「馬医」全50話(NHKBSプレミアム他)
NHKBSプレミアムで再放送されている「馬医」にはまり、14話をテレビで見たあと、ネットで50話まで一気に見てしまった。
「トンイ」「宮廷女官チャングムの誓い」を作った、イ・ビョンフン監督の作品。
魅力的な女性が主人公のトンイ、チャングムに対し、馬医の1回目の放送はやや暗い感じがして、最初の放送は結局、1話しか見なかったのだが、今回の再放送を見て、引き込まれた。主役(ペク・クァンヒョン、チニョン)の二人が爽やかで、恋愛ドラマとしても楽しめるが、テーマは壮大。人を切り裂くことは医術ではないと思われていた時代に、家畜を治す馬医の経験と、天性の針やメスを使う技術を駆使して、次々と難病を外科手術で直してしまうドラマは痛快だった。これに宮廷の権謀術数が絡むいつものストーリーで、視聴者を引きつける。
イ・ビョンフンの作品をいくつか見るとわかるが、脇役は、同じ俳優が固め、ストーリーも典型的な勧善懲悪。水戸黄門とまではいかないが、わかりやく、親しみやすく作っている。舞台でみる演劇のように、限られた俳優の中で、話の中心が見える形にしたうえで、大きなテーマや深い問題を描いている。どうすれば視聴者の感情と知性に効率よく訴えていけるのかを、イ・ビョンフン監督は知り尽くしているようだ。
解説はNHKのホームページがわかりやすい。一部を引用する――。
馬の医者からやがて王の主治医にまでなった男、ペク・クァンヒョン。その波乱に満ちた生涯をドラマチックに描く“メディカル史劇”。ペク・クァンヒョンの医療への志を軸に、ラブロマンス、陰謀、復讐(ふくしゅう)、親子愛など、イ・ビョンフンワールド満載の壮大なエンターテインメントドラマ。
時は17世紀。医官カン・ドジュンとイ・ミョンファン、医女チャン・インジュの3人の若者は身分を超えた絆で結ばれていたが、朝廷内の陰謀に巻き込まれ、その友情は悲しくも無残に崩れ去る。イ・ミョンファンの裏切りにより、カン・ドジュンは世子(セジャ)暗殺の罪をかぶせられ処刑に。罪人の息子として生まれたクァンヒョンはすぐに処刑されそうになるが、女児なら処刑を免れるため、カン・ドジュンを慕う奴婢(ぬひ)ペク・ソックが自分の娘チニョンとすりかえる。一命を取り留めたクァンヒョンは、自分の本当の素性を知らぬまま奴婢として牧場で育てられ、やがて腕利きの馬医へと成長。そして、運命に導かれるように実父と同じ医官への道を歩みだす。
イ・ビョンフン監督 渾身(こんしん)の思いを込めた最新作
韓国歴史ドラマの巨匠、イ・ビョンフン監督にとって、『ホジュン』『宮廷女官 チャングムの誓い』に続く3作目の医療ドラマ。馬の医者、獣医学の世界に挑み、新たな“メディカル史劇”を生み出した。監督が特にこだわったのが治療シーンのリアリティー。「恵民署(ヘーミンソ)」や「内医院(ネイウォン)」などを舞台に、医師たちの葛藤や喜びを巧みに描く。
“神医”ペク・クァンヒョン 命に向き合う志
ペク・クァンヒョンのモデルは、朝鮮王朝時代に王の主治医を務めた実在の人物。馬医出身ながら、独学で学んだ鍼(はり)治療の技術で人の病気も次々と治療。当時としては画期的な外科手術を試み“神医”とも呼ばれた。本作では、クァンヒョンの“すべての尊い命に向き合う心”を丹念に描きだす。
歴史に残る疑惑の病死
物語の発端となる王位後継者の「昭顕(ソヒョン)世子(セジャ)暗殺事件」は、朝鮮王朝の歴史に残るミステリー。記録では病死とされている昭顕世子は、父である第16代王・仁祖(インジョ)が、革新的で有能な息子を疎ましく思い秘かに毒殺したとも言われている。時に人の命まで左右する薬や鍼、手術などの医療に本作で誰がどういう思いで向き合っていくのか注目だ。
運命の渦…儚(はかな)く切ない恋物語
生まれてすぐにすりかえられ、数奇な人生を余儀なくされたクァンヒョンとチニョン。それぞれの人生を生きながらも、2人は運命の糸で強く結ばれていた。そして奇跡的な出会いを果たし、やがて互いに恋心を抱いていく。しかし、そこに立ちはだかる身分の壁、陰謀、出生の秘密…。複雑に交錯していく2人の恋と人生の行方に目が離せない。
実力派俳優チョ・スンウ 待望のドラマ初出演!
クァンヒョンを演じるのはミュージカル界のトップスター、チョ・スンウ。最もチケットの取れない俳優と言われるカリスマ俳優で、テレビドラマは本作が初出演。舞台、映画で培った演技力で、医道に邁進(まいしん)するひたむきで純粋な主人公を力強く演じる。
| Permalink | 0
The comments to this entry are closed.
Comments