映画『アンコール!!(SONG FOR MARION)』
映画『アンコール!!(SONG FOR MARION)』を東京・有楽町のTOHOシネマズ シャンテで見た。
高齢者を描いた映画が、最近は、欧米でも多い。
老後も仲間が多いのが女性、頑固で妻以外にだれも相手にしないのが男性、というのは日本の老夫婦だけの特徴ではなく、国際的なスタンダードなのだろうか。
そんな二人を中心に描かれた老人たちのドラマは、考えてみればありふれた内容である。しかし、認知症や尊厳死などの大テーマを扱う日本の「高齢者もの」が「説明的過ぎる」のに対し、自然に観客の涙を誘うこの作品は、はるかに人々に「訴えかける」。
どんなにたくさん、理屈を並べても、人の心を動かすことができなければ、伝わったことにはならない。
この映画は、伝え方が、本当にうまい。
公式ホームページによると、配役やストーリーは以下の通りだ――。
2012年、トロント国際映画祭。クロージング作品の上映終了後、会場は涙と笑顔で溢れていたー。2013年2月に本国イギリスで待望の公開を迎えた『アンコール!!』。この夏、いよいよ日本にもその感動がやってくる!
イギリスが生んだ世界的名優テレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴを迎え、英国アカデミー賞新人賞ノミネートの新鋭ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督が脚本も手がけた半自伝的物語。ポップやロックを歌う合唱団を舞台に、一組の老夫婦とその家族や仲間たちが、何かに傷つきながらも〈もう一度人生を楽しむ〉、共感度100%の愛すべき【カムバック・エンタテインメント】が、ここに誕生した。
大切な人のため。自分のため。人生の輝きを取り戻すのに、遅すぎることなんて絶対ない。胸を打つ“歌”の数々、元気と勇気がわきあがる予想もつかない物語が、今、幕を開ける――!
主人公のアーサーを演じるのは、デビューと同時にアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、『プリシラ』『イギリスから来た男』『ワルキューレ』など数々の代表作を持つ、テレンス・スタンプ。かつて“世界で最も美しい男”と称えられた彼も73歳。強面で不器用だが、大好きな妻には頭があがらないどこかチャーミングな老人役を、リアルに演じている。アーサーの妻マリオンに、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、トニー賞の受賞経験を持ち、『ジュリエットからの手紙』の好演も記憶に新しいヴァネッサ・レッドグレイヴ。お互いをいたわり無条件に愛し合う老夫婦を、風格の中に軽やかなユーモアを滲ませて演じるふたりの芝居は、これぞ“名演”と呼ばずにいられない。そして、何よりも、ふたりがソロで披露する“歌”は、本作最大の見所!
その他、アーサーの生活を大きく変えて行く音楽教師エリザベスに、『007/慰めの報酬』のボンドガールに抜擢され、全米No.1映画『ヘンゼル&グレーテル』のヒロインも務めた若手女優ジェマ・アータートン。アーサーとマリオンの息子ジェイムスにクリストファー・エクルストンなど、実力派が脇を固める。
世界中に数々の合唱団が実在するが、本作の“年金ズ”が歌うのは、懐かしいロックやポップのヒット曲。シンディ・ローパー「トゥルー・カラーズ」、シーロー・グリーン「クレイジー」、モーターヘッド「エース・オブ・スペーズ」、スティーヴィー・ワンダー「サンシャイン」、そして、ビリー・ジョエル、ルーファス&チャカ・カーン・・・などなど。誰もが一度は聞いたことがあるメロディに、思わず一緒に歌い、踊り出したくなってしまう。さらに、エンディングを締めくくる主題歌は、『タイタニック』でも有名な世界の歌姫セリーヌ・ディオン。本作のために書き下ろした新曲“Unfinished Songs”が放つ力強い光は、映画を観終わった後も心を明るく照らし続けてくれる。
少子高齢化は、大変な問題ではあるが、若い人たちも仲間に加え、みなが助け合っていけば決して不安はない。
そして、高齢になってこそ、実現できるクリエイティブなこともある。
ぜひとも伝えてほしいメッセージがある。
そんなことを胸に刻んでくれる、とても楽しく、じ~んとくる映画だった。
キャスト:
アーサー:テレンス・スタンプ
マリオン:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
エリザベス:ジェマ・アータートン
ジェームズ:クリストファー・エクルストン
製作年:2012年
製作国:イギリス
配給:アスミック・エース
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