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白澤卓二著『決定版 100歳まで大病しない108の習慣』(角川SSC新書)

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決定版 100歳まで大病しない 108の習慣

 白澤卓二著『決定版 100歳まで大病しない108の習慣』(角川SSC新書、2011年7月24日発行)を読んだ。
 『100歳までボケない101の方法―脳とこころのアンチエイジング』(文春新書)、『ボケない100歳 2309人がやっていること』 (アスコムBOOKS)を既に読んだが、これらは認知症や生活習慣病の“予防策”の記述がメイン。これに対して『決定版 100歳まで大病しない108の習慣』は、「大病」ついての解説にかなりの紙数を割いているので読むことにした。

 日本人の大病①がん
 「日本人の男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんにかかるといわれています」。
 「がんは、生活習慣や紫外線、排気ガスなどの環境要因と遺伝子が絡み合って発生すると考えられています」。
 「がん遺伝子は、もともとは正常な遺伝子なのですが、何かのきっかけで傷つけられると細胞をがん化する遺伝子になります。一方、がん抑制遺伝子が傷つけられたり、一部が欠けてしまうと活性が失われてしまい、正常細胞のがん化を止められなくなってしまいます」。

 初めて知ったのは、「普通、一つの遺伝子が変異を起こしただけで、がんが発生するわけではありません。20年、30年という長い月日をかけて、一つの細胞内で複数のがん遺伝子が活性化し、複数のがん抑制遺伝子が活性を失ってはじめて正常細胞ががん細胞になるのです」ということ。
 「がん検診などでがんが発見されるのは、早期発見であってもがんの発生から20~25年くらいたっています」「私たちの体に備わった免疫システムは、がんが発生したときから微小ながん細胞を見つけ出し、押さえ込んでいるのです」。
 「私たちの体の中では、いろいろなところでがんが発生し、がん検診で発見されるほどの大きさになる前に、免疫システムが押さえ込むという死闘が行われているのです。それだけに、がんに対してとても強い攻撃力を持っているNK細胞を活性化させることが、がん予防にいかに重要かということがおわかりいただけたと思います」。

 では、どうやってNK細胞(ナチュラル・キラー細胞、リンパ球の一つ)を活性化させるか。
 「私は、川遊びや沢登りなどの自然体験がNK細胞を活性化させるのに最も効果があると考えています」。

 なるほど。がん予防などとまったく意識していない自然体験が役に立ったりするのだ。

 がんの原因の一つであるタバコについては、次の事実に驚いた。
 「タバコを吸わない人が、家族や職場の人間が吸うタバコの先から立ち上る煙(副流煙)を吸うこと(受動喫煙)で健康被害を受けています。喫煙者が吸い込む煙(主流煙)に比べて、副流煙には有害物質が2~50倍多いとされています」。
 
 よく分煙で、喫煙コーナーの人たちが群れてタバコを吸っているが、おそらく相当な副流煙を吸っている。彼らは相当危ない。

 日本人の大病②心臓と脳の病気
 「心筋梗塞や脳梗塞、脳出血のリスクになる動脈硬化は、糖尿病や高血圧、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病が主な原因になります」。

 日本人の大病③糖尿病
 「霜降り肉のように脂肪細胞が筋肉や肝臓などに入り込んだり、心臓の胸側にたまる『内臓脂肪型肥満』によって脂肪細胞が増加してインスリン作用傷害が起こります」「脂肪細胞が増えると、炎症を起こす化学物質が分泌されて、インスリンの作用を低下させます。そうすると、ブドウ糖を使って細胞や筋肉組織でエネルギーをつくったり、ブドウ糖を肝臓に蓄積することがスムーズにできなくなってしまいます。その結果、血液中にブドウ糖が増えて血糖値が高くなるのです」。
 
 日本人の大病④高血圧
 「なんらかの原因で緊張したり、ストレスを強いられると、交感神経の緊張が高まり、心臓か送り出される血液量が増えます。また、毛細血管が収縮して血圧が上昇します」。
 「食塩をとりすぎて体内にナトリウムが増加すると、体内を循環する血液量が増え、心臓から送り出される血液量が増加して血圧が上昇します」、

 日本人の大病⑤脂質異常症
 「血液中の余分なLDLコレステロールが血管壁の内部に入り込み、強い酸化作用をもつ『活性酸素』によって酸化されて『酸化LDL』になると異物とみなされて、免疫細胞の一種である『マクロファージ(貪食細胞)』に取り込まれます。酸化LDLをおなかいっぱいに取り込んだマクロファージは死滅して、血管内の内部に付着します。その結果、血管壁は徐々に厚くなり、血管の内腔が狭くなって、動脈硬化が進行します」。

 日本人の大病⑥メタボ
 「内臓脂肪型肥満(腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上)に加えて、血糖値、HDLコレステロール値または中性脂肪値、血圧のうち二つ以上が異常値を示した場合、メタボリックシンドロームと診断されます」。
 「メタボリックシンドロームとは、糖質や脂質、たんぱく質が正常に代謝されないこと(代謝異常)によって、過剰な内臓脂肪が蓄積され、生活習慣病や命にかかわる重大な病気を引き起こすことを言い表しています」。

 日本人の大病⑦認知症
 アルツハイマー病の「発症の原因は『アミロイドβたんぱく質』と呼ばれる物質が脳に蓄積されることにあります」「アミロイドβたんぱく質は脳全体にたまりますが、特に側頭葉に多く蓄積します。側頭葉には海馬があり、その神経細胞が障害されることで、短期記憶の機能が著しく低下します」。


 これらの大病を防ぐために必ず必要になるのがカロリー制限。カロリー制限によって寿命が延びることもわかっているという。
  
 以上の基礎知識を得たうえで、『100歳までボケない101の方法―脳とこころのアンチエイジング』(文春新書)などを読むとより、理解が進む。

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Comments

こんにちは、吉野と言います。

今に自分にとって知りたい内容の本です。

大変参考になりました。

Posted by: コレステロール善玉説を説く◆吉野ゆう | 2012.03.09 08:19 PM

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