷え、アレルギーといった、さまざまな症状が出てきます。それがさらに進行すると、生活習慣病と呼ばれる慢性病や、がんなどの大病につながるのです。ですから、自律神経を整えることが必要なのです」。
「交感神経を副交感神経を併せて自律神経といいます」。
「交感神経とは、おもに昼間に働きます。人が活動する時や運動をしている時に活性化し、『元気はつらつ』『やる気まんまん』の状態をつくり出す神経と考えればよいでしょう」「具体的には、心臓に働きかけて拍動を速くし、血管を収縮させて血圧を上げます。呼吸も速く浅くします」「活動時は、体に傷をつくることなども多くなるので、傷から侵入する細菌などの外敵から体を守る必要も出てきます。そのため、交感神経が活性化すると、体を外敵から守る『白血球』のうち、細菌などを攻撃する役割の『顆粒球』が増えます」。
「副交感神経は交感神経の逆で、おもに夕方から夜にかけて働きます。人間が休む時や、食事をした時に活性化して『ゆったり気分』『のびのびリラックス』の状態をつくり出す神経です」「具体的には、心臓の拍動を遅くし、血管を拡張させ、呼吸を深くゆっくり安定させます」「休息時、体内では、白血球の一種の『リンパ球』が、がんなどの異常細胞を攻撃して体を防衛、メンテナンスしています。リンパ球は、食事によって体内に入ってくる異物から体を守る働きがあり、副交感神経は、このリンパ球を増やす働きもあります」。
「交感神経と副交感神経は、通常は拮抗関係にあり、シーソーのように交互に活発化して、体に働きかけています」「ところがシーソーの働きを無視して、働きすぎたり、リラックスしすぎたりといった生活を続けていると、一方の神経だけが優位になり、もう一方の神経タイプに戻りにくい体質になっていきます。こうなると偏った側に特有の疲れが現れ、その先に病気が待っているのです」。
<交感神経優位タイプの疲れの感覚>いつも、体が疲れている。イライラする。・・・血圧が高い。血糖値が高い。肩・背中・腰に、活動しすぎによる疲れ、痛みが出る。・・・
<副交感神経優位タイプの疲れの感覚>少し動くだけでも疲れる。やる気が起こらない。・・・落ち込みやすい。筋力が弱って、肩・背中・腰が疲れ、痛む。・・・
「交感神経を優位にさせる要因は、『過度のストレス』です」。
「疲れをためない最初の防波堤は、『体を動かすことで血流を回復させ、体の中から熱を生じさせること』です」
次のレベルは「全身クタクタという状態。筋肉や内臓などの組織の酸素・栄養不足が深刻になり、軽い運動くらいでは回復しないレベルに陥っています」「肌の調子は悪く、顔などにポツポツと軽い吹き出物が出始めます」「首・肩・背中・腰のこりが進み、目は疲れ、耳鳴りがします」「就寝中のいびきがひどくなります」「これらを解消するには、・・・少しくらいの運動では追いつかないので、体の外からよく熱を与えることです」。
「副交感神経を優位にさせる要因は、ただひとつ、たるんだ生活です」。
「交感神経を刺激するために、まず日光をよく浴びることから始めましょう」。
さらに「日の出と共に起床する。そして、日中は活発に活動するような、交感神経を刺激する生活を心がけることが大切です」。
こうした大原則を知ると、例えば、「消炎鎮痛剤が、じつは、こり、重み、痛みなどを悪化させるもの」といったことが分かると言う。「一番いいのは、温めるか軽い運動をして、血流を促すこと」だという。
第三章の「免疫力を高める」生き方をしよう、は大変、参考になる。
「疲れをためにためには、疲れが発生したその時、こまめに取る習慣をつけられるかどうかが勝負です」。
「血流を回復させ疲れを取るには、体を動かすのが一番です。その際のコツは、仕事で続けがちな姿勢と逆の動きをすることです」。
「眼精疲労が引き起こす疲れは、『視力が落ちて、後頭部や肩がこってくる』というレベルではなく、全身的な血流障害にまで行き着くということを知っておいてください」。
「長時間パソコンに向かう時は、1時間に15分は、目と体に、相応の休息を与えるようにしてください」。
「本来、夕方以降は、副交感神経優位になり、1日の疲れを洗い流す時間なのですが、ここで、さらに働き続けると、1日の疲れを取ることができないばかりか、昼間よりもさらなる疲れを積み増すことになり、典型的な疲れをためる生き方になります」。
「残業は、長くても2時間、午後7時には仕事を終えるべきです」。
「睡眠不足になるほど忙しい人には、定時に帰れとは言いませんから、まず、1日の睡眠時間を1時間増やすよう努力してください」「睡眠時間を1時間増やすというのは、1時間早く帰れということではありません。30分昼寝して、30分早く帰って寝ることを提案したいのです」。
「甘いものの摂りすぎは、実は疲れやすさのもとになります。甘いものに含まれる砂糖は、ショ糖と呼ばれ、体のエネルギーとなるブドウ糖にまで分解される過程が短く、体内に入ると、急激に血糖値や体温を下げる作用があります」。
「基本的には、エネルギーのもとになる糖は、きちんとした穀物などの炭水化物から摂るようにすべきです」。
「アルコールには興奮作用がありますが、体にとっては不要なので、最初は排泄反射が起き、副交感神経が優位になってリラックスします。その後、だんだん元気な状態になり、興奮の世界に入っていきます」。
「リラックスモードでは、日ごろの仕事ぶりに対する慰労をし合うなど、癒しの場をつくり出す。その後、興奮モードに入ったあたりで、皆で夢を語り合う、将来のビジョンを語り合うよう心がければいいでしょう」「同じ酒の席でも、最初の副交感神経反応の時は愚痴、不平不満を吐き出すだけ、興奮モードに入ってからは、怒りを爆発させるというようなマイナスの流れになってはよくありません」。
交感神経と副交感神経がバランスよく働くように、働いてばかりの人はたまには休みを取り、体の声を聞く。こうしたことを心がけていれば、大病はしないそうだ。とてもわかりやすい健康法だった。
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Comments
参考になりました。このところ身体のバランス、狂い放しだったからねえ。
Posted by: さいのめ | 2011.04.28 12:23 AM