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隈研吾、清野由美著『新・都市論TOKYO』『新・ムラ論TOKYO』(集英社新書)その1

Kuma_kiyono

新・都市論TOKYO、新・ムラ論TOKYO

 隈研吾、清野由美著『新・都市論TOKYO』(集英社新書、2008年1月22日発行)『新・ムラ論TOKYO』(同、2011年7月20日発行)を読んだ。

 1954年生まれの建築家、隈研吾氏と1960年生まれのジャーナリスト、清野由美さんが、「21世紀の東京に出現した超高層再開発の現場」を歩いたリポートが『新・都市論TOKYO』だ。

 「高度成長期から成熟期への急激すぎた転換。今日の日本をめぐる混乱の大半は、この『成熟期問題』に帰結する」。
 「成長期から成熟期への転換で生じた大きな『空白』を埋めることが、そもそもこれらの再開発型都市の目的であった。しかし、あれほどの『ビッグネス(大きさ)』が成熟期の都市に本当に必要なのだろうか」
 「今や、オフィスの主流は、ホームオフィスやスタジオタイプの小さなオフィスへと動きつつあるし、ネットショッピングか、さもなくば老舗の本店まで足を伸ばそうかという時代に、中途半端な店が集積した大規模商業施設は本当に必要だろうか」。

 まず回ったのは「汐留」だ。「31ヘクタール全体をひとまとめにして開発するだけの大きなリスクを負えるディベロッパーは見つからず、土地は11街区に分割されて分譲された」「その後、分割された街区間の都市計画的調整はわずかしか行われなかった」。

 次が「丸の内」。「丸の内はかつて『第二次産業型都市』におけるオフィス街の代表選手であった。第二次産業型都市では、人は都心部のオフィス街や工場で働き、海外に寝に帰る」「ところが、都市が第三次産業型に変化する途上で、工場のように騒音や有毒物質を出すものは都心部から消えてゆき、よって良好な住宅地としての郊外という存在も必要がなくなってくる」「同時に女性の社会進出が進んだので、いよいよ郊外のような『遠い』ところに住む、というライフスタイルを不都合と感じる人々が増えてくる。21世紀の東京では、郊外居住から都心居住へというライフスタイルの大きな転換が起こりつつある」。

 「都心は『働き』『住み』『遊ぶ』場所となり、逆に働く機能しか持ち合わせていない、かつての丸の内のような場所は、オフィスとしての人気も低下するという新しい現象が起きた」「その状況に危機感を持ったのが丸の内の大地主、三菱地所だった」。

 そして、「六本木ヒルズ」。「港区はもともと住宅的な用途が中心の地域で、第二次産業用地がまとまって放出される可能性は少ない。しかし見方を変えれば、脱工業社会が求める職・住・遊、三つの機能の有機的複合には、港区のような場所こそが適しているともいえる」。
 しかし、「住宅地の小区画の地主一人ずつと買収交渉をしていく」ことは、「トータルの開発コストにもはね返らざるをえない」。
 「開発コストに見合ったテナントを集めようとすれば、あるレベル以上のテナント料を支払える店舗だけになる」。

 21世紀に再開発された都市を見てあるいた隈研吾氏だが、彼が関心を持ったのは町田市と秋葉原だった。
 「今、東京という都市の中で、どの街が一番面白いかと問われたら、僕は躊躇なく『町田』と『秋葉原』と答える。この二つの街は、一方は東京の南西、一方は北東の方向に位置し、方向的にみると見事に対極を構成する。二つの街どちらにも共通するのは、リアリティとヴァーチャリティとの接合、しかもバッファー(緩衝材)の欠如した接合である」。
 「町田にはどこからか染み出てきたような、あか抜けしない泥臭さのようなもの――それをリアリティと呼んでもいいであろう――が、私鉄的なフィクションの隙間から顔を出し、流れんばかりの勢いで街を覆っている。こじゃれたファッションブティックの隣で、昔ながらの乾物屋が賑わいを呈し、また一歩路地に迷い込めば、外国人の客引きが風俗店へと誘う客を品定めしている。コーヒーショップの中では、明らかに風俗系と思われるお姉さんが、私鉄系の奥様やその子とおぼしき若者たちと隣り合ってカプチーノをすする。そんなわけの分からない混在がこの街では状態化しているのである」。

 『新・都市論TOKYO』の最後で、清野さんが、こう、まとめている。同感だ。

 「都市とは、先端テクノロジーに、名もなき人々が生活を紡ぐ時間が重ね合わさった時に、長き寿命を得ることになる。リスク管理優先の再開発が続く東京は、実はもっと有効なリスク管理を根本のところで見逃しているのではないか。もっとも有効なリスク管理。それは、歴史の継続性とクリエイティビティにほかならない」。

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