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東京大学ジェロントロジー・コンソーシアム2009-10年度活動報告会

 「東京大学ジェロントロジー・コンソーシアム2009-10年度活動報告会」が、26日、13時半から17時まで東京大学工学部2号館1階213講義室で開かれた。日本は2030 年に人口の3人に1人が65 歳以上、5人に1人が75 歳以上になる本格的な超高齢社会を迎える。課題は山積しているが、これをイノベーション創出のチャンスと捉え、東京大学は産業界とタッグを組んで理想の超高齢社会を目指す産学連携組織「東京大学ジェロントロジー・コンソーシアム」を2009年度に立ち上げた。活動報告会では、2年にわたるコンソーシアムの活動の成果を報告。「2030 年超高齢未来に向けた産業界のロードマップ」を示した。そして、引き続き、新たな産学連携組織「ジェロントロジー・ネットワーク」で、ロードマップに沿った理想の超高齢社会の構築を目指し活動を展開していくことを明らかにした。

 東京大学高齢社会総合研究機構著『2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする』(東洋経済新報社)によると、「ジェロントロジー(Gerontology)」とは、「日本語では『老年学』あるいは『加齢学』などといわれる」が、コンソーシアムでは、「広く高齢者、高齢社会に関する総合的な学問を表す意味で」、カタカナ表記のまま使っている。「高齢化にまつわる問題解決のためのあらゆる知恵をヨコにつないでいこうというのが、『ジェロントロジー』」で、「医学はもちろん、看護学、生物学、経済学、心理学、社会学、社会福祉学、法学、工学、建築学など、それぞれの専門家が高齢化に関する知識を集積し、その成果を社会に還元していくことを目的として」いる。

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 報告会では、東京大学ジェロントロジー・コンソーシアム主査(東京大学高齢社会総合研究機構機構長)の鎌田実氏が、「ジェロントロジー・コンソーシアムの活動とロードマップの全体概要」を説明した。

 冒頭、今回の東日本大震災に触れ、連休中に調査に行った陸前高田市の写真を紹介した。瓦礫の中、コンクリートの建物が180度ひっくり返っている様子や、4~5階まで水に浸かった市庁舎などが痛々しかった。
 
 鎌田氏は「被災した地域はすでに超高齢社会」と指摘する。高齢化率は釜石市が34.8%、岩泉町が38.2%だ。
 そして、「被災した地域で新しい街づくりは、これからの日本の街づくりの先行事例になると考えている」と語った。

 東大高齢社会研究機構では、被災地で復興・街づくりへの提言を行い、釜石市をはじめとするいくつかの自治体が採用してくれたという。
 
 スライドでは、「孤立防止へ交流型仮設住宅 東大提案 釜石市が建設計画 店舗やデイサービス併設」という新聞記事が紹介されていた。

 鎌田氏は「震災復旧・復興、原発をはじめとするエネルギー問題、高齢化などで、日本の力が問われている」「東大高齢社会総合研機構、東大ジェロントロジー・コンソーシアム、それを引き継ぐジェロントロジー・ネットワークで、こうした課題に総力を結集して取り組んでいかなければならない」と述べた。
 
 東大ジェロントロジー・コンソーシアムは、2008年9月、東大総長が経済界のトップを招聘して設置する諮問機関「ASM(アドバイザリー・ボード・ミーティング)」で、当時の小宮山宏総長がジェロントロジーに取り組みたいと話したのが発足のきっかけ。これに対し、懇親会のとき、ある企業のトップから「技術は持っているが、高齢化問題については何をしていいか分からない」という意見が出て、「何をやるかをクリアにすることがまず必要」とコンソーシアムをつくることになった。

 2009年4月にスタート。「リーマンショック後の不況の中、賛同する企業が集まるか、不安だった」が、立ち上げ時に28社、2010年3月に35社、2011年3月時点で45社が集まった。

 45社は次の通り。日産自動車、ジェイテクト、ヤマハ発動機、ダイキン工業、パナソニック、富士フイルム、日立製作所、シーメンス旭メディテック、GEヘルスケア・ジャパン、P&Gジャパン、花王、ネスレ(スイス)、ハウス食品、ライオン、資生堂、ニチレイフーズ、味の素、サンスター、住友商事/住友商事総合研究所、三井物産、ゼンショー、大和ハウス工業、三井不動産、オリックス不動産、LIXIL(住生活グループ)、フランス・テレコム、電通、読売新聞グループ本社、日本放送協会(NHK)、東京急行電鉄、JX日鉱日石エネルギー、地球快適化インスティテュート(三菱ケミカルHG)、西武信用金庫、みずほ銀行、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)、セントマーガレット病院、ふれあい在宅マッサージ、大正製薬、リサーチ・アンド・ディベロップメント、ヘルスケアパートナーズ、富士通総研、ユーディット、UR都市機構、セコム、日本生命保険相互会社。

 「いろいろな分野の企業が集まり、いろいろな議論ができた」「1回、百数十人集まる大規模な会を何度も重ねた」という。

 「課題が設定できると日本企業はそれに向かって全精力を傾ける」ので、会では「何をやらなければならないかという課題を明確にした」。

 活動としてはまず、「高齢社会はどんなものかを勉強していただいた」。毎月、毎回2~3のテーマで講義を行い、知識を共有化した。

 そして、「2030年の超高齢社会に向けた産業界のロードマップ」を作成した。最終のゴールを設定、バックキャスティング法(未来予測法)により、理想と現実のギャップを明らかにし、ギャップをどう埋めるかを考え、ロードマップを作った。

 超高齢社会で世界のフロントランナーとなる日本。「"高齢者の高齢化"が日本の特徴だという」。
 65歳以上の人口の割合はそう変わらないが、75歳以上の後期高齢者がどんどん増える。
 後期高齢者は2005年は1160万人だったが、2055年には2387万人へと1000万人以上増える。

 まさに、どの国も経験したことのない超高齢社会だ。

 コンソーシアムでは大きく分けて3つのグループで議論を進めていった。生きがい・就労・ライフデザイン研究グループと医療・介護・予防システム研究グループ、それを支える要素技術の研究グループ(暮らしと環境に関する研究グループ①住まい・住環境②移動・交通システム③ICT<情報通信技術>④生活支援サービス⑤食生活サービス)。社会保障、生活シナリオについても研究した。

 鎌田氏は「45社と東大が2年かけてつくった、社会、生活領域を網羅する総合的なロードマップで、国、産業界、大学、国民に向け提言も行った。超高齢化が進む日本の未来に向けてポジティブに考えた。長寿を喜び、人生を楽しむ社会にしたい。企業はそれを支える活動をしてほしい」と結んだ。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 以下、各グループの報告の要点をまとめる。
 「超高齢未来に向けた社会保障の方向性」(社会保障G)
 超高齢社会の社会保障:10の対策・視点(メッセージ)
①「社会連帯」なくして、個人も社会も存続し得ない。人と人、人と社会が信頼し合える社会を築き直していくことで、個人も社会も幸せになれる。
②社会を取り巻く状況(危機感)を正しく認識して、すべての国民・企業他は「安心への投資」(国民負担増)を前向きに受け入れるべき。
③安心への投資とイノベーションの創出を通じて、必ず「輝ける未来」は拓ける。
④雇用・就労環境の整備が最大の所得保障・貧困対策。生涯にわたって活躍し続けられる社会に(高齢者・若者・女性の就労の壁の打開を。高齢者が地域社会を支える仕組みの構築を)
⑤正規・非正規職員の待遇格差の是正。社会全体で適材適所のマッチングを(雇用の流動化とセーフティネットの構築)
⑥少子化問題は待ったなし。少子化克服に向けた総合的な社会支援が必要⇒多様な就労形態の創出(テレワーク等)、高齢者による(学童)保育サービスの推進、育児・出産教育の充実等
⑦Aging in Place(住み慣れた地域で自分らしく老いる)の理念にもとづく新在宅ケアシステムの全国整備を。家庭医・総合医育成(現任教育研修)の推進、ICTによる効率化、財源強化を。
⑧ハードの建替えのみならず街の機能、ソフトの充実がより重要に。地域の中で高齢者支援機構の充実、それを支える街のコンシェルジュの育成・普及を。
⑨低負担の限界、将来世代への"つけ回し"に終止符を。負担増は安心への投資。
⑩将来社会創りのために積極投資を行う企業が評価される社会的な仕組みの創設を。社会起業家の育成支援、異分野連携と協働の推進を。既存の経営を超高齢社会に合わせた形に。高齢者の真のニーズを満たす財・サービスの創造、提案、提供の実現。

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 東京大学高齢社会総合研究機構教授の辻哲夫氏のコメント。
 「高齢化への対応は社会保障として行う施策の分野が非常に大きいから、それと企業の関係というものを認識しながら社会保障のあり方を企業が論じることが必要」「年をとって働けなくなったときにお金が減ってしまうのをヘッジするというのが本来の年金システムの考え方。そうであるとすれば、現役時代の雇用をしっかりするのが基本だ」「雇用をしっかりした仕組みにすることが年金を安定させることにつながる」「若人、女性、高齢期の就労など、各分野の就労についてしっかりした仕組みを作る必要がある」。
 「介護・医療の問題は深刻で放っておいたら大変なことになる」「日本は医療水準の高い社会でぴんぴんころりというのはあまりない。大部分の人は虚弱な期間を経てから亡くなる」「虚弱な期間の生活をどのように守るかが課題だ」「病院や施設に閉じこもるのか?違う。できる限り自分の住み慣れた生活環境で住み続けるシステムが正解ではないか」「在宅ケアというものを本格的にやらなければならない」「在宅ケアということで生活の場でケアされるようになれば、いろいろな需要が生じる。いろんな生活が成り立ち、消費が拡大するので新在宅システムを構想しようということになった。これは企業が参入できる分野だ」「マンションとケアシステム、虚弱な人が移動するための交通手段など、さまざまなテーマが考えられる」「介護保険や在宅医療にもっと財源を投入しなければこの分野は魅力ある分野にはならない」。
 「この方向に行けばさまざまな情報システムや機器、住宅が開発され、街づくりへとつながっていくだろう」「この分野に投資することによってさまざまな生活、ライフスタイル、消費が生まれる」。
 「企業がこれまであまり得意としなかった部分に進出していく。チャレンジする企業マインドが重要という議論になり、チャレンジング精神や異業種の連携に対して、社会的に支援するような方向を考えるべきという意見が多かった。その結果、未来社会を作る企業を評価する仕組みを作ったらどうだろうかという結論になった」。

「人生100 年時代に相応しい生き方の実現に向けて」(生きがい・就労・ライフデザイン」を検討テーマとした分科会グループ)
(1)高齢者の活躍場所・機会の拡大(セカンドライフの選択肢の拡大)
 いつまでも無理なく楽しく働ける就労の場が地域に数多くあり、リタイア後も社会に貢献し、社会とつながり続けている。高齢になっても能力を発揮できる場が拡大・充実
 1.人生は長い。亡くなる最頻値は男性が85歳、女性が90歳。長い老後生活(男性20年、女性25年)の9割は要介護期間を除く「自立期間」。
 2.高齢者は若返っている。1992年と2002の高齢者の通常歩行速度を比べてみると、男女ともに11歳若返っている。
 3.セカンドライフの問題は主にホワイトカラー・サラリーマンの問題。今のリタイア層のニーズを満たす居場所・活躍場所が少ない。
 4.今後は大きな人口を擁する大都市圏で高齢化が進行する。
 5.個人の課題は「人生100年時代の生き方モデルの不在」「地縁の希薄さ、活躍場所の不在」。地域の課題は「高齢者という貴重な存在の活かし方」「閉じこもりと孤独死の予防」。両者の課題を解決する新たな社会システムが求められる=ロードマップテーマ

(2)高齢期の新たなENJOYの創造/快適性・QOLを高める商品・サービス開発
 身体機能が低下しても、その人が求める生活の質が保たれ、いくつになってもどのような状態であっても安心で希望が持て、快適で豊かな暮らしが可能となっている

 1.ロードマップの取り組みの視点
・ENJOY・快適の領域に着目した新しい高齢者市場の開拓
           ↓
・当該市場は未成熟。開拓余地は極めて大きい。特に75歳以上の高齢者に対する市場
 ビジネスチャンス・イノベーションの可能性大!
・改めて、調査研究・マーケティングの強化が必要!
 普通の高齢者の実態を正しく理解する必要(高齢者市場を正しく知る必要)

 2.高齢者市場は拡大し続ける
 市場全体の家計消費に占める高齢者の消費割合は2015年には42.3%、2030年には47.0%に達する見込み

 高齢者市場の捉え方⇒1:8:1
 虚弱なシニア(要介護) 1
 普通のシニア       8 
 裕福なシニア       1

 3.注目すべきはエイジング過程にある高齢者(主に75歳以上)

 4.当該層の主な特徴  
 当該層が急増する(2030年2300万人)。特に高齢・独居・女性
 極めて多様
 ・老化の進行は共通
 ・生活の「継続」が目標
 ・「健康」が最大の関心事
 ・エネルギー(時間・お金)が自己のメンテナンスにシフト
 ・行動範囲の縮小(⇒家・地域がより重要に)

 5.普通の高齢者市場(8割)の開拓に向けて
【基本的スタンス・考え方】
①留意する―高齢者は長年の消費経験から「消費のプロ」。ほとんどの高齢者は高齢者扱いをされることを嫌う。
②配慮する―誰もがいずれは老化、身体的変化を体験していく。感覚等の変化を踏まえ、商品パッケージのコントラストをはっきりさせる、高齢顧客と接するときはゆっくりと大きな声で話す、商品の袋などを開けやすくするなどの配慮が必要である。
③創造する―高齢者にニーズに応える商品・サービスを新たに開発し市場を創造することが必要である。高齢者は基本的にモノには困っておらず、精神的な充足を求める傾向が他世代よりも強い。自分の時間を充実させたい、自分の好奇心を満たしたい、人と関わりたい、自分の感性や経験を伝承させたい、人生を振り返りたい、働きたい、健康で長生きしたい、いつまでも若々しくいたい、家族との時間をより充実したい、これらは代表的な高齢者の声(ニーズ)である。

 6.新しい高齢者市場の開拓視点
 おひとりさま市場
 コミュニティ食堂(商業ベース化)
 家の快適性+ENJOY市場
 美を通じたENJOY市場
 外出サポート市場
 ノスタルジー・共感市場
 当該層向け遊び・娯楽市場
 アンコール市場

 総合的な高齢者生活支援市場
 癒し・やすらぎ市場、子ども・孫市場、継承サポート市場
 (健康・安心・不の解消市場)

(3)人生100年時代のライフデザイン・ロールモデルの創造/価値観創造
 人生100年時代のライフデザイン・ロールモデルについて、若いときから学ぶ機会があり、誰もが自分なりの高齢期のライフデザインを描けている(含、新たな価値観創造)

  ロードマップの取組み視点
 人生100年時代に相応しい生き方・モデルがない⇒新しい教育・啓発の仕組みを!
 ・一毛作から多毛作人生に
 ・高齢期の限りない可能性を知る
 ・自ら人生100年を設計できる能力を養えるように
             ↓
 ・人生100年時代のライフデザインの確立、人生教育産業の創造
 ・国民QOL、地域の豊かさQOC評価指標の確立と応用
 ・エイジフリー社会化:高齢者が地域社会を支えるイデオロギーと制度の確立

「安心で活力ある超高齢社会づくりに向けて」(住宅・住環境、移動・交通、ICT、生活支援、食生活」を検討テーマとした分科会グループ)
 安心で活力ある2030年の超高齢社会像
【住まい・住環境】
 地域において、在宅、住み替えの自由もある中で、安心して住み続けられる施設と仕組みが整っている。
【移動・交通】
 高齢者の日常生活における安全・自由なDoor to Door移動を支援するPersonal Mobilityを適用した緻密な交通ネットワークができている。物流支援(買い物支援)サービスがロボット技術等の進歩により格段に向上している。
【ICT(情報・通信メディア)】
 ICTに不慣れな人であってもその時代の標準的なICTをいつでもどこでも安心して利用することができている。
【生活支援】
 生活サービスやサポートを享受しやすい地域社会が形成されている。
【食生活】
 食事の調達と用意が自ら行えるか、または、適切にサポートされ、栄養バランスがとれた食事を楽しみながらとることができている。

 このような理想像に対して、どのようにアプローチしていくか。
【住まい・住環境】
 Aging in Placeの要件
①在宅のまま継続居住、住替えの自由がある。
②医療・看護・介護の連携の取れたサービスがある。
③社会と触れ合い、生活支援・域外活動との連携が図られている。

 具体的な施設のイメージでは――。
 中心に自宅がある。理想的には最期まで自宅で暮らす。心身機能の衰えによって、自宅で住みきれない場合は、健常・自立高齢者向けサービス付住宅、要支援・要介護高齢者向けサービス付住宅や集合的な施設に移ることもフレキシブルに考える。地域内で住み替えることができるのがポイント。これらを中心にしながら、病院、クリニック等の医療施設、福祉支援施設が生活圏の中に置かれる。住みやすさということでは緑豊かな住環境も大事だ。さらに生活利便施設(商業施設等)、生き甲斐施設(コミュニティ、学校、図書館、文化施設等)が同じ生活圏にある。

 今後統廃合の予想される中学校区(人口概ね3万人)をベースに、基盤施設の整備、公共施設の再配置を行っていく。

 自治体は、企画調整、都市計画、医療保険、生活福祉等、行政の垣根を越えた総合的アプローチが必要。

 エリアマネジメントを住民である元気な高齢者が担っていくことが重要。

【移動・交通】
 大都市、地方都市、田舎で、モビリティーに対する要求や実現のための環境が違う。
 大都市:既存交通インフラが充実しているが、新しいことを行おうとすると土地整備が困難。
 地方都市:コンパクトシティー化がしやすい。モビリティー走行レーン等の整備を進めやすい。
 田舎:経済的に厳しい環境にあり、インフラ整備が困難。

 PM(Personal Mobility)の区分
 PM1 移動距離3km、大都市対応、ハンドル型電動車椅子
 PM2 移動距離5km、地方都市対応、自転車・電動アシスト自転車
 PM3 移動距離15km、田舎対応、超小型電気自動車

 PMの将来イメージ(2030年頃)
・PM搭載車両(複数のPMを高速で搬送、搭乗中充電、地方都市での中距離移動)
・半自動・自動運転(高齢者の安全運転支援、人混在環境での運用)
・PM連結運転(先頭の走行経路を追従、田舎での巡回運用)
・現状車椅子なみにコンパクト(人混在環境での運用、既存交通機関への搭乗)

 物流支援
・物流ロボットによるラストワンマイル宅配サービス
・屋外活動促進支援:ポーターロボット(高齢者に追従移動、積極的に高齢者を外に出す=買い物の搬送支援、歩行中の安全支援、移動中の情報支援)

【ICT(情報・通信メディア)】
 それぞれの人の心身機能、ADL(Activities of Daily Living、日常生活動作、日常生活活動)が低い人が多数の社会ではADLの差異を埋めるICTが重要になってくる。
 高度成長期の社会設計におけるモデルの人物はおそらく、成人(30-40代)のADL前提。
 高齢化社会では、社会インフラのスペックを改変するか、個々人に適した基準に切り替えられるようにすべき。

 ICTサポータが社会的に必要になる。

 データやソフトはネット上に置く。
 システムトラブルはプロバイダが対処。
 アプリび利用は信頼できるICTサポータにリモート・アシストを受けられる。

 モバイル端末(スマートフォン、タブレット)、デジタルサイネージ、家庭のテレビなど、あらゆるところから情報を取れるようにする。いつでもどこでも、どんな端末からでも情報が取れる。
 データはネット上にあるので、端末をなくしても困らない。
 個人アカウントにユーザの心身機能、好みが安全に格納される。機器が自分のADLに合わせて動いてくれる。

【生活支援】
 安心・安全な生活サービスを受けられるようにするために新しい生活インフラの整備が必要。
 代行サービス
 配送サービス
 衣食住の各種サービス
 生活の困りごとに関する御用聞き
 金融資産をどう安全に管理するかといった相談に乗る
 地域で働きたい、ボランティアをしたいといった相談に乗る

 リビングサポーター、ジェロントロジカルプランナー、ライフアドバイザーといった資格を持った人がサポート。
 「かかりつけ医」に相当。
 資格制度の確立を提案したい。
 単身世帯の高齢者が増えてくる。日中独居の高齢者も多い。
 要支援・要介護の高齢者もいる。
 介護保険サービスの外側に必要なサービスが多々ある。それを担当する専門家が必要。
 高齢者自身がこの分野で活躍。

【食生活】 
 3要素が必要。
1.「食事の調達と用意」における「自立と適度なサポート」。
2.「食事を楽しめる」、ひいては「生活を楽しめる」環境が整っている。
3.高齢者の健康に役立つ「栄養改善プログラム」が確立され、教育やサポートサービスが提供され多くの人に考えが浸透し、健康に良い食生活が営めている。

 街の中に仕組みとして3要素が盛り込まれていることが望ましい。
 たとえば、コミュニティーレストラン

 都市の機能に着目した街づくりが必要。
 地域の元気なシニアが地域な虚弱な高齢者をソーシャルビジネスとして支えていく。
 元気なシニアにとってはこれが生き甲斐、就労につながる。虚弱な高齢者にとっては身近に支援者がいる。そういう街の仕組みが必要。
 いろいろな困りごと(リフォーム、資金管理、相続、法律)に対して元気なシニアが相談に乗る。
 介護保険サービスを企業にお願いすると時間当たり3000円とか4000円の単価がかかる。ソーシャルビジネスでそれが10分100円、60分600円になれば利用しやすくなる。
 元気シニアのソーシャルビジネスを企業も参加して支援する仕組みをつくることが必要。そうすれば新しい地域のインフラができてくる。
 
「新医療・介護・予防システム構築に向けて」(「医療・介護・予防」を検討テーマとした分科会グループ)
1.健全な危機感の共有
①人口ピラミッドの変化による20年先の社会では、世界に類を見ない本格的な超高齢社会になる。特に都市部の要介護者数の急増は顕著で、病院や介護施設はキャパ不足に陥る。最速の超高齢化と超少子化と現役世代人口急減のトリプルインパクトで、経済成長は鈍化する。
②夢見てきた長寿は必ずしも幸せなことではないということが分かってきて、超高齢社会の様々な問題が徐々に明らかになってきている。それは長生きのリスク、老老・独居世帯、認知症、社会不安、お金、家族問題等々だ。
③問題を解決するためには、現行の社会システムを広範囲に革新していく必要がある。
 社会保障への財源投入
 医療改革(治す医療から支える医療へ、在宅医療)
 介護改革(施設介護から在宅介護へ)
 予防(一般高齢者のQOLをどう上げるか)
 関連人材の育成
 インフラ整備(連携ICTシステム、住まいの整備、街づくり)
④20年後の超高齢社会を想定すると、団塊世代が後期高齢者入りする2025年ごろまでには新しい社会システムが完成していることが必要。残された時間は少ない。超高齢化問題は、2025年ごろから数十年の超高齢化の波をどう乗り切れるか、中でも2025年頃から数年間の団塊世代の超高齢化「巨大津波」をどう凌ぎ切にかかっている。

2.AGING IN PLACE宣言
 「地域の中で、自分らしく、最後まで安心して笑顔で暮らせる」社会にする。
①人々が、長年住み慣れた地域、コミュニティの中で、家族・友人や近隣の人々と交流を保ちながら生活し、最後まで安心して豊かに暮らせる社会が実現している。
②できる限り、元気で自立して、健康寿命を保ち、寝たきりや認知症にならずにいきいきと生活できる。
③日常生活に何らかの支障が生じれば、程度に応じた医療・介護サポートを享受できる仕組みが出来上がっている。生活の場としての在宅の機会は増大している。個人を尊重し、個人の尊厳を保つための「選択肢」が提供されている。
④医療・介護サービスは、個々に分断されることなく、一貫したサービスとして提供される。各地域でのケアサイクルが整備されており、医療⇔療養・リハビリ・介護⇔看取りのサービスがシームレスに行われている。

・豊かなAGINGとは、高齢になっても、できる限り元気で自立して、弱っても地域社会の中(IN PLACE)で安心して笑顔で生き切れるということ。
・目指すべき”PLACE”は在宅でも、病院や介護施設とほぼ同等の24時間訪問診療・訪問介護が受けられる地域社会。

3.豊かなAGINGを支える具体的提言
介護予防
↓↑連携
在宅医療
在宅介護

これをICTが支える。

介護予防のコンセプト
元気で自立した期間をできる限り、長くする。高齢生活者のQOLを維持・管理し、健康寿命の延長につなげる仕組みをつくる。動く、食べる、寝る、出すの生活機能の基本について、それぞれに基準作づくり、価値づくり、仕組みづくりをし、事業化につなげる。

・介護予防につながるエビデンスの研究
・ロコモティブシンドローム(「運動器の障害のために、要介護となる危険性の高い状態」のこと)を研究したい。

新在宅ケアシステム
・在宅ケアはこれまで典型的な縦割りだった。これを一元的に行う。
・医療と連携した24時間の介護、看護総合サービス。事業化を目指す。

・特養→自らの家で24時間の介護へ

・施設の機能をすべて地域に持ってくる。

・医療と連携しながら高齢者の生活を支えていく。

ICT
・医療ICT
・介護ICT
・パーソナルヘルスケアICT

・在宅ケア・介護予防を支えるバックヤード技術

・医療・介護・予防ICTプラットフォーム

2007年の医療・介護の市場40.5兆円。
これが2025年に91兆円に。
中身は病院、施設から在宅へシフトする。

4.豊かなAGINGを支える産業像

潜在マーケットは大きく、新需要も喚起され拡大していく。

新在宅ケアシステムを中心に、医療・介護のイノベーションが「病院・施設」から「在宅」への大きな流れとなり、様々な豊かなAGINGを支える産業が展開される。
・配食、セキュリティ等の在宅ケア関連事業
・健康支援サービス・各種症状改善等の介護予防関連事業
・ICTシステム・機能補完機器・ロボット等のICT・機器開発事業
・バリアフリーリフォーム、住み替え等の住宅事業
・バリアフリー都市・コンパクトシティ等の都市再開発

在宅ケアによって、いろいろな新しい産業が出てくる。生活の場にケアを持ってくることによって、社会的なコストがコントロールできる。高齢者の幸福度も高まる。さらに経済的な波及効果も大きい。

・世界に先駆けて超高齢化を迎える日本の市場を世界が注目している。
・65歳以上の高齢者数が20年後に2億人を超える中国、さらにその20年後に2億人を超えるインドは、それぞれ、日本市場の5倍以上の規模になる。わが国の市場で開発された産業は、内需産業の枠を超えて、やがて世界の高齢者の豊かなAGINGを支援する大型の輸出産業に転換していく。

5.最後に
①2025年からの超高齢化の巨大津波は静かに確実に襲ってくるが、大震災と違って時期、場所、波高、スピードもほぼ読めるものであり、対規模な社会システムの変革によって、十分に対応可能である。
②大規模な社会システムの変革には、医療・介護・予防の新しい全体適合を求めたソフト・ハードの事業投資、インフラの構築等が必要で、産学官連携での推進が求められる。
③これらの危機を乗り切った時の日本は持続可能な国民の幸福度が上がった健全な社会となり、その社会変革のパッケージは、アジアに展開可能な新モデルとなる。

「2030 年の生活シナリオ」(シナリオG)

 ロードマップの重要性と内容を、より多くの人に、わかりやすく伝えられるようにするため、2030年に生活している高齢者(60~80歳)を想定してシナリオを書く。

「アクションプランのロードマップの具体展開」(各G)
 
1.地域マスタープラン
自立する生活圏の創出/Aging in Placeの実現に向けて
柏市と調整中
2.ジェロントロジー住宅
事業としての効率性・継続性を詰める。
自立度の低下を補う設備・器具の開発、ケア・サポートしやすい空間設計
3.ICT
心身機能の多様化にはソフトウエアで対応。ハードウエアは共通化
ICTを活用してDFA(Design for All)からDFE(Design for Each)へ
例えば、音声入力だけで使えるFacebookのコミュニティバージョン
研究するのは、心身機能の登録、環境センシング、ウェアラブル・コンピューティングなど。
4.高齢社会のおける地域の課題
ソーシャルビジネスは続かない。
企業と住民の協働を支える仕掛けとして「高齢者社会支援プラットフォーム」を提供。
5.ライフデザイン支援事業
人生100年時代にふさわしい後半生の生き方を支援するビジネスを模索
「ジェロントロジーライフデザインラボ」を立ち上げる。
・「熟年力」養成講座(男性50歳からのライフデザイン支援)
・クリエーティブエージング養成のための女性ライフデザイン塾
・ライフデザインの啓発を行ったりシニアビジネスを提案したりする出版物の発行
6.Smart Desin Aging提案
 「楽しく快く暮らせるか」という「快(Enjoy)」のキーワードをもとに、これからの高齢者市場開拓を異業種で研究し、実践していく。
7.高齢者及びその家族の潜在ニーズ探索のための調査研究
高齢者の「快・エンジョイライフ」を阻害する主要因は「不安」と「不便」である。
ADL低下に伴い家族や周囲に迷惑をかけることが「不安」。
周囲の負担を軽減する商品・サービスの開発を目指す。

 最後に鎌田氏から「2030年のゴールを明確にし、そこに向かってのロードマップをつくるのがコンソーシアムの目的だった」「ロードマップの本体は書籍にまとめたい」「生活シナリオは後日、ウェブで公開する」「3年目以降、もう少しゆるやかな連携組織で議論を継続する」などの話があった。

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