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第103回草月いけばな展「草月ってなんだろう?What’s SOGETSU」

 日本橋高島屋S.C.本館8階ホールで開かれた第103回草月いけばな展「草月ってなんだろう?What’s SOGETSU」を見た。草月のいけばなは『型』にとらわれることなく、常に新しく、自由にその人の個性を映し出します。いつでも、どこでも、だれにでも、そして、どのような素材を使ってもいけられるのが草月流。いけ手の自由な思いを花に託して、自分らしく、のびやかに花をいけていきます」(蒼月ホームページ)。

 この言葉の意味するところが実際にわかる面白いいけばな展だった。

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 かつていけばなというと、良妻賢母になるためのお稽古の一つというイメージが強かった。茶道も一緒。

 でも、「草月ってなんだろう?」のチラシを見ると、「花の力、無になれる時。」「未来に向かって生きる力」「創造と活力の泉」など、自己実現、活力を得る手段として捉えている人が多いことがわかる。この感覚は茶道の稽古を始めたばかりの私の茶道への思いとも一致する。人を型にはめるものではなく、人を花開かせるアートがいけばななのかな?と思い、展示室を歩いた。

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 まるで宇宙船の中でいけられているような作品。こんな未来的な表現もあるのだなと驚いた。

 一方で、残念ながら「いかにも作りもの」という作品もあった。芸術的な作品か、チャチな作り物かは、紙一重の差なのかなと思った。抵抗なく受け入れられるのは、人の手が入っても自然に見えるかどうか、が一つのポイントと感じた。

 会場の作品は、①おっと思うアート作品②ありきたりのいけばな③いかにも人工的な作りものーーの3つに分かれると感じた。

 ここでは①のアート作品として面白いと思ったものだけを紹介する。

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 会場は、人、人。とても人気のある展覧会だった。

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 家元の勅使河原茜さんの作品。

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 最後が高校の大先輩の作品。両隣の作品と比べると、味わいが違う。

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 自由で創造性が発揮された作品を堪能した。

 草月作品の良さは、何も考えず、感じることが出来たこと。

 美術館に展示される現代アート作品を見ると「この作者は何を表現しているのだろう?」「テーマがわからない?」「訳がわからない」となるのだが、素直に感じて面白いか、好きか嫌いかで、見ることが出来た。素朴に楽しめるアート。それも草月、なのだと思った。

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ドラマ「アキラとあきら」

 Netflixで、ドラマ「アキラとあきら」(全9話)を観た。

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 原作は、池井戸潤の経済小説。なぜ今まで知らなかったのだろうと思い、調べると2017年7月から9月までWOWOW 「連続ドラマW」枠で放送されたという。

 竹内涼真と横浜流星が主演する映画「アキラとあきら」が公開され、ドラマもあるじゃないかと気づいて、たまたま観たが、「半沢直樹」に勝るとも劣らない面白さだった。

 物語は1970年代前半から2000年代前半の約30年間、オイルショックからバブル期を経て、失われた10年を背景としている。

 融資を求める企業役と融資を審査する銀行役に分かれて行う新人研修のシミュレーションゲームで、銀行マンとしての二人の卓越したセンスが発揮される。それだけでなく、彼らは過去にも二度、会っていた。運命的な二人は最後に経営危機に陥る企業のトップ、銀行の融資責任者という立場でタッグを組む。

 とにかく向井理と斎藤工がかっこいい。銀行は一時、企業や社員を助けるためではなく、金を儲けるために(絶対に損をしないように)貸すような姿勢になっていたが、二人はあくまでも、社員を路頭に迷わせないための策を考えに考える。銀行の本来の在り方も指し示す、気持ちの良いドラマもだった。

 半沢直樹は「倍返し」や毒のあるキャストなどで話題になったが、「アキラとあきら」は大河ドラマのようなスケール感もある、正統派のとても面白いドラマだった。


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菊池寛著「恩讐の彼方に」(audible)

 菊池寛著「恩讐の彼方に」(前編後編)を audibleで聴いた。

 菊池寛の名前を知らない人はあまりいない。「文藝春秋」を創刊、芥川賞、直木賞なども創設した。

 しかし。

 菊池寛の小説を読んだことがなかった。

 菊池寛に限らず、著者名と作品名は知っていても、それだけ、ということのなんと多いことか。

 特に社会人になってから読書が「実用書」に偏重、小説は、知らないと時代に取り残されそうな売れっ子作家のものしか読まなくなった気がする。

 いまも、読まなければいけない実用書が山積みで、小説を読んでいる時間はあまりない。

 でも、文章を書く仕事をしていながら、名の知れた作家たちの作品も知らないというのでは恥ずかしい。

 そこで、目を瞑って疲れを取りながら聴ける「audible」を選んだ。

 前置きが長くなったが、audibleで「恩讐の彼方に」を聴いた。面白かった。まるで映画を観た後のように、ビジュアルで小説の世界が浮かんでくる。

 ストーリーを簡単に。

 主人の妾と情を通じたことがわかり、主人に斬りかかられ、最後は主人を殺してしまう市九郎。妾のいいなりになって逃げ、次から次へと罪を重ねてしまうが、ある上人に出会い懺悔し、諸人救済の旅に出る。一方、主人の息子、中川実之助は親の仇を打とうと市九郎を追って全国を旅する。ようやく市九郎を見つけ出すがーー。

 「恩讐の彼方」という言葉は知っていたが、その意味するところがよくわかった。前編では市九郎、後編では実之助にすっかり感情移入してしまった。

 NHKのSONGSで松任谷由実が「パーソナルなところに掘り込んでいくと、ある時から一般性を帯びる」と言っていたが、小説という人を通して物語を紡ぐ形式は、普遍性を帯びるのだなと感じた。

 これからもaudibleで読んでいなかった名作と言われる近代小説を読んでいきたい。

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静嘉堂@丸の内「響きあう名宝ー曜変・琳派のかがやき」

 東京都世田谷区にあった静嘉堂文庫美術館が展示 ギャラリーを丸の内の重要文化財、明治生命館(東京都千代田区)1 階に移転。10月にオープンした。開館記念展となる「響きあう名宝ー曜変・琳派のかがやき」を観た。

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 ガラス天井の広場(ホワイエ)をぐるりと4 つの展示室が囲む。一度全体を見終わった後、もう一度見たい作品に行きやすいのがいい。

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 茶道具の名品、琳派の屏風・絵皿、羅漢を描いた南宋から元時代の中国の屏風などを鑑賞した。

 中でも、曜変(茶碗の内面に浮かんだ大小の斑紋の周囲に青から藍に輝く光彩があらわれた)天目、油滴(大粒の油滴斑が碗の内外にあらわれている)天目の両茶碗は、偶然が生んだ意匠は神秘的で、魅了された。

 酒井抱一の絵手鑑(画帖)、尾形光琳の「鵜舟図」は、美しさと同時に愛を感じる絵で親しみを持った。

 寛永の三筆と知られる本阿弥光悦の味わいのある書にも惹かれた(草木摺絵新古今和歌集巻)。

 


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映画「ONE PIECE FILM RED」

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 映画「ONE PIECE FILM RED」を観た。

 まず、入場者プレゼントの小冊子がすごい。普通の映画パンフレットより濃い、登場人物がすごくよくわかる、歌も歌える!

 さて、作品は、期待外れの部分と期待以上の部分の両方だった。

 期待はずれというのはUTAの歌を何度もYouTubeで聴いていて、REDはミュージカルのような映画かもしれないと思い込んでいた。ずっと大音量で音楽がかかって、コンサートのような熱狂の渦になるかと思っていた。

 けれど、やはりワンピース。UTAは普通の少女ではなかった。シャンクスの娘がただものであるはずがない。しかし、シャンクスの娘でありながら海賊を嫌っている。いったい過去に何があったのか。

 歌で人を救うというUTA。熱狂のコンサートに、なぜか海軍の大物や、大物海賊たちも集結して、映画はどんどん盛り上がる。夢と現実の交錯。

 スケールの大きな、とても楽しい映画だった。

 



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