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寄付をお願いする行為は社会改革!――鵜尾雅隆著『改訂版 ファンドレイジングが社会を変える~非営利の資金調達を成功させるための原則』(三一書房)

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改訂版 ファンドレイジングが社会を変える

 鵜尾雅隆著『改訂版 ファンドレイジングが社会を変える~非営利の資金調達を成功させるための原則』(三一書房、2014年8月18日発行)を読んだ。

 2009年4月に『ファンドレイジングが社会を変える』を発行後、5年間で「善意の資金循環」をめぐる状況が大きく変わったことが改訂版を発行した理由だと鵜尾氏は言う。しかし、「様々な団体で資金集めに悩む方々に参考となる気づきやアイデアやノウハウをご提供する」狙いは変わっておらず、その部分は改訂していないという。

 これからNPO法人の設立を目指す人にとっては非常に役立つ実用的な話が書かれている。

 「ファンドレイジングとは、NPOなどが事業に必要な資金を社会から集める手段のことを指しています」。

 まず、鵜尾氏がいくつかの「原則」を紹介する。

 第1の原則=ファンドレイジングを「単なる資金集めの手段」ではなく、「社会を変えていく手段」として捉え直す。

 第2の原則=ファンドレイジングは、「施しをお願いする行為」ではなく、社会に「共感」してもらい、自らの団体の持つ「解決策」を理解してもらう行為であると考える。

 第3の原則=「よい活動をしているのに寄付などが集まらないのは、社会が成熟していないからだ」という発想を捨てる。

 第4の原則=大きな支援を得るためには、NPO自身も「つり銭型寄付」のパラダイムのみならず、「社会変革型寄付」のパラダイムを念頭に置く。

 第5の原則=日本には寄付文化がないのではなく、寄付の成功体験と習慣がないにすぎないと理解する。

 第6の原則=活動の質を高め、適切な組織マネジメントを行うことは、良いファンドレイジングの前提であると理解する。

 第7の原則=日本の寄付市場の大きな流れに乗る。

 一言で言えば、社会変革を目指すNPOならば、寄付を集めること自体が社会変革を訴える行為になるという発想に立たなければいけないということだ。

 そして、ファンドレイジングを成功に導くためのステップや技を紹介する。

 「いま一度自分たちのNPOが実現したい状況はどんな状態なのかをイメージします。そして、それを文章化します」。

 組織のビジョンやミッションについては、「『自分たちは何者で、何を目指すのか、そして何を達成したいのか』ということが、簡潔に、かつ共感を得やすい表現になっているかを再確認します」。

 「たとえば1万円で何ができます、といったメッセージに活動を集約して説明できないかという視点も重要です」。

 「『喜び』『嬉しさ』『感動』といったキーワードに引っかかる体験を洗い出して表現します」。

 

 なるほど、と思う指摘が並ぶが、特に組織作りに関するくだりは、秀逸だ。

 「ファンドレイジングの成否は、そのファンドレイジングを『是が非でも成功させたい』と考えている人が、スタッフ以外に5名から10名いるか否かで左右されることがよくあります。こうしたコアな支援者を得るためには、早めの段階での『巻き込み』がポイントです」「実際には『実行委員会』のような組織を設置し、一定期間内に3~4回程度の集まりを持つこともひとつの方法です」「この実行委員会の位置づけは、『運命共同体』として、今回のファンドレイジングの成功も失敗も共有するメンバーを特定することにあります」「ここでひとつ注意すべき点は『そもそも論ばかり言う人』『ネガティブな発言を繰り返す人』は参加させないということです」「ある程度の温度感を持って、どんどん前向きに物事を進められるチームにするということが最優先です」。

 仮にお金は集まらなくても、共感してもらうことが重要。「儲け話」をするのではなく「ビジョン」を訴える。そんな毎日を過ごしたいものだ。

 この本を読むと、NPOを実際に立ち上げてみたい、という熱い思いに駆られる。

 

 

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