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映画「土を喰らう十二ヵ月」

 沢田研二主演の映画「土を喰らう十二ヵ月」をシネスイッチ銀座で観た。

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 人里離れた信州の山荘で野菜を植えたり、山菜やタケノコを獲ったりして一人暮らす作家のツトム(沢田研二)の12ヵ月を描く。

 野菜の土を落とし、念入りに洗う。米をしっかり研ぎ、釜で炊き上げる。一つひとつの動きに心がこもっていて、毎日の暮らしを大事にしている様がよくわかる。

 抹茶を点てたり、来客に梅酢のジュースを振る舞ったりする時の所作も綺麗。

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 四季の移り変わりも美しいがその中で生きるツトムの生き様が凛としていて気持ちがいい。

 死線を彷徨った後は、夜寝る時に、二度と起きることがないことを覚悟して眠りにつき、目が覚めると新たな気持ちで1日を過ごす。余計なことは考えず、1日1日を生き切ることで不安を払拭する。

 シンプルに生き、暮らして、夜はペンを走らせる。こんな生き方ができたらいいなと感じた。

 私は農作業もし、茶道や俳句、山歩きで四季を感じるなど、ツトムの生き方に共感できる程度には、自然や伝統的な生活文化に触れて生きている。仕事のために暮らしを犠牲にするのではなく、仕事も生活と一体で進める様子を見て、「この生き方に賛成!」と強く思った。

 沢田研二が優しさ溢れる初老の男になっているのを見て、いい歳の取り方をしているなーと感心もした。

 


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