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市川海老蔵第1回自主公演「ABKAI-えびかい-」を観る

 

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 Bunkamuraシアターコクーンで、市川海老蔵第1回自主公演「ABKAI-えびかい-を観た。

 
 演目は、歌舞伎十八番の内「蛇柳」(脚本:松岡亮、振付・演出:藤間勘十郎)と、新作歌舞伎 「疾風如白狗怒涛之花咲翁物語。~はなさかじいさん~」(脚本:宮沢章夫、演出:宮本亜門)。

 面白かった。楽しかった。 

 予備知識などがなくても、歌舞伎の面白さを体全体で感じることができる二つの演目だった。

 市川海老蔵。大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』(NHK/2003年) で宮本武蔵の役を演じる彼を見たとき、いい役者だなと思った。しかし、西麻布の飲食店でトラブルに巻き込まれ、頭部、顔面を負傷した海老蔵をみて「歌舞伎の未来は大丈夫なのか」と不安になった。

 しかし、今日の芝居をみて、これだけ華のある役者は、ほかにいないと思ったし、新しいものを取り入れるのにまったく抵抗がない彼のパワーには舌を巻いた。彼が、新時代の歌舞伎を引っ張っていくに違いない。

  カタログによると――。

 「『蛇柳』は、宝暦13(1763)年に江戸中村座で上演された『百千鳥大磯流通(ももちどりおおいそがよい)』の三番目で演じられた『夏柳烏玉川(なつやなぎうばたまがわ)』という大薩摩節による所作事がその初演と考えられています。主人公の丹波の助太郎を演じたのは四世市川團十郎でした。初演時の資料はほとんど残っていませんが、道化の役どころであった丹波の助太郎に清姫の霊魂が乗り移り、嫉妬に狂う様子を見せた舞台であったようです」

 「四世團十郎が初演した『蛇柳』は、一度のみの上演で途絶えてしまい、『勧進帳』を初演したことでも知られる七世市川團十郎が、復活を志しましたが未上演に終わりました。そして、昭和22(1947)年に歌舞伎十八番の復活に心血を注いだ十世團十郎(五世三升)によって復活上演されましたが、その後、再演される機会はありませんでした」

 「今回の『蛇柳』は、四世團十郎の初演時の数少ない資料や、高野山の蛇柳の伝説をもとに、まったく新たな構想のもと台本を作成し、長唄の舞踊劇として構成されました。振付、演出を行うのは、これまでも市川海老蔵と歌舞伎十八番の復活、新作歌舞伎など、数々の仕事を共に行ってきた藤間勘十郎です」

 

 ヒーローが登場する華やかな幕切れ。これぞ歌舞伎、と満面笑みになってしまった。

 「数々の舞台演出を手掛け、近年はKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督として話題作を提供、今や日本を代表する演出家のひとりである宮本亜門が演出を、遊園地再生事業団を主宰し、劇作家、演出家、作家として多面的に活躍する宮沢章夫が脚本を、そして次代の歌舞伎を担う花形俳優のひとりである市川海老蔵が主演する『疾風如白狗怒涛之花咲翁物語(はやてのごときしろいぬどとうのはなさきおきなのものがたり)。』~はなさかじいさん~は、まさにこれまでにない歌舞伎ということができるでしょう」

 

 日本昔ばなしを歌舞伎にするという構想を披露する海老蔵をテレビで見ていたが、日本昔ばなしが歌舞伎になるとは思えなかった。しかし、実際に出来上がったものを見ると、歌舞伎というインフラを使えば、どんな話でも歌舞伎になってしまうということがわかった。その出来不出来が問題なだけで、歌舞伎という芸術の懐はとても広いのだ。

 今回のはなさかじじいは、「素人がみて、とても楽しめる歌舞伎」だった。

 

 閉塞感のあるいまの世の中に花を咲かせる。環境問題、人と人のコミュニケーション、本当に人間が必要とするもの――言葉にすると陳腐なのだが、そうしたメッセージが無理なく伝わってくる。ラストシーンには「人類の幸せ」を感じてしまった。

 歌舞伎は昔から庶民のもので、江戸の庶民は、今日の私のような気持ちで、歌舞伎を楽しんだのだろうな、と江戸時代にワープしたような気分にもなった。

 

 せっかく生で歌い、演奏しているのにスピーカーを通したために、録音を流しているような感じになったのはもったいない気がしたが、そうした細かいことは、今後、「昔ばなし」を上演していく過程で洗練されていくのだろう。

 まずは現代の歌舞伎に失われていた(かもしれない)庶民性の回復というところから、次の團十郎はスタートを切ったようだ。

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