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藤田晋著『藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー』 (日経BP社)

Fujita_susumu
藤田晋の仕事学~藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー

 藤田晋著『藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー』 (日経BP社、2009年4月27日発行)を読んだ。
 桜井章一氏の私塾「雀鬼会」に所属したこともあるビジネス会有数の麻雀の打ち手、サイバーエージェント社長の藤田氏は日経ビジネス Associe(アソシエ)2009年2月17日号で、麻雀は、「人の性格を把握する力、ちょっとした発言の裏の意図を読む力、言葉では説明できない勝負勘、運の流れを感じ取る直感力…」が鍛えられると話していた。

 この本にも麻雀とビジネスについて書いてあるのではと思い、読んでみた。

 231ページに「麻雀はビジネスのセンスを磨ける」との項目があった。
 「麻雀はどんな牌が配られるか分かりません。場合によっては相手より不利な状況から、勝ち上がらなくてはなりません。不平等な状態でゲームが始まるのが麻雀です」「ビジネスも、スタートラインに立った時は、既に長くその仕事で経験を積んでいる先輩や競合がいたりします。最初は必ずしも平等ではありません」
 「麻雀では対戦相手が弱っている時に一気に攻め込んで叩きのめすというのが勝つための常道です。だから情けをかけたくなる友達とはなかなかできません」「ビジネスもなあなあの関係ではうまくいきません。緊張感のある関係性が必要です」。
 「麻雀は勝負どころがめったに来ません。悪い時にもいい手が来るまで焦らず、じっと耐えねばならない時間の方が長いのです」「この点もビジネスに通じます」。

 「いわゆる麻雀の下手な人とビジネスの下手な人にも一部、共通点があります」「まず"お勉強熱心"な人はダメ」「ビジネスには博才が必要だと言われますが、言い換えれば、お手本に頼らない勇気ということかもしれません」。
 「麻雀で絶対に勝てない人は、下手というよりメンタルの弱い人です」「勝負では心が揺れないことが何よりも大事。仕事も同じくどこまでもメンタルの強さが求められます」。

 168ページにも「ビジネスの場では、どんなに素晴らしい企画でも誰かに先にそれをやられてしまったら終わりです。マージャンに似たところがあり、いかに早く大きく上がるかが重要です」とのくだりがある。

 藤田社長の麻雀、ぜひ見たいものだ。

 この本、特に後半に共感できることが多々、書かれていた。
 本の読み方。
 「新聞や雑誌は『フロー』の情報です。これらは次々と新しいものを浴びるように流し読みする方が知識として身につきます。それに対して本は『ストック』の情報です。同じものを繰り返し読んでこそ、意味を持ってきます」「何より、本で得た知識は最終的に、自分の言葉に直して語れるくらいに租借できていなければ、本当に自分の役には立ちません」。
 そう思って、私も、面白かった本についてはブックレビューを書いている。

 お金の使い方。
 「私は若いうちは、お金は貯めるよりも使った方がいいと考えます。貯めてばかりいると、いざお金を使わざるを得なくなった時に、上手に使えなくなってしまうからです」「あまりにお金を使わなかったり節約ばかりに気を取られていると、どこにどれだけかけるべきか、いわゆる"生きたお金"にするための判断力が鈍ってしまいます」「お金を貯めるだけでは、企業に例えるなら経営努力をしていないのと同じと言えないでしょうか」。
 ぜんぜん貯金のない私としてはわが意を得たりという感じ(笑)。

 このほかためになったフレーズをいくつか引用しておこう。

 「そもそも自分の身近な上司の望むものすら汲み取ろうとしない人に顧客の望むものを汲み取ることなどできるでしょうか」「会社もまたあなたのクライアントなのです」。

 「ダメな上司の下ほど優秀なしっかりした部下が育ったりします。ダメな上司が逆にあなたを育てることもあるのですから、上司に期待をして思い煩うことはやめましょう」。

 「仕事に対して前向きな気持ちの時の方が、起業も転職もうまくいくのです」。

 「伸びている市場に覚悟と気合を持って飛び込むことが、成功の第一歩と言えます。起業したら、あとはとにかく猛ダッシュで駆け抜けましょう」。

 「私が見てきた範囲でもトップ営業マンと言われる人は、とにかく飛び込む勇気、行動力がある」。

 「会社のレースで『脱落していく人』の順番を考えてみました。1忍耐力のない人、2目標設定の低い人、3変化できない頑固な人」。
 これも麻雀に通じる部分がある。

 「資料は添え物程度と思い、説明だけでなく、相手の話を聞くことに力を入れてプレゼンするのが、成功への近道です」。

 「『若い感性を生かしたい』などと言って、若手にばかりアイデアを出せ!出せ!と迫る会社は多いです。でも、本来は経験豊富な経営陣こそ事業案を考えるべきだと私は考えます」「会社の軸となる"いい案"を経営陣自らがきちんと出している姿を見せれば、役員の輝かしいヒラ時代を知らない社員も彼らの実力を知り、信頼してついていく気になるでしょう」。

 「良い企画が思い浮かばないのは、往々にして情報が足りないからです。そして、情報が足りないのは、情報収集をさぼっているか、経験が足りないかのどちらかです」。

 「成長を続ける企業は、何が違うのか。それは経営者が意欲的で高い目標を持っているかどうかだと思います」「『こうしたい』『こうなりたい』という目標を立てると、人は目標に近づこうとして本来の力よりも大きく成長します」。

 「自分にとって興味のないニュースを読むために、新聞を取っているのです」。

 共感できる部分が多い一冊だった。

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