新しい音楽の形を見た! 演奏会「素晴らしき日本人の歌心」
29日夜、杉並公会堂小ホールで行われた演奏会「素晴らしき日本人の歌心」 (企画・制作、藤本裕一)。
サブタイトルに「被災地支援チャリティー演奏会」「Facebookから生まれた演奏会」とあったため、“お友達”が被災者のために“この場限り”で集まって行われる演奏会と思っていた。童謡を中心に古くからの日本の歌をゆっくり聴くのもいいだろう。そう思って出掛けた。
もちろん、そうした側面もあったが、演奏が進むに従って、どんどん、引き込まれていった。
期待!?通り、「夕焼小焼」から公演は始まった。2曲目は瀧廉太郎の「花」。
演奏が進み、聴衆の気持ちが温かくなってくるのに合わせるかのように、舞台にも彩りが。
藤本さんのフルートは優しく、自由だ。あるときはほかの楽器を引き立て、あるときは自らの感情をそのまま表現する。オリジナルの「黄昏」(初演!)、「Lost Love」も披露。
冨田廣佑さんはパーカッション。素手で、リズムを紡ぐ。
高木麻衣子さん。
これはすごい音楽会かもしれない。ジャンルが分からない。ジャズでもクラシックでも歌謡曲でもない。
フランスに「シャンソン」があるが、これはまさに「日本の歌」。ジャンルにとらわれない、新しいつながりの歌ではないか――。
この公演を企画、素晴らしい音色のフルートで、どの曲にも気合というか気持ちをしっかり込めてくれた藤本裕一さんが、このメンバーを集め、それぞれの個性を引き出す編曲を行った。個性的なメンバーを見たときに、チャリティーとは言え、それぞれが自己主張を始め、演奏はばらばらになるのではないかと、実は危惧していたのだが、アーティスト一人ひとりが個性を出しながらも、楽しみながら、ハーモニーをつくり出していた。
彼女が登場してから、コンサートの雰囲気が華やいだ。ヴィオラをアドリブで弾く田中詩織さんだ。
“いまどきの女の子”なのだが、ヴィオラの演奏が始まると、弁天様がこの世に降りてきたのかと思うほどの存在感だった。
藤本さんも気持ちよさそうだ。
大寺航さん。とてもぶっ飛んでいた。「山頭火」は確かに日本の歌だが...。
彼女の登場で、このコンサートは生易しい「郷愁のひととき」ではないことが明らかに。
真っ赤なドレスのジャズボーカリスト、千景さん登場。
「様々なジャンルを完璧に歌いこなす数少ない実力派シンガーの一人」と、プロフィールにある通り、谷川俊太郎作詞・武満徹作曲の「死んだ男の残したものは」をうたった後、「涙そうそう」、絢香の「三日月」を歌いこなす。
後ろの瀬戸尚幸さん(Electric Bass)。目立たなかったが、コンサートをしっかり支えていた。
絢香の「三日月」のときに藤本さんがピアノも演奏。
菅又-Gonzo-健(Guitar)さん。2012年よりカンボジアの子どもたちの自立支援を目的に、子どもたちにギターを教えている。日本で不要になったギターを集め、カンボジアに届けている。
白いドレスの「シンガー、時々ヒーラー」、のがみともみさん登場!
「悲しくてやりきれない」「浜辺の歌」のほか、所属するAmbient Groove(アンビエント・グルーヴ)の「青空ふたりきり」を歌う。青空ふたりきりは、3.11の震災前後に作られた曲。
終盤は会場も一緒に歌に加わる。
(クリックすると大きな画像で見られます)
「赤」と「白」が交じり合った「恋のバカンス」。
「フラッシュを使用しない撮影」は許可されていたため、写真を撮り始めたが、思わずたくさん、撮ってしまった。杉並公会堂小ホールで行われた演奏会だったが、本当は大ホールで聴かせたいようなコンサートだった。
歌のジャンルは得てして壁となる。その壁を取り払って、一つになる。そのココロが、「素晴らしき日本人の歌心」 であり「Facebookから生まれた」という言葉なのだということが分かった。
ジャンルのない、心もミュージシャンも一つになる音楽会だった。参加者一人ひとりがその垣根を取ってくれた。特に、クラシック音楽を演奏する楽器だと思っていた、ヴィオラとフルートの自由で独創的な演奏は印象的だった。
今後、ジャンルを超えた「日本の歌」のコンサート、広がっていってほしい。
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Comments
ジャンルを超えた「日本の歌」コンサート
とても素敵です。
わたしも聴きに行きたいな、、、
クラシック、イタリア古典、カンツオーネ、シャンソン、日本歌曲、童謡民謡、流行歌 と歌のジャンルを変えてきたわたしの人生の歩みみたいなコンサートだなww
Posted by: タケエル | 2013.01.30 11:04 PM