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映画『アーティスト(ARTIST)』

 シネスイッチ銀座(東京都中央区銀座4-4-5、03・3561・0707)で映画『アーティスト(ARTIST)』を観た。
 Wikipediaによると――。
 『アーティスト』(The Artist)は、ミシェル・アザナヴィシウス監督、ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ出演の2011年のフランスのロマンティック・コメディ・ドラマ映画である。1927年から1932年までのハリウッドを舞台とし、トーキーの登場でサイレント映画の時代が終わったことで没落する男優と躍進する女優を描く物語である。サイレント、カラー映画として製作された。が、後に白黒になった。第64回カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、デュジャルダンが男優賞を受賞した。第84回アカデミー賞では作品賞、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)など5部門を受賞した。

 映画がサイレントからトーキーに移るころの時代の映画。だからこそモノクロでサイレントで描いたのだろうと最初は思った。エンディングは音楽と色彩いっぱいの映画なのだろうと。

 ところが最後まで、モノクロといくつかの音声を効果的に使う映画だった。

 サイレント映画で一世を風靡した男優は、サイレントの時代が来ても「俺はアーティストだ」とサイレント映画に固執する。男優を尊敬しつつも、新しいクリエイティブであるトーキーで勝負し、頭角を現していく女優。
 
 過去の人間になっていく男優に対し、女優は、彼をいつも思い、かれの再起を願う。

 しかし、彼はアーティストだった。最後までトーキーには行くことを受け入れない。
 
 女優はある企画を思い立つ。サイレントでもトーキーでも通用する“共通語”による共演だ。

 圧巻のラストだった。
 

 色をなくす。音声をなくす。
 
 なくすことで想像力が働く余地が生まれる。

 シンプルで雑音が少ないだけに、大事なものがよく見えてくる。

 現代の映画は色を使い、それを繊細にし、特撮を利用し、3Dまで導入する。

 テレビゲームがビット数を上げると同時にゲーム性という面では面白みをなくしたように、映画も、豪華な表現手段をあまた手にすると同時に、表現に目を奪われて伝えたいことが伝えられなくなってしまったのかもしれない。

 映画の原点を見るような映画だった。

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