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尺八に対する見方が変わった!――尺八連盟公演“歌と邦楽による「竹取ものがたり」”

Shakuhachi
 友人に誘われて、すみだトリフォニーホール(墨田区錦糸1-2-3、03・5608・5400)での「第5回 公益社団法人日本尺八連盟 全国演奏大会東京公演」を聴きに行った。
 百聞は一見にしかず。「なんでも見聞きしよう」と思ってはいるのだが、尺八か…。
 あまり気は進まなかったのだが、誘ってくれた友人が今まで誘ってくれたものはハズレがない。「今回はハズレかもしれないけれど、行ってみよう」。そう思って、5日午後、13時30分からの“尺八コンサート”に足を運んだ。

 意外や意外。自由席ということもあるのだろうが、開場前に長蛇の列。尺八も日本の伝統文化。愛好者が多いのだなあと感心した。
 
 パンフレットを読むと、このギョーカイの方は名前の最後に「山」がつく。私なら「フーテンの中山」(笑)。

 会長の坂田誠山氏が開会のご挨拶をされた。この方が、この日、八面六臂の活躍をされることが後で分かる。坂田氏によると、今回の公演は現代曲を中心としたチャレンジングな試みらしい。ちょっと期待が高まった。

 最初は三人の尺八奏者による合奏。曲目は「霜夜」。尺八の音色の美しさをまず堪能させてくれた。

 次が「尺八と打楽器による<宵宮から本宮へ>」尺八の合奏に打楽器が加わり、祭のイメージが膨らむ。

 そして尺八三重奏曲「海のしらべ」。坂田氏が指揮をして、大勢の尺八奏者が3つのパートに分かれて尺八を吹く。尺八は、せいぜい数人が吹くものと思っていたが、オーケストラのような尺八に驚く。
 
 そして直前まで指揮をしていた坂田氏が、今度は自作の曲を独奏する。なんというパワー!
 曲目は「匠」。
 まさに匠! これは本当に尺八なのか、といったような音が出る。新しい、様々な奏法を駆使して自由に曲が進行する。“シンセサイザー尺八”を使っていたのではないかと疑いたくなるほどの見事な演奏だった。

 次の演目、「風聲鼓響(日本の独奏尺八と尺八合奏、打楽器のための)」で、また、坂田氏が指揮をする。斬新な演奏を聴いていて、6月に見た菊池寛実記念 智美術館での「第4回菊池ビエンナーレ展」を思い出した。これが「陶芸なのだろか」と思うような自由な表現。素材も陶器とは思えないようなものが多々あり、とても刺激的な空間だったのだ。

 尺八も伝統文化ということに甘んじず、世界をにらんで、新しい表現に挑戦しているのだ。そう思いながら聴いていると、とても気持ちが高ぶってきた。

 そして感動は後半の“歌と邦楽による「竹取ものがたり」”で頂点に達する。
 邦楽の演奏者たちと合唱団(その数は100人を超えていた)が繰り広げる、まさに一大邦楽エンターテインメント。

 オペラや、ディズニーランドの音楽アトラクションを連想する、楽しませる要素を巧みに取り入れて、珠玉の邦楽エンターテインメントに仕上げていた。

 かぐや姫を演じた麻生花帆さんはとても美しく、東京芸術大大学院音楽研究科博士課程を修了された才媛でもある。彼女が鼓でかぐや姫を表現。ユーモラスな部分もあったが、だんだん魅了されていった。
 バリトンの石鍋多加史氏は翁を演じながらすばらしく通る声で、竹取ものがたりを歌い、語る。
 尺八に太鼓、三味線や箏も加わり、それを坂田氏が指揮する。
 楽しい時間を過ごせた。

 やはりこの公演に誘われたもう一人の友人と、「誘いは断ってはだめだね」「本当だね」と言葉を交わした。

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