岩崎日出俊『自分年金をつくる――今からでも遅くない!』(ベスト新書)
自分年金をつくる――今からでも遅くない!
岩崎日出俊『自分年金をつくる――今からでも遅くない!』(ベスト新書、2012年3月20日)を読んだ。
岩崎氏は、『定年後 年金前』(祥伝社新書)で、「老後には、一般的に言って1億円程度のお金がかかる」ことを明らかにしたうえで、「自分と言うキャリアを活かして起業し、年金では足りない定年後の生活費を自ら生み出そう」と提案する。
さらに、『マネー大激震 逆境下の資産運用術』(ベスト新書)では、「これまで『資産』だと思っていた不動産は、震災を機に一気に『リスク』となってしまった」「『不動産』『年金』『退職金』。かつてこの3つが揃っていれば老後の生活は安泰、とくに不動産に関しては、『あれば助かる』とだれもが思っていた。しかしこの神話はもはや崩れ去ってしまった」と厳しい現状を指摘。「世界の新興国に足場を築き、新興国の成長を捕捉できる体制を整えているグローバル企業に狙いを定めて投資していく」ことを勧める。
どちらも、アクティブな提案だったが、今回の『自分年金をつくる』では、早くから取り組めば、比較的容易に老後の生活のグレードアップが図れる、いわば防衛策を提案する。
何をすればいいのか。
「不動産でも預金や株などの金融資産でもいいのです。減価しにくい資産を持ちましょう。それも『円ベース』を基本にしてください」。
「目安として、月額7万円を目標にしてはいかがでしょう。毎月7万円の自分年金を資産としてもつと、老後の生活設計にある程度ゆとりがもてると思います」。
「仮に日常的な生活費は公的年金でまかなえるとしても、そこに7万円の自分年金がプラスされれば、生活の質もワンステップは確実に上がります」「サラリーマン時代にできなかった趣味や勉強を始めたり、ゴルフや温泉にも行けます。何か月分かキープしておけば、夫婦で海外旅行もできます。友人や元同僚・後輩と飲んだり、レストランで食事することもできるのです」。
自分年金はどうやってつくるのか。
例えば終身保険が払込期間満了になった時点で、受け取り方法を年金型にする。30歳から65歳まで、月々4万4580円を払い込むと、解約返戻金が1905万円になる。これを元手にすると毎月7万3300円の個人年金ができる。
30歳から積み立てをしていなかった人は、定年退職金などで60歳に1905万円を払い込めば、65歳以降、毎月7万3300円の年金を終身で受け取ることができるという。
このほかワンルームマンション、株式への投資など、岩崎氏は本書でさまざまな手段を示す。
自分年金は精神衛生上も、よいらしい。
「これまで通帳の預金残高が増えていくのを楽しみにしてきた人は、逆にそれが減っていくこと、切り崩されていくことに大きな不安を感じるようです」「自分が通帳を管理して毎月減っていく残高を確認しながら自分に年金を支払うよりも、預金以外の金融資産や不動産を持つことで、定期的に現金が預金に振り込まれていく方が安心できるという人が多いのです」。
「自分年金」という言葉は流行語になりつつあるが、単なる金融商品のPRにすぎないものもあるらしい。何が自分年金になり得るのか。それをしっかり見極めるために、本書は役に立ちそうだ。
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