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「ボストン美術館 日本美術の至宝」を観る。

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 『茶の本』を読んでからすっかり岡倉天心びいきになった。今日は岡倉天心が中国・日本美術部長を務めたボストン美術館所蔵の日本美術90点余りが展示されている「ボストン美術館 日本美術の至宝」を観に行ってきた。

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 東京国立博物館平成館特別展示室で3月20日から開催されていて、昨日で入場者数は50万人を超えたという。会期は明日6月10日まで。「混雑していて二大絵巻が見られなかった」と聞いていたので、開場直後に入ろうと、9時前に美術館に到着。しかし、すでに100人以上が列を作っていた。

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 開館は9時30分だが、列が長くなってきたので、平成館の前まで誘導された。

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 開館して、まず出迎えてくれたのが岡倉覚三(天心)像。平櫛田中作。

 そのあとは仏さまの絵が陳列されるが、先に、海を渡って、今回里帰りした二つの絵巻物を観に行った。

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 その一つが、吉備大臣入唐絵巻(平安時代 12世紀後半)。
 遣唐使の吉備真備。唐に着き、歓迎されと思ったら幽閉されてしまう。幽鬼がやってくるが、それは先に遣唐使として渡った安倍仲麻呂の霊だった。幽鬼の協力を得て、皇帝からの難題である『文選』を読み解き、さらに囲碁の名人に勝利(碁石を飲みこんでしまったらしい)して、無事、帰国。『文選』と囲碁を日本に伝えた、というストーリー。面白かった。

 もう一つが平治物語絵巻 三条殿夜討巻(鎌倉時代 13世紀後半)。
 藤原信頼と源義朝による後白河上皇の拉致と三条殿の焼き討ちの様子を描いている。NHK大河ドラマ『平清盛』で描かれている世界だけに、興味深かった。


 「アメリカ人を魅了した日本のわざ」に展示してあった名刀も興味深かった。刃文(焼き入れをすることにより生まれる刃縁の模様)は「互の目」「片落ち互の目」「丁子乱」など、いろいろあり、それを初めて見ることができた。


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 圧巻は松島図屏風(尾形光琳筆、江戸時代 18世紀前半)。
 荒磯に島を配した「松島図」。水平線の上にも荒波が。時空を超えた表現は、他の屏風絵を超えたセンスを感じた。

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 そして、龍の目玉がすごい、雲龍図(曽我蕭白筆 江戸時代 宝暦13<1763>年)。
 ボストン美術館に収められたときから、襖から剥がされた状態で保管されてきた巨大な龍。今回、修復作業により公開が可能となった。胴体を描いた襖絵もあったらしい。

 
 会場にはボストン美術館で日本美術のコレクションに力を尽くした、フェノロサ、ヒゲロー、岡倉天心について、紹介していた。その要約。

 フェノロサ。明治11年(1878)明治政府のお雇い外国人として来日。来日後ほどなくして日本美術に開眼。明治23年(1890)に帰国後は、ボストン美術館日本美術部長の職に就き、アメリカで日本美術を広めることに取り組んだという。フェノロサによる収集品は1,000点以上に及ぶ。

 ビゲロー。明治15年(1882)に来日し、フェノロサと共に日本美術の収集に情熱を傾けた。帰国後は長らくボストン美術館の理事を務めた。ビゲローによる収集品は約41,000点にのぼる。
 
 天心。東京大学でフェノロサに学んだ天心は、卒業後フェノロサとともに東京美術学校の設立に関わるほか、帝国博物館(現東京国立博物館)や日本美術院の創設にも携わった。明治37年(1904)にはボストン美術館に迎えられ、後に中国・日本美術部長として「アジアはひとつ」のスローガンのもと、東洋の美術品の体系的な収集に力を注いだ。

 今の日本。世界は小さくなり、インターネットなどのデジタルメディアは発達したが、日本の精神世界や文化を紹介する、天心、フェノロサのような熱い人物は残念ながら見当たらない。

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 11時前。入場制限で、30分待ち。

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 早めに鑑賞したので、博物館内のレストランもすいていた。ホテルオークラレストラン「ゆりの木」(03・5685・5125)。パンケーキ フレッシュフルーツ添え(950円)とレモンティー(セットにすると1380円)を頼んだ。 

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