« 川古温泉・浜屋旅館に宿泊その2 | Main | 伊勢丹、三越のショーウィンドウで「日本繁昌 大展覧会」と題するポスター展 »

米山秀隆著『少子高齢化時代の住宅市場』(日本経済新聞出版社)

Shoshikoreikajidainojutakusijou
少子高齢化時代の住宅市場

 米山秀隆著『少子高齢化時代の住宅市場』(日本経済新聞出版社、2011年1月20日発行)を読んだ。

 「近年の住宅マーケットは、単に新築住宅を建てていればいいという状況とはかなり様相が変わっており、長期の耐久性やエコ性能を有することを前提として、物件の再活用と社会の中での循環の仕組みの構築、高齢者向けの物件の供給など、多様な対応迫られるようになっている」。

 「2009年度の新設住宅着工戸数は、リーマン・ショック後の経済の急激な収縮に伴い、前年度比25.4%減の78万戸と1964年度以来の低水準と」なった。
 「一方、空き家率は、5年に一度行われる『住宅・土地統計調査』によると、08年時点で13.1%と、前回調査(03年)を0.9ポイント上回り、過去最高を更新した」。

 「その一方で、割安に取得できる中古住宅が見直されるという、これまで見られなかった変化が起こっている」「また、賃貸住宅では、従来であれば使い道がなく取り壊すしかなかったような古い社宅や独身寮、下宿、一軒家を、独立した個室を持ちながら、リビングやキッチンなどを共有する『シェアハウス』と呼ばれるタイプの賃貸物件に改装する動きが広がり、20~30代の若者から注目されている」。

 「数の上では日本の住宅は充足しているとはいえ、高齢化対応(バリアフリー化など)や高齢者向け住宅の整備はまだ十分とはいえない」。

 「高齢者単身世帯は2005年の387万世帯から30年には717万世帯と倍近くに増える見通しである。高齢者単身世帯の持ち家率は64%で、高齢者のいる世帯全体の持ち家率(83%)に比べるとかなり低い。今後は家を持たない高齢者世帯の増加に備え、高齢者でも安心して住める賃貸住宅が増える環境を整えておく必要がある」。
 「そのために01年に設けられたのが、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)の仕組みである。高齢者(60歳以上)の入居を拒否しない賃貸住宅を募り、その情報を登録、公開する仕組みである」。
 
 「高円賃のうち、高齢者のみを入居対象とするものが高齢者専用賃貸住宅(高専賃)である」。

 「高専賃のうち、床面積や設備などの要件を満たした上で、介護などのサービス(『入浴・排せつ・食事の介護』『食事の提供』『選択・掃除などの家事』『健康管理』のいずれかのサービス)を提供している住宅が、適合高専賃である」「適合高専賃は、国土交通省の高齢者住まい法と厚生労働省の介護保険法の両法にまたがる制度として作られたもので、高専賃に有料老人ホーム並みのサービスを加えた住宅である」。

 「国土交通省と厚生労働省は、11年度以降、設備面とともに生活支援サービスなどで一定の基準を満たす住宅を登録する『サービス付き高齢者住宅制度(仮称)』を設ける」。

 「高専賃は賃貸借契約で入居し、入居時にかかる費用は家賃2~3ヵ月分の敷金である」「これに対し、有料老人ホームは利用権契約で入居し、入居時には高い場合は数千万円にのぼる入居一時金が必要である」「高専賃では、同じ敷地や建物内に訪問介護やデイサービスの事務所を併設しているケースが多いが、形式的には訪問介護サービスとなる」「有料老人ホームでは、介護付きの場合はホームに内部の介護職員がいてそのサービスを受けられる」。
 「高専賃のほうが、要介護度が低く自立して生活できる人の入居が想定されている。訪問介護の形であるため、要介護度が高い人に対し、こまめに介護することが難しいためである」「介護の料金体系は、介護付き有料老人ホームの場合は定額制であるのに対して、高専賃の場合は訪問介護サービスであり、利用の上限を超えると自己負担となり、高額の支払いが必要になる場合もある」。
 「人生の終末期の居場所として、療養病床、介護施設、高齢者向け住宅のそれぞれがどの程度必要なのかについては、全体のバランスを見て再検討する必要があろう」。

 高齢者向け住宅以外でもさまざまな高齢化対応策がとられている。
 「建物の老朽化と入居者の高齢化に対応するため、近年、公営住宅やUR賃貸住宅では、建て替え時に福祉施設(デイサービス、在宅介護支援センター、特別養護老人ホームなど)を併設するようになっている」。

 「これまで公営住宅の供給が限られていることは、それが施策の上限となり、財政的な膨張を防いできた面もある。しかし今後は増加する単身者も含め、住宅弱者に必要な施策が行き渡ることもより配慮されねばならない。そのためには公営住宅という現物給付型の施策だけでなく、家賃補助など給付型の施策を充実させ、自治体自らが建設するのではなく、民間賃貸住宅を活用することも検討していく必要がある」。

 住宅そのものの高齢者対応とともに、独居の高齢者の増加などに対する施策が必要だ。住むという人間の最低限の要求をどう満たしていくかは、社会保障とも連動する、重要な問題だと改めて思った。

|

« 川古温泉・浜屋旅館に宿泊その2 | Main | 伊勢丹、三越のショーウィンドウで「日本繁昌 大展覧会」と題するポスター展 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17295/54404607

Listed below are links to weblogs that reference 米山秀隆著『少子高齢化時代の住宅市場』(日本経済新聞出版社):

« 川古温泉・浜屋旅館に宿泊その2 | Main | 伊勢丹、三越のショーウィンドウで「日本繁昌 大展覧会」と題するポスター展 »