出口治明著『百年たっても後悔しない仕事のやり方』(ダイヤモンド社)
出口治明著『百年たっても後悔しない仕事のやり方』(ダイヤモンド社、2011年3月10日発行)を読んだ。
出口氏は「1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。その後東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名変更、同社代表取締役社長に就任」。
「50代半ばまで大手の生命保険会社に勤め、還暦(60歳)でライフネット生命を創業」した出口氏が、どんな仕事観を持っているのか、興味があって読んでみた。
「人の一生は、どこかの会社に入って、そこで自分の人生が完結するとは限りません。そのように未来を固定化して、そこに自分の人生を乗せて考えられるほど、そもそも現代の日本は安定していません。頼りになるのは自分です」。
「人間は生きています。そして、必ずなんらかの仕事をしています。それが生きている、ということだからです。社会的な存在である人間は、さまざまな仕事を通して社会とつながりを持ち、それぞれの人生を作っていくのだと思います」。
「人間の一生は人智を越えた何か大きな力によって動かされているのではないだろうか。あたかも悠々と流れる大河に浮かぶように。そう考えるようになってから、『自分に正直に生きていく』ことを大切にするようになりました」。
「乱暴な表現をすればキャリアプランを作るなら、抜け穴だらけのいいかげんなものがいい。もしなれたらいいな、それだけでいいと思います」。
「会社の仕事は、どんなビジネスをやろうとか、どういう商品を売ろうかといった大きな仕事から、会議用の資料を準備する、パーティー会場を探すなどの仕事まで、必ずそこには明確な目的があり、合理的な理由があります。したがって、仕事の内容をていねいに分析すれば、多くの場合は、正しい解答に到達するはずです」「けれども、現実にはそうはなっていないことが多々、見うけられます。…それは、仕事そのものだけを考えず、余計なことを考えてしまうことが、その理由のように思えます」。
「70%正解であれば、大きな方向はできたも同然です。あとの30%は、たとえばグループのメンバーが集まって考えれば埋められます」「私は会社の仕事の場合、完全主義にこだわるのは『時間と人材の有限性』を忘れることになりかねないと思うのです」「私がリーダーの立場でスタッフに求めることは、いかなる条件下の仕事でも、コンスタントに70%の解答をスピーディに出してくれることです」。
「有限な時間と人材という前提を考える時、改善しながら進むという考え方は、今日にふさわしい仕事の進め方であると思います」。
「成功する方法が書いてある本を求めるよりも、大きな成功を成し得た偉大な先人たちの人生そのものを学ぶ位ことが大切です」。
「『きちんと眼を合わせて相手と話す、どんな時も眉間に縦皺を寄せないで話す、相手の言葉にスピーディに答える』、そのような努力をいつも続けている人と一緒に仕事ができたら、どんなに楽しいことでしょうか」。
「多くの成功体験は偶然のなりゆきや、天の時、地の利、人の和など有利な条件の集まった結果です。ですから成功体験は法則化できません」「何かをやろうと挑戦する時は、成功体験を忘れて、また失敗体験を恐れすぎず、すべてをご破算にして(自分をゼロにして)原点から考えることのほうが成功の確率は高いと思います」。
「失敗した後悔とそのことで受けた心の傷は、つらくても心の底に沈めて、失敗の原因だけを事実として記憶し、知恵の一部分とするしかないと、私は思います」。
気になる一文を引用してみたが、どの言葉にも共感できた。
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