高齢社会エキスパートの第一回の交流会、東大で開催

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 「第1回高齢社会エキスパート交流会」が5月23日、東京大学の山上会館で開かれ、82人が参加した(写真はすべて高齢社会検定協会提供)。

 「高齢社会エキスパート」は、一般社団法人の高齢社会検定協会が実施する高齢社会検定試験の合格者が同協会から付与される民間資格(称号)。検定試験は2013年に始まり、2回実施され、718名が高齢社会エキスパートの認定を受けている。

 高齢社会エキスパートが一堂に会する機会を設けてほしいという声が、エキスパートの間で高まっていた。協会側も、今後の運営や協会とエキスパートの協力態勢について意見交換する場を持ちたいという気持ちがあり、交流会が実現した。

 3月末に「高齢者エキスパート企画運営委員会」が発足。協会と協力しながら準備を進めてきた。

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 午後2時から始まった交流会では、まず、検定協会の代表理事である秋山弘子東京大学高齢社会総合研究機構特任教授が、「高齢社会エキスパートの有志の方による企画、運営で第1回の交流会がキックオフできたことを、大変嬉しく思っております」と挨拶。「日本は長寿社会のフロントランナーだが、ジェロントロジーの教育は大変遅れており、2009年から東大で学部横断の教育を始め、昨年、大学院も設けた。しかし、それだけでは超高齢社会の課題解決ニーズを満たせないと考え、現在、社会で活躍されている方にジェロントロジー、超高齢社会の課題を学んでいただこうという趣旨で検定事業を始めた」と高齢社会検定の狙いを語った。

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 東京大学高齢社会総合研究機構客員研究員の前田展弘氏が、高齢社会検定協会の活動報告を行った後、同氏の進行で、秋山代表理事、辻哲夫理事(東京大学高齢社会総合研究機構教授)と、宮谷雅光さん(ニッセイ保険エージェンシー総務部長兼システムプロジェクト推進室長)、小田史子さん(中野区鷺宮すこやか福士センター所長)のエキスパート2人によるパネルディスカッションが行われた。

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 最初のテーマは超高齢社会の課題解決。秋山教授が柏市で取り組んでいるセカンドライフの就労事業について説明した。

 「これから高齢者の人口が増えるのは都市部で、特に都市周辺のベッドタウンで高齢者が増える。彼らはお元気で、知識、技術、ネットワークをお持ちだが、『何をしていいかわからない』『行くところがない』『話す人いない』という人が多いのが現状」「 家でテレビを見てゴロゴロするような生活をしていると、筋肉や脳が弱る。生産年齢人口減少が深刻になっているときに、有能な方が何もしないでいるのはもったいない。彼らは『支える側に回りたい』と願っているので、歩いて、あるいは自転車で行けるようなところで、いろいろな働き場所を作ろうということを考えた。そして、自分で時間を決めて働くという、自由な働き方ができるようにした」「柔軟な就労なスキームを作ろうということで、柏市では、農業、食、子育て、生活支援、福祉サービスなど9つの仕事場を作った」「80歳くらいまでは働くのが普通のまちを作りたい」「常に外に出て人と交わって活動する。生産者であり消費者であり納税者あるというような生涯現役の社会を実現したい」
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 辻教授は、在宅医療と連動した地域包括ケアシステムについて柏市での取り組みを紹介した。

 「東大ではAging in Place(住み慣れた地域で最期まで自分らしく老いることができる社会の実現)を提唱したが、その後、地域包括ケアシステムというほぼ同じ概念を国が推進することになった。『予防』『医療』『介護』『住宅』『生活支援』の5つのサービスを一限定に提供するシステムだ」「日本人は老いて虚弱になって亡くなるというのが一般的になったが、虚弱になって朝から晩まで病院で過ごすのは情けない。家で最期を迎えたい人はそれができるような、住まいで医療や介護のサービスが受けられるシステムに転換していこうというのが国が目指していることだ」「日常生活圏(中学校区)で住まいを中心に医療や介護や生活支援など様々なサービスが提供される。柏ではそういったモデルに取り組んだ」「医者が訪問診療をしてくれるように医師会と組んで研修プログラムを実施した。医師と、他職種との連携も進めた」「豊四季台団地の真ん中にサービス付き高齢者向け住宅を昨年5月に誘致した。1階に24時間対応の訪問看護、介護の事業所や在宅療養支援診療所などが入っており、これらは周辺地域に対してもサービスを提供する」「柏市はこうした施設を日常生活圏単位で計画的に整備していく段階に入った」「生活支援拠点にはコンシェルジェを置いて、高齢者が活動的になるような生活支援をすることもいま、検討している」

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 宮谷さんが秋山教授に質問した。

 「母親が認知症で要介護4。脳梗塞も起こして入院している。70歳を過ぎるころまでは非常に元気だったが、父親が亡くなったあたりから坂道を転げ落ちるように急に何もできなくなった。母が柏のようなところに住んでいたら、いまのようにはなっていなかったのではと思うのだが、柏市での取り組みはどのように全国に広げていこうと思っているのか」「柏市は東大と組んだが、リーダーシップを取るような団体がないような地域では、柏市のような取り組みがどのように展開されていくのだろうか」。

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 秋山教授が回答した。

 「モデル事業として3年間集中的に就労事業に取り組み、最後に、地域にどのように仕事場を作るかということ、および新しい働き方についてマニュアルを作った。これを下敷きにして、ほかのコミュニティでも就労のシステムができるようにした」「人生90年。職業生活70年と言われている。そうすると70年同じ仕事をするとは考えられない。これからの人生は二毛作、三毛作になると思う。長寿社会のニーズに対応した形で雇用制度や、教育制度などの社会のシステムを変えていかなくてはならない」「昨年暮れあたりから生涯現役社会を実現するための委員会が厚労省で立ち上がり、私も委員をしている。最終報告書案もまとまったところだが、人生70年の職業生活を送るためには若いころから自分で職業生活を設計していくという生き方をしていかなければならない。高齢期は柏の事例を具体的に報告書に盛り込み、制度化も検討するというので、柏の事例が全国に広がればいいと思う」。

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 小田さんが辻教授に質問した。

 「在宅医療と介護の連携を進めるためには、何が必要なのか、柏での経験をもとに教えてほしい」。

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 辻教授が答えた。

 「これまで専門医は病院での医療しか知らない人がほとんどで、在宅に人を割くというのは新しいことです。しかし在宅にシフトしないと、日本の病院は患者を受け止めきれなくなる」「柏市の医師会の会長は、在宅医療を医師会としてやることを決めてくれた。これが大きなポイントだった」「在宅を支えるのは看護師であり、介護士であり、ケアマネジャーだ。医師は2週間に1回くらいしかいかないが、そのときの判断とアドバイスが重要になる。医師と他の職種をだれがつなぐのかといえば、それが市町村ということになる。行政が自分がつなぎ役になるということを決意しなければいけない。柏市は市役所と医師会が、連携することに合意してくれた」「成果があったのは医師も看護師も薬剤師も同じテーブルについて議論する多職種連携研修で、これは柏市がコーディネートして実現した」「結果的にはこの仕組みが全国に広がることになり、制度改正されて、全国の市町村が介護保険の地域支援事業として、在宅医療と介護の連携を平成30年4月までに進めなければならなくなった」

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 次のテーマは、高齢者エキスパート。

 宮谷さんは「母の認知症の症状が進んだときに、もう少し知識があれば、接し方も変わっていたかもしれないと思う。超高齢社会に、あまり若い人が関心を持たないのが日本の現状のような気がする。私自身、会社に勧められて受験したが、若い人を含め周りの人に超高齢社会のこと、高齢社会検定にもっと関心を持ってもらえるようにしたい」と超高齢社会の知識の啓発活動の重要性を強調した。

 小田さんは「辻先生の講演を聞き、高齢社会検定があることを知り、受験することにした。そのためにテキストを学び、知らないこともあって、自己啓発になった。私は50代だが、人生二毛作ということで、これから何をしようか、いままでの自分の経験をどのように地域に生かせるのだろうかということを去年から考えるようになった」と、これからの人生への取り組み姿勢が変わったことを明らかにした。

 2人の発言を受け、秋山教授は「自分自身がどう生きるかということと、家族の高齢化にどう対応するかということには役に立つと思うが、もう一つは仕事をしている人や団体で活躍している人にとっても重要な知識なので、次のステップとしては、企業や団体に働きかけていかなければならないと思った」と述べた。

 辻教授は「秋山先生がおっしゃっていたことで非常に感銘を受けたのが価値観の変容ということ。人生肩書きで生きるには長過ぎる。超高齢社会は価値観の変容を伴う非常に大きな変革だと思う。そういうことを論理として学んで、人に話をすると結構重宝がられる。高齢社会のことを皆、知らない。長い人生をどう実りのあるものにするかを知っている人は、これから重宝がられると思う。皆さんもいろいろな場面で高齢社会の生き方などを説いてほしい。高齢社会エキスパートには、ぜひ活躍してもらいたい」。

 午後3時20分からは、参加者がA班からG班までに分かれて、50分のグループワークを行った。高齢社会について関心のあるテーマなどを明らかにしながら各自が自己紹介。その後、今後、検定協会に期待すること、エキスパートのネットワークなどを活用して、それぞれが取り組みたいことなどについて議論した。

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 Aグループ。ファシリテーターは岡本憲之さん。

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 Bグループ。ファシリテーターは、小田史子さん。

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 Cグループ。ファシリテーターは村山眞弓さん。

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 D班。ファシリテーターは櫻井恵子さん。

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 Eグループ。ファシリテーターは宮谷雅光さん。

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 Fグループ。ファシリテーターは村松文子さん。

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 Gグループ。ファシリテーターは有安隆さんと野村歩さん。

 時間はあっという間に過ぎ、午後4時20分から、一人2分の持ち時間でグループワーク結果報告。

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 発表資料を読み込んでスクリーンに映す準備も大忙し。

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 グループワーク結果報告は以下の通り。各グループとも発表者が2分程度で手際よく議論の要点を発表してくれた。

 Aグループ

 ◎高齢社会検定協会に期待すること

 ・若い世代に関心を持ってもらうための教育。
 (学校教育などで教育してもらう、etc...)
 ・検定の知名度を上げるための取り組み
 (マスコミの活用、行政をあげての取り組み、etc...)
 ・合格者に対するフォロー研修
  会報、スキルアップーー会費、人手?
 ◎高齢社会エキスパートとして取り組みたいこと
 ・直接参加型だけでなく、サイトを通じた交流を行う
 ・地域や企業内での広報活動

 Bグループ

 ◎高齢社会検定協会に期待すること
 ・定期的なエキスパート向けの情報発信
 最新情報、会報誌
 ・定期的なエキスパートの交流会
 +セミナー、視察など
 ・エキスパートの社会的な価値を高めてほしい
 ◎高齢社会エキスパートとして取り組みたいこと
 ・知識を同僚や地域の人に広めたい
 ・地域での活動をおこしていきたい
 ・高齢者の起業へのサポート、連携
 ・マスターズ陸上選手による
 「かけっこ出前教室」〜世代間交流〜

 Cグループ

 ◎高齢社会検定協会に期待すること
 ・認知度アップ
 ・発表の場
 ・知識・学び
 ・メリット
 ・仕事のあっせん 
 ・活動したい(分科会、etc...)
 ◎高齢社会エキスパートとして取り組みたいこと
 ・支援活動
 ・就労
 ・社会(行政)へのアプローチ
 ・企業へのアプローチ
 ・知識の習得

 Dグループ

 ◎高齢社会検定協会に期待すること
 ・全国で受験できる国家資格へ
 ・広がりを。特に若い世代へ
 ・ネットワークを作り、分科会活動を活発に
 ◎高齢社会エキスパートとして取り組みたいこと
 ・柏事例を各地域へ広げる
 ・エキスパート資格を周知する
  自己アピールと賛同者の組織化

 Eグループ

 ◎高齢社会検定協会に期待すること
 ・もっとわかりやすく
 ◎高齢社会エキスパートとして取り組みたいこと
 ・みんなと一緒に!!

 Fグループ

 ◎高齢社会検定協会に期待すること
 ・検定試験やエキスパート(資格)の認知度の向上、ツールも
 ・地域での活躍の場や情報
 ・検定料の見直す(値下げ)
 ・交流の環境(名簿等、会報誌)
 ◎高齢社会エキスパートとして取り組みたいこと
 ・地域での活躍(場のサポート)
 例:市民サポーターとして健康寿命を延ばす手伝い
 ・検定制度の紹介

 Gグループ

 ◎高齢社会検定協会に期待すること
 ・情報の発信と情報交換
 ・啓蒙活動
 ・行政への政策や制度の提言
 ◎高齢社会エキスパートとして取り組みたいこと
 ・社内啓蒙
 ・ビジネスへの広がり
  個々で出来る取り組みから
 ・世代間交流
 ・有識者の講演

 発表を受けて秋山、辻両教授が講評。

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 秋山教授「認知度のアップは初期段階では重要な課題。名刺に書いていただくのは認知度を上げるのに有効と思う」「もっとわかりやすく。今度、教科書を改訂するが、本当は中学校を卒業していれば、わかるというのがどの分野においてもインパクトのある本だと思う」「いまは検定試験の会場は東京だけだが、関西、札幌でも開催することを検討中」「意見交換会、セミナー、講演会のほか、分科会に分かれてプロジェクトを行うようなことがあるといいという意見があった。1つずつ実現していきたい」「情報発信は、まずはオンラインで、次にニューズレターというように段階的に進めればいいのではないか。フェイスブックなどを使えば双方向で情報がやり取りできる」「もっとわかりやすくということだけでなく教科書の中身を充実していきたい。専門分野をもっと掘り下げたいという意見もあった」「行政への提言は、高齢社会研究機構のプロジェクトとしてはやっているが、みなさんの生活者として、あるいは企業や行政で働く立場から意見を伺い、提言に盛り込むような形にできればいいと思う」「同じような理念をもって活動しているところと連携するという意見もあった。協会の活動を豊かにしていくためには重要だ」「ボトムアップの組織にしてほしいという意見もあった。メンバーはいろいろな専門分野をもっており、一緒にやっていきたい」「みんなで意見交換し、経験を共有しながら、みなさんのそれぞれの活動を広げていってほしい」。

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 辻教授「われわれは未知の社会に向かっている。未知への挑戦だ」「エキスパートは職場や地域で発信してもらい、少しでも仲間を増やす活動をしていただけるとありがたい。自分たちはよりよい高齢社会に向けてがんばっているというプライドがそのもとにあると思う」「東大がいかに良質な情報をエキスパートの方々に発信するかが大事だ。発信の方法としてはメーリングリストなどがあると思う。そのようなもので交流ができ、情報が発信できる。雑誌を作っていたら時間やコストがかかるので、そういった方法で広げていったらどうだろうか」「1回目、2回目に資格をとった方は未知への挑戦の決意をした人。今日を機会に、エキスパートにもムーブメントを広げるお手伝いをしてもらいたい」

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 司会進行を務めた有安隆さん。企画運営委員のリーダー。9月12日の第3回の検定試験を紹介。
 分刻みのスケジュールだったが、予定通り進行し、午後5時10分から1階談話室で懇親会。

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 80歳の竹中誉さん(企画運営委員)がエキスパートを代表して懇親会開会の挨拶。

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 乾杯!

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 企画運営委員最年少37歳の野村歩さんが中締め。

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 記念撮影(クリックすると大きな画像で見られます)

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「まずは一歩踏み出す」ことを提案ーー柳川範之著『40歳からの会社に頼らない働き方』 (ちくま新書)

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 柳川範之著「40歳からの会社に頼らない働き方」 (ちくま新書)を読んだ。

 柳川範之氏は東京大学大学院経済研究科教授。「40歳定年制」を提言したことで有名だが、「この本は制度や法律が変化しない世の中を前提にし、それぞれの人たちが、具体的にとるべき方策に主眼が置かれています」という。「たとえ制度が変わらなくても、それぞれの人が本書で想定しているような方向に大きく舵をとれば、世の中はかなり変わるはずです」。

 「今の会社を捨てる必要は必ずしもありません。しかし、会社に頼っていても、100%頼りにして安心して生きていける時代では、もはやないのです。頼らず生きられる体制を作っていく必要があります。そうはいっても、そんな働き方なんでできるのか?という疑問をもつ人も多いことでしょう。その人たちに向けて、具体的にどうすればよいかを示すために書かれたのが本書です」。

 柳川氏は、将来を切り拓いて大きなチャンスをつかむために、まず「将来に備えてシミュレーションする」ことに必要性を強調する。

 「遅くても定年後、多くの場合にはもっと早くに、自分の働き方を決めなければいけない時期がやってきます。ですから、そのときに備えて、シミュレーションをして、自分で自分の人生を選んでいくトレーニングをしておかないといけません」「自分がやりたいと思うことを中心に、多少わくわくとした気持ちをもって、明るく未来をシミュレーションするとよいでしょう」

 「専門的には『コンティンジェンシープラン』(状況対応型計画)というのですが、「状況に応じたプランを立てておく」というのは経済学の基本的な発想で、この発想は、多くの人がライフプランを考えるうえでも重要だと思います」。

 環境が変わったときにどう対応するかを、最初からプランに組み込んでおくといというのがコンティンジェンシープランのそもそもの考え方です。『Aだと思っているけど状況がBになることもありえる』というときに、Bになったときのプランも最初から用意しておくのです。こういう発想はビジネス戦略では、『プランB』などとも言われています」「主要なパターンに関しては、それぞれの場合に応じた対応を考えておくという発想力が問われます。その場合に注意しないといけないのが、『将来どんな変化があるのか』を考える際に願望が入ってしまいがちだということです」。

 第二に必要なのが、目標を立てること。

 「目標はできれば二つ持ったほうがよいと薦めています。この二つとは、『近い目標』と『遠い目標』です、近い目標は、状況に応じてコロコロ変えていくべきものです。遠い目標は、そんなにコロコロ変えないで、長い目で見て、動かして調整していくべきものです」

 第三が、「少しずつ、踏み出してみる」。

 ポイントは、「大きく踏み出さない」「『うまくいかないこともある』のを当然と考え、その場合には『やり直す』」「試行錯誤するブルペンが必要」だ。

 試行錯誤するブルペンとして、柳川氏が薦めるのが「バーチャルカンパニー」を作ることだ。

 「まず大事なのは、とにかく今のメインの仕事をやめずに、サブの仕事を少しずつ進めていくことです。そのためには、とりあえず仲間作りをすることが、具体的な第一のステップになります」「仲間を作って、お互いに自分に欠けているものを指摘しあうことが大事なのです」「仲間、特に社外の人は、毎日会うということができません。ですので、今の時代では、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を積極的に活用するのも大きなポイントになります」。

 グループを作って何をするか。「ポイントは『能力開発』と『事業計画』です」「具体的にターゲットを決めて、どういった組織形態にするかというところまで話をつめて考えるとよいでしょう」「もし可能ならば、実際に組織や会社を作ってしまいましょう」。

 「いま急激に起こっているのは、バーチャルカンパニーやベンチャー企業を作ったり、社会起業をしたりということを、とても容易にする動きです。インターネットの登場などで社会の構造が変わって、会社を立ち上げるためのハードルは非常に低くなりました」。

 「大事なのは、…プランニングをきっちり考えることです。…社会貢献なり自己実現なりを大事にするのであればこそ、必要な資金や収入は得ていかないといけません」「『自己実現・社会貢献』と『収入を得る』という目的を、どのようなバランスでやろうと思っているのかを自分の中でしっかり考える必要があります」「何を実現させたいのかをできるだけ具体的にしたほうがよいでしょう」「」収益を得ながらも、何らかの社会貢献ができるような働き方にはどんなものがあるのかを、もっと考えて工夫する余地はあるのではないでしょうか」。

 農業体験農園などは、申し込んでみたら、大きな体験ができた。会社の仕事に代わるような「プランB」も、一歩踏み出してみないと見えないのかもしれない。

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雇用の基礎と改革の方向性を分かりやすく解説――清家篤著『雇用再生―持続可能な働き方を考える』(NHKブックス)

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雇用再生

 清家篤著「雇用再生―持続可能な働き方を考える」(NHKブックス) を読んだ。

 清家氏は慶應義塾長で、労働経済学の大御所。社会保障制度改革国民会議の議長も務めた。「雇用」がどうなるか、を的確に予想するには、清家氏の著書がいいのでは、と考えた。

 雇用改革の方向性の全体像を知るのにいい本だった。

 「雇用の状況を示す代表的な指標である失業率は、…1990年代半ばまでずっと2%台を維持していた。しかし、1998年に4%を越えた後、2000年代には4%台が当たり前となり、不況期には5%を越える場合も出てきた」「ただし、…国際的にみると、…現在でもまだ欧米諸国の半分程度の低い水準に止まっている」。

 なぜか。

 「新規学卒一括採用は、日本の若者の失業率を先進国の中でも際立って低く抑えることに貢献している」「ヨーロッパ等の若者の失業率の高い国では、若者は学校を卒業してから就職活動を開始するのが普通だ。仕事が見つかるまでの期間は、学生でも雇用者でもなく、仕事がなくて職を探している状態であるから、定義的に『失業者』として統計にカウントされる」「労働市場のパフォーマンスという観点からいうと、若者が失業を経ずに就職に至ることができるということは高く評価すべきこと」。

 「新規学卒一括採用にはたしかに問題点もある。そのためその採用方式はやめるべきだという極論さえある。しかし、もしもこの採用慣行がなくなると、…間違いなく起きるのは、若者の失業者の急増である。また、企業は経験者を優先的に採用するようになり、若い未経験者の人が仕事能力を新たに身につける機会が減少する」

 「きちんと政策的に考えるのであれば、むしろ学校卒業後直ちに就職をして、若いときに職業能力を身につける機会を与えられている大多数の若者と同じように、現在はフリーターやニートになっている人も含めて、新規学卒一括採用の対象になる人の範囲を少しでも拡大していくべきなのである」。

 清家氏は、「これまでの日本の雇用制度や働き方の強みを残しつつ、必要な改革を進める」ことが大切と言い、本書で、「どこを改めればいいのか」を提示する。

 「定年延長」の問題はどう考えればいいのだろうか。

 「起業が定年延長、雇用延長をしにくい背景には年功賃金がある。これまでは60歳定年を前提に、労働者の企業への貢献の総量と労働者が企業から受け取る報酬の総量がそこでバランスしていた。そのままで定年延長、雇用延長を行うと、両者がバランスしたポイントを超えて労働者が企業に居続けることになり、延長した期間の賃金と貢献度の差額分だけ企業の負担増となる。定年を60歳から65歳に延長すれば、賃金と貢献度の差額を、それから5年間、企業が払い続けることになる。さらに、勤続の長い者は管理職、監督職にするという年功的な処遇体系がそのままであると、企業内に管理職や監督職などが不必要に数多く滞留してしまう」。

 「もともと年功賃金は企業にとってもコストをかけて訓練した労働者が簡単にやめることがない、そして従業員の企業に対する帰属意識を高めることができる、などのメリットの多い制度であるからこそ、長年にわたって継続されてきたものだ。したがって、右肩上がりに給与が伸びる年功賃金をやめて、完全に水平にするということは企業の経済合理性にも反する」「望ましいのは、そうした年功賃金の本来的な機能は維持しつつも、従来よりも年齢や勤続に応じて高くなる賃金カーブの勾配を緩やかにしていくという方法である」。

 清家氏はあとがきで「先の戦争に突き進む過程で、このままではジリ貧になるだけだから乾坤一擲の日米戦争に打って出るべしという論に対して、開戦直前に参内した米内光政海軍大将は『ジリ貧を避けようとしてドカ貧に陥らぬよう』(阿川弘之『米内光政』)といったと言われている。雇用をめぐる最近の改革論議にも、少しそうした危惧を覚える」と語っている。

 IT化など、過去の経験を不要にする技術が進んできた事実がある一方で、やはり過去の経緯を理解したうえで、変えるべきことも多々ある。「雇用」はまさに、そうしたジャンルなのだろう。

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人を幸せにする空間づくりのノウハウがわかる!戸倉蓉子著『いい家に抱かれなさい』 (日経BPコンサルティング)

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いい家に抱かれなさい

 「患者が元気になる病院」や「お年寄りが若々しくなる高齢者施設」づくりを目指すドムスデザイン代表の戸倉蓉子(とくら・ようこ)さんの原点を知りたいと思い、戸倉蓉子著『いい家に抱かれなさい』 (日経BPコンサルティング、2008年12月22日発行)を読んだ。

 同書によると、戸倉さんの略歴は――。

 株式会社ドムスデザイン代表。建築デザイナー。ナースとして慶応義塾大学病院に勤務中、人間は環境で生き方が変わることを悟り、インテリアの勉強を始める。 インテリアコーディネート会社を起業後 1998年、ミラノに建築デザイン留学。世界的建築家パオロ・ナーバ氏に師事し帰国後、一級建築士取得。イタリア滞在中に多くの街を訪ね個性あふれる建築空間と人生を謳歌する人々に感銘を受ける。 回廊の家、路地のあるマンション、元気になる病院などユニークな企画で豊かなライフスタイルを提案する。2006年、日本フリーランスインテリアコーディネーター協会会長就任。 講演活動、雑誌等への執筆多数。

 帯を見ると、ストレスの多い「30代女性」たちに向けて書かれた本のようだが、そこには、高齢者や患者をも元気にする秘訣が書かれていた。

 看護師だった戸倉さんが最も影響受けたのがナイチンゲール。戸倉さんは「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさを与えることである」というナイチンゲールの言葉を引用。

 「これはまさに良い住環境をつくる秘訣ではありませんか」とし、戸倉さんなりの分析を加える。

 たとえば、「暖かさ」。

 「現代の私たちはありがたいことに、布団や暖房などが 十分にあります。しかし、私たちに本当に足りないのは「暖かさ」ではなく、人との触れ合いや肌のぬくもりを感じる「温かさ」の方ではないでしょうか」「ひと昔前は、親子三代が一緒に暮らすスタイルが主流でした。『向こう三軒両隣』という言葉もあったように、夕飯のおかずをおすそ分けしたり、隣の子供も自分の子供のように一緒に育てたりする。地域社会が存在していました」「古くは江戸時代でもそうでした。狭い路地を行き来するとき、『傘かしげ』という所作が行われていました」

 「私が10戸、20戸の分譲住宅のデザイン監修を行うときはイタリアの街をモデルにしています。よくお手本にするのはトスカーナ州にある『サンジミニャーノ』という街」「私はイタリア建築を日本に再現するのではなく、サンジミニャーノの街で暮らす人々のような“豊かさ”をつくりたいのです」「—―隣人への心遣い —―街を愛する心 これらは決して目に見えるものではありませんが、人間の心に大きな影響を与えるものです。街はそこに住む人の舞台です」

 

 「CHAPTER2 豊かな私になるための『いい家』選び7つの条件」も、なるほど、と思う。

 「イタリアの玄関は小さくても二畳くらいの大きさがありますが、日本のマンションでは五、六足の靴を置いておくとそれでいっぱい」「日本のドアは外開きですが、イタリアのドアは内開きです。もしドアを外開きにしていたら外に取りつけてある蝶番をはずし、ドアごと取りはずして泥棒が入ってしまう恐れがあるからです。しかし玄関が内開きのおかげで、お客様をそのまま家にスムーズに迎え入れられます」「玄関は単なる靴脱ぎスペースではないのです。玄関スペースに五、六足の靴を並べていっぱいになってしまうような空間では、幸福が入ってくるスペースがありません。運気も玄関から入ってくるのですから」「ゆとりのある玄関スペースの目安は、小ぶりの椅子が置けるかどうかです」「私は30坪くらいの住宅でも玄関には豊かなスペースをつくります。そのポイントは、家の中になるべく壁をつくらないことです」

 「自然界にはまったくの直線など存在していません。つまり、直線は人工的につくり出されたものなのです。人工的に作り出されたものなのです。人工的な空間にばかり見をおいていたら心が疲れてしまいます。あなたのバスルームを見渡してみてください。もし、直線ばかりが目立つ空間であれば、小物などに積極的に曲線を取り入れてみましょう。丸い石鹸・シャンプーボトルを選ぶ時も心地よい色や形かどうかも考えて」 

 この後の章では、女性たちが幸せを引き寄せるためのインテリアのノウハウなどを具体的に紹介する。「8星人・スタイルアップシステム」診断は、男性版もつくってほしい。

 「努力の差がツキを呼び込むのです」「私はイタリアというアンテナを立てたときからイタリアに関する情報をうまくキャッチできるようになりました」「最近、心あたたまるコミュニケーションをしましたか?会話がなくても物が買えるということは、どこかで物のやり取りが金銭的なものだけになっているということです」——戸倉さんの経験に裏打ちされた金言にも共感した。

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「高齢社会エキスパート」になりました。

 9月14日に受験した「第1回高齢社会検定試験」の試験結果が郵送されてきた。

 「高齢社会エキスパート認定証」が同封されていた。

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 合格!ヽ(^。^)ノ

 一般社団法人 高齢社会検定協会が実施した検定試験。

 少子高齢化が進む日本。これを解決するためには、ジェロントロジー(老年学)の知識が必要だが、それを提供できる教育素材も学習機会もほとんどなかった。

 そこで、東京大学高齢社会総合研究機構が中心となって、世間一般に広くジェロントロジーの知識を広め、個人の人生設計課題の解決や、社会の高齢化課題の解決に役立てようと、この検定試験を創設した。

 東京大学高齢社会総合研究機構編著の『東大がつくった高齢者化の教科書』(ベネッセコーポレーション)が発行され、このテキストをもとに問題は出された。

 丸暗記が必要な問題は出ないだろうとタカをくくっていたが、この教科書の表やグラフまでしっかり覚えておかないと答えられない問題も多く、試験場で冷や汗をかいた。

 しかし、数字の暗記が必要のない問題はほとんど答えられたので、80%以上の得点ができ、「合格」の条件である「各科目50%以上かつ総合点65%以上」をクリア。合格できた。

 この資格で何ができるのかは分からないが、この分野にとても関心があるので、資格がとれたのは良かった。エキスパートとしてがんばりたい。

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今野浩一郎著『正社員消滅時代の人事改革』(日本経済新聞出版社)

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正社員消滅時代の人事改革

 今野浩一郎著『正社員消滅時代の人事改革』(日本経済新聞出版社、2012年12月14日発行)を読んだ。  

 終身雇用制度、年功制度はもう限界で、それらに代わる新しい仕組みが現れないと日本の雇用は持たない、などと言われて久しい。だが、仕事と成果を重視する形にはなってきたとはいえ、終身雇用制度、年功制度をベースにする正社員中心の雇用という基本的な形は変わっていない。

 政労使の力関係で雇用制度は決まるだけに、ドラスチックな改革はできないのかもしれない。しかし、若年雇用、高齢者雇用などの雇用の出口と入り口のところで歪みが大きくなっており、日本的雇用制度はいよいよ限界?と思われる。

 そんななかで、新しい方向性を明確に打ち出したのがこの本だ。

 まずは働き方の変化。一つが、「組織内自営業主化」の動きだ。

 「長い意思決定段階をもつ階層別組織では、変化の速い市場に合わせて迅速に生産し販売することが難しく、いきおい市場に近い現場に権限を下ろし、市場の変化に合わせて現場が仕事の進め方を自ら決める組織体制を作らざるをえなくなる。その結果、組織のフラット化が進み、組織は『現場に任せる組織』になる」「社員は『任せるから責任をとりなさい』という働き方を求められるようになる。この働き方は『顧客から仕事を受注し、自らの責任で生産し、その結果については自ら責任をとる』という自営業主に似た形態であるので、そこで求められる社員の働き方を組織内自営業主型の働き方と呼ぶことにする」。

 もう一つが「人材の調達・活用の社内グローバル化」だ。

 「高付加価値型製品・サービスの開発や生産を担う高度な能力を持つ人材は、外から『必要なときに必要なだけ』確保することが難しく、企業はいきおい長期的な視点にたって人材を確保し育成することが必要になる」「伝統的な人事管理のもとでは、コア社員は男性中心の総合職型の正社員と相場が決まっていた。しかし、この男性中心の総合職型の正社員は、社内で働く社員の一部であり、それ以外の社員のなかにいかに優秀な人材がいても初めから集める対象から除外されていた」

 しかし、「人材調達力をこれまで以上に強化することが求められている」。そこで「最も重要なのは人材を集める対象を拡大することであり、拡大するほど、これまで見逃されてきた有能な人材を調達することが可能になる」「このことは、社員が属性、社員区分、雇用形態を超えて広く活用され、何の仕事を担当するかをめぐって競争することを意味するので、ここでは、それを人材調達・活用の社内グローバル化と呼んでいる」。

 こうした変化に対して、伝統的な人事管理に限界が見え始めている。

 「終身雇用制度のもとでは、生産の変動に合わせて雇用量を迅速に調整することが難しいという経営リスクが発生する。そこで企業は、この経営リスクを回避するために配置転換を通して雇用調整力を高めることが必要になり、『配置を柔軟に決める人事政策』という装置を作り上げたのである」、しかし、「『配置を柔軟に決める人事政策』は機能不全に陥りつつあるという。

 「会社の指示があれば全国あるいは世界のどこへでも転勤する。時間を気にせず、長時間労働もいとわず働く。業務上必要であれば、これまで経験したことのない仕事にでも挑戦する」「こうした働き方をする社員は働く場所、時間、仕事について制約がなく、会社の指示や業務上の都合に合わせて場所、時間、仕事を柔軟に変えることのできる社員である。このタイプの社員を、労働サービスを制約なく企業に提供できるという意味で『無制約社員』と呼ぶ。

 「これに対して、働く場所、時間あるいは仕事について何らかの制約をもつ社員を『制約社員』と呼ぶと、企業には多様なタイプの制約社員が働いている」「社員の属性からみると、多くの女性は、家事や出産・育児等との両立から時間を気にせず働くということにはならないので時間制約をもった、あるいは転居を伴う異動が困難であるので場所制約をもった社員である」「定年後に再雇用された高齢社員は、生活や健康と両立できる時間で働くことを希望し、現役時代のような転勤はしない社員であるので、時間制約と場所制約を持った制約社員である」。

 こうして、本書は制約社員をいかに活かし、「組織内自営業主化」「人材の調達・活用の社内グローバル化」などの動きに対応するかを論じていく。ポイントは「多元的人事管理」だ。

 だが、このブログでは、高齢者問題に絞ってレビューする。

 高年齢者雇用安定法は「老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が2013年から段階的に引き上げられることを受けて、高齢者の65歳までの安定した雇用を確保するために…企業に『定年年齢の引き上げ』『継続雇用制度の導入』、あるいは『定年制度に廃止』のいずれかの措置…をとることを義務づけている」「希望者全員が65歳まで継続して雇用されること、意欲と能力のある高齢者が70歳まで働くことのできる条件を整備することが、新たに政策課題として登場してくる」「現状では、60歳以降の高齢社員の賃金は、仕事と成果のいかんにかかわらず一律に定年時の一定割合とする企業が多い。こうした高齢社員に対する賃金管理は、賃金は能力、仕事、成果に対して払うべきであるという原則からみると、『雇用は保障するが、成果は期待しない』という人事管理方針の表れであるように思う」「しかし、法律が多くの高齢者をより長い期間継続雇用することを求める方向に動いていうことを踏まえると、そうした対応が許されない時代になりつつある」「60歳以降の高齢社員は全社員の1割を超す大きな社員群として登場することになる。ここまでくると、『雇用は保障するが、成果は期待しない』という人事方針を採用し続けることは経営上難しくなり、企業は制約社員であることを配慮しつつ高齢社員の有効活用を本気になって検討することが必要になろう」。

 「能力、仕事、成果に関係なく定年時の賃金から一律に減額するという仕組みをとるということは、多くの企業が経営成果を高めるために高齢社員を活用するというより、政府の政策に対応するために、あるいは社会的責任を果たすために高齢社員を雇用するという、『福祉的雇用』とも呼べる施策をとる傾向が強いことを示している」

 「高齢社員は予定されている雇用期間が短いことから『いまの能力を活用して、いま処遇する』短期決済型社員にならざるをえない」「高齢社員が定年前と同じ仕事に従事しても、定年時の賃金が貢献度より高めの水準にあるため、高齢社員の賃金は定年を契機に貢献度に見合った水準まで低下する」

 この改善策は二つあるという。「第一は、高齢社員の賃金制度は『仕事と成果で決める』という短期決済型をとるが、賃金水準を決めるさいには定年時の賃金を考慮するという調和型の施策をとることである」「第二の方法は、ある年齢以上(あるいは、あるキャリア段階以降)の現役社員は賃金制度を『仕事と成果で決める』短期決済型に再編しておくことである」。

 高齢者の賃金が再雇用後に著しく下がる状態を改善するのは、まずは企業は「福祉的雇用」という意識を改め、高齢者に、しっかり仕事をしてもらう態勢を整える必要がある。

 また、「仕事と成果で賃金を決める」形に雇用制度を変えていくには、中高年になってから手厚くなる生活給部分をどうするかという問題も出てくる。この部分は社会福祉制度が担うべきなのかもしれない。雇用制度と社会保障の一体改革が大事だ。

 

 

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柳川範之著『元気と勇気が湧いてくる経済の考え方』、 柳川範之・水野弘道・為末大『決断という技術』(日本経済新聞出版社)

 柳川範之著『元気と勇気が湧いてくる経済の考え方』、 柳川範之・水野弘道・為末大『決断という技術』(ともに日本経済新聞出版社)を読んだ。

 柳川範之さんは、1963年生まれ。父の仕事の関係でシンガポールで小学校を卒業。高校時代をブラジルで過ごしたのち、大学入学資格検定試験合格。大学は慶應義塾大学経済学部を通信教育により卒業。その後、東京大学大学院に進み1993年博士号を取得。現在、東京大学大学院経済学研究科教授。
 日本の多くの若者とはかなり異なる進路を歩んでいる。
 「40歳定年制」の考え方を打ち出していることでも知られており、そのユニークな発想法を知りたいと思い、この2冊の本を読んだ。

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元気と勇気が湧いてくる経済の考え方

 日本人は敷かれたレールの上を走るのは得意だが、そこから一歩外れたり、そもそもそんなレールがなくなってしまったりすると、当惑してしまう。『元気と勇気が湧いてくる経済の考え方』はそんな将来が見えない人たちのために書かれた本だ。

 「スポーツがうまくなるにもコツがあるように、未来を考えていくときにも、考え方のコツがあります。そんなコツを『経済の考え方』を使って整理してみたのがこの本です」。

 「同じ会社に長く勤めていると、その会社の中での働き場所しか、自分の中の選択肢として考えなくなっていきます。それはそれで思考のコストを節約するうえでは、よいことなのかもしれません」「でも、それによって、その会社を辞めてほかに移ることなどを考えなくなってしまったとすれば、とてももったいない気がします。たとえ結果としては会社に残るにしても、会社を辞めてほかに移ることを選択肢として残し、いろいろな可能性をシミュレーショ
ンしておくことが、よりより方向に決定していく原動力になります」。
 「思考のパターンが固定化してくると、本当はあるはずの選択肢が、事実上、見えなくなっている場合が多くなります。見えなくなっていないか、もっと他に選択肢がないか、と、ときどき考えることは、思考や行動を固定化させないために大切なことです」。
 「今までとは違う『情報と情報の結びつき』『人と人の結びつき』が、思いがけない価値を生み出すことが知られています。だから、少しずつでもよいから、いつもと違う人と会ってみたり、いつもと違う情報にアクセスしてみたりと、今までとは違うことをやってみることが大事だと思うのです」。

 「何か目標を達成しようとすると、意識するにせよ、しないにせよ、なんらかの中間目標を設定するのが普通です。でも、そこを通過するのは、目標達成の手段にすぎません。あるいは、最終目標を何にしたらよいかわからないからにすぎないといえます」。
 「挫折感を感じたときには、もう一度、そもそも何に挫折したんだろう、何にがっかりしているんだろう、と少し頭を冷やして考えてみましょう。ほとんどの場合、自分が設定した中間ポイントを通過できなかったにすぎないと気づくはずです」。

 「将来がよくわからないという状況は変えられそうにはありません。結果がわからなかったら、楽しめないでしょう。そんな場合はどうすればよいのでしょうか。答えは、簡単です。少しずつ進んでいくことです」。
 「これは、と思えるときが来るまでは、少しずつ先に進んでいくほうが、最終的にはよい選択だと思うのです。大事なことは、少しでも「進む」!という点にあります」。
 「将来がよくわからないときには、将来の選択肢をあまり縛らないようなかたちで先に進めておくことが大切です。そうすることで、将来のいろいろなオプション(選択肢)を残しておくことができ、将来の変化に対して柔軟に対応していくことができます」。
 「少しずつ進むというのは、一気に進んで選択肢を狭めてしまうのではなく、オプション価値を比較的残しながら進むことです」。
 「ほとんどの人の人生が、先進国に団体旅行で行くような予定調和的なものではなく、発展途上国に貧乏旅行に行くような先の見えない旅です。だからこそ、貧乏旅行から得られる教訓は、大きな示唆を与えてくれます」「現代の、特に日本で大きく欠けていると思うのは、まず、この立ち止まって情報収集をし、ベストな道をさがしながら進むという発想でしょう」。

 「たとえ、もう寿命があまり長くないと感じられる世代であったとしても、次の世代のことを考えれば、やることはたくさんあるし、やるべきことは見えてくるのです」
 「会社の中にいると、その会社内が自分の人生のすべてのように見えてきます」「『社内がすべて』という意識が強くなり、会社外のことについて、相対的に関心が低くなってしまう面があります」。
 「社内生活でのゴールが早々と訪れてしまうと、あたかも自分の人生のゴールまでもが訪れてしまったかのように錯覚してしまうのです」「自分から選択肢を広げていく工夫が必要です。社内での仕事環境以外に自分にはどのような選択肢があるのか、何がやりたいのか、何ができるのかを考えていくことが必要です」「あくまでいざというときのバックアップ・プランとして、考えておけばよいのです。でも、そのバックアップ・プランが、どこかのタイミングで、自分が走る大きな道となっていく可能性があります」。
 「多くの場合には、新たな道を踏み出すには、新たな知識や技能が必要です。そのための時間と労力は、きちんとかけるべきだと思います」。

 「将来が不透明で不確定な要素が大きいときには、夢や目標も複数のものに分散投資しておくことが、むしろ重要になってきます。そのほうが、予想外の変化に対応しやすいからです」。
 「複数の目標や夢に順番を必ずつけておくこと」「その順位をときどき見直して、入れ替えたり修正したりすることが大切です」。

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決断という技術

 『決断という技術』はアスリートの為末大氏、投資家の水野弘道氏、経済学者の柳川範之氏という別の世界にいる3人の会話をまとめたものだが、共通項は既存のレールとは違う道をもがきながら歩んでいる人たちであるということだ。彼らから見た日本の組織は硬直化しており、何も決められない。彼らには「決める技術」がないと映るようだ。
 
 彼らの会話の中から、「なるほど」と思ったフレーズを抜粋、何が「決断の技術」なのかをあぶりだしてみよう。

 為末 日本は、いつかわかり合えるという、そういう感じですよね(笑)。
 柳川 そうか。日本のほうが、そういう「わかり合える度」に対する期待感は強いんですね。だから、何かこうやって話していけば、やがて真実の姿が見えてきて、そこではみんなが合意できる――と期待してしまう。
 水野 そうすると、決断しなくていいわけです。

 
 水野 そうですよ、場のatmosphereはあるんですけれど、下から自然に浮かび上がってきて、誰のリーダーシップもないのに、それが最後の決定まで支配することになるというのは、向こう(海外)ではみたことがないですね。
 柳川 そこがおもしろいところですね。一方ではそういうものが、まさに日本の和の源泉だったりとか、ある種の強みだと言われる場合もあるわけで。
 為末 ただ、それは異質なものが入ってくると、崩れてしまうものかもしれないですね。閉ざされた所で、人々が喧嘩せずに生きていくには必要なものだったのかもしれないですけど、これから多様な文化と向き合っていかないといけない時代にはちょっと。


 為末  「こんなに時間かけましたからね」って言うのでしょうね。「時間をかけたから、ベストは尽くしました」とかなんとか。そういうふうに納得させる言い訳を、自分自身に対してもやっているような気がするな。
 柳川 それ逆に、言い訳のない決断をして失敗すると、責められるということですかね。
 為末 やはり自分の意思で選んで失敗したときは、けっこう厳しくやられる気はしますね。何かこういうルールの中でやって失敗したというときは、しかたがないで許してもられるけれど、そこからはみ出して自分の考えで推し進めたものに対しては、許されない感じがします。

 柳川 …日本では決定をかなり神聖視しすぎるという気がします。すべての情報について、きちっと本当に正しいことを決定できるという思い込みや暗黙の前提がある。だから、一生懸命情報を集めようとして、なかなか決めないし、逆に一度決めたら、それが変わることはある意味で非常におかしなことだったり、その人の人間性を疑うというところにまで行ってしまったりする。

 水野 …日本人のチームでは、その中の個々人が全部知っていなければいけないという感じになるから、結果としてみんなが素人の範囲を出ない程度の知識レベルになって、グループとしての縮小均衡になってしまう傾向がある気がするんですね。だからチームの中の専門家を活かしきれない。


 水野 ・・・最後に誰かが決めてくれるという安心感があれば、すり寄っていく必要がないんですよ。みんなが自分の意見を明確に主張できるわけですよね。それがないから、早い段階から、「なんとなくお互いすり寄らないと、これ、最後、話がまとまらないね」という強迫観念にせまられることになるわけです」。
 為末 僕がアメリカで感じたのって、議論のゲーム化なんですよ。テレビのトークショーからして議論をやっていて、それで観客はどっちが勝ったかを決める。やっている人たちもそれを楽しんでいる感じで。日本では議論がスポーツ的にスカッとなる感じがないですよね。

 柳川 …マネジャーがいなくても、ある意味で下の人が並列的に5人ぐらいいるだけでも、それぞれが全体のことを考えて、全体がある程度合意形成できるような形で組織が動いてくれる。それはやはり日本型の一つの大きなメリットじゃないですかね。…
 水野 その日本の良さを崩す必要は全然ないのだから、アプローチとしては、それを残しながら決断のできるリーダーを育てるにはどうするか、という考え方をしていかないといけないんですね。

 柳川 日本では優劣をつけるのはおかしいという話になりがちなんですけれど、それは一つの尺度で上下を決めようとするからで、いろいろな方向で優秀な人を輩出していくという発想に変えないと、なかなか人材の使い方としてももったいないし、日本の社会としてももったいない。

 為末 凡人を秀才にする仕組みと天才をつくる仕組みって異なるです。

 水野 …客観的にみて、失敗に対するペナルティというのは、欧米企業のほうが強い。ただ、なぜか日本の会社員たちはペナルティを実際より大きいと思い込んでいる。
 柳川 それは、みんなが横並びで、同じ方向へ走ってるから、でしょうね。そうすると一人だけ遅れると、実は遅れたレベルは、ほんのちょっとだけど、すごくみんなと違って、遅れたように見えます。

 水野 …失敗するって行為には、失敗後の新しい確率分布の幅を狭める価値があるから、経過途中での失敗は最終的な成功の確率を高めます。だから、失敗をサンクコストだと割り切れれば、すべての失敗は未来に向けてポジティブな効果しかないんです。

 水野 決断は精神性からくるものではなくて、合理的な判断から起こすべきものなんですよ。だから、この対談で浮かび上がってきたように「技術」がある。

 柳川 決断の練習をさせる上では、ある程度失敗を許す、寄り道を許容することにしないといけないですね。
 為末 ここで話をしてきたいろいろな考え方を教えても、恐怖心でできない、わかっているけれど踏み出せないっている面はあると思うんですよね。そういう人は、ちょっとずつ失敗し、成功に慣れていくしかないのかな。
 柳川 やっぱり、そういう練習を少しずつしていく必要があるんだと思いますね。本質と違うところで練習しておくとよいのではないでしょうか。最初はよくわからなくても、だんだんとわかってくる。わからない度合が大きい中で、大きくステップを踏むのはやっぱり無謀です、それは決断せよというのと違って無謀な賭けにすぎない。…
 水野…人生のように一発勝負ではなく、いくつもの分岐点がつづく事の場合、途中経過で成功しても、次に成功する確率が高まるわけではないけれど、失敗したら、次に成功する確率は確実に上がりますからね。 

 為末 チャレンジできる社会、多様性を保てる社会、怖がらずにチャレンジしてそれが評価されて、何回でもチャレンジ出来る社会をつくりたいと思っていて、その怖さを取り除く一歩になればいいなと思います。決断が重いと思い込んでいるだけで、もっとその気軽さも伝えたい。決断の気軽さ、気軽に選んでもよいものだっていうことを伝えたい。
 柳川 それは僕も思いますね。何回でもチャレンジする社会をつくりたい。
 水野 いままでは、決断なんとかって本を読んでも、私はこんなすごい決断をしてきたっていうのが多くて、自分も若い頃読んでも、気分だけは高揚したけれど、どうやって決断したらよいのか、なぜ難し決断をするのが合理的なのかについてはわからなかった。しかも決断するには覚悟がいるよ、軽い気持ちでやるなよって念を押されている気がして、ますますやりにくくなってしまった。決断はそんな自己犠牲的な覚悟なんてなくても、合理的にできるし、特に、新しい分野に踏み出すような決断は、たとえ失敗したとしても、人生の投資としてみたら、合理的だっていうのをわかってもらいたいですね。

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小林雅一著『日本企業復活へのHTML5戦略 アップル、グーグル、アマゾン―米IT列強支配を突き崩す』(光文社)

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日本企業復活へのHTML5戦略

 小林雅一著『日本企業復活へのHTML5戦略 アップル、グーグル、アマゾン―米IT列強支配を突き崩す』(光文社、2012年4月20日発行)を読んだ。

 「非常に狭い意味でのHTML5とは、ホームページ(ウエブ・ページ)を記述するマークアップ言語『HTML』の第5版、つまり4回目の大幅改定版を指す」。
 「しかし、最近IT業界のバズワード(流行語)ともなっているHTML5とは、このマークアップ言語HTML5を中心とする、かなり広範囲にわたる『最新のウエブ技術』群を指している」「この中にはインタラクティブ(動的)なホームページを製作するために必須のスクリプト言語『ジャヴァスクリプト(JavaScript)』や柔軟なデザイン機能を司る『CSS』、あるいは高度なグラフィクス機能を実現する『SVG』や『WebGL』など多彩な言語(技術)が含まれる」。

 「私たちがこれまで使ってきたウエブは、たとえば新聞社のサイトのように『何かを見て、情報を得るためのホームページ』であったが、HTML5で作られる今後のウエブは、たとえば『ワープロ』や『表計算』や『ゲーム』のように、動的なアプリケーション・プログラム(アプリ)を提供するシステムへと大きく転換する」「要するにウェブが、アプリを提供するプラットフォームになるわけだ。これがHTML5の最大のポイントであり、アップルのアップストアやグーグルのアンドロイド・マーケット(2012年、グーグル・プレイに統合された)など各社独自のアプリ配信システムに対抗できると期待されている所以である」。

 「HTML5は『W3C(World Wide Web Consortium)』と呼ばれる中立的なコンソーシアム(企業連合)が管理する、いわゆる『オープン・プラットフォーム』である。つまり、誰にでも均等な機会を提供するものだ」「したがって、HTML5がいずれ優勢になれば、今の突出したアップル、グーグル、アマゾン支配の構図をひっくり返すことも可能と見られている」。

 「このため2011年頃から、HTML5に向かって走り出す企業が目立ち始めた」「たとえば主要メディアでは『フィナンシャル・タイムズ』『ボストン・グローブ』『BBC』『日本経済新聞』など」。

 「しかし、それでもまだウエブ・アプリは完全にネイティブ・アプリの域には達していない、と言われる。それなのに、何故、前述の世界的な企業が次々とHTML5を使ったウェブ・アプリを提供するのか」。

 「1つ目は『マルチ・デバイス時代の到来』である」「ここ数年でスマートフォンやタブレット、電子書籍リーダーなど、さまざまなデバイスが普及し始めた。ここにいずれはテレビや自動車など、私たちの身の回りにあるいろいろな商品がインターネット端末化して加わる。これらのマルチデバイスが個々に音楽、動画、書籍、ゲームなどのコンテンツを保存すると、ユーザーにしてみれば、それらをいちいち同期させるのは非常に面倒だ。むしろ、これらのコンテンツをウエブ・アプリ化して、クラウド・サーバー上に置けば、どこからでも、どんな端末からでも利用することができる」。

 「2つ目の理由は……『プラットフォーム戦略』を意識してのものである」「HTML5で作られたコンテンツ(ウエブ・アプリ)は、形式的には従来のホームページと同じものだから、デバイスにブラウザさえ搭載されていれば、どれがアイフォーンであろうとアンドロイド携帯であろうと同じように動く。したがってコンテンツ・プロバイダー側から見ると、アップストアやグーグル・プレイなどをバイパスできるということになる」。

 そして、携帯電話事業者や家電メーカーの奮起を促すというのが、この本の大筋なのだが、第2章「HTML5を巡って交錯する米IT列強の思惑」、第3章「領域破壊にとまどう日本の『モノ作り』と『コンテンツ』」などで展開している、日米の産業界に詳しい小林氏ならではの産業論、企業戦略論が面白い。
 終章の「あなたの仕事に役立つHTML5講座」ではより深くHTML5が理解できる。


 本書はいろいろなエピソードが面白く、以下の話は琴線に触れた。

 「米IT列強は、新しい仕組み(プラットフォーム)を作ろうとするとき、相手(コンテンツ・プロバイダー)に気を遣ったり、相手のやり方を尊重したりするといった姿勢はいっさい見せない」「こうした姿勢の背後にある、彼らIT列強の意図は明白である。それは『何か新しいことを始めるときには、既存の業界に気を遣っていてはだめだ。むしろ既存の枠組みを破壊して、俺たち自身のルールに基づいて新しい枠組みを作ってこそ、真に画期的でユーザーのためになるサービスを作ることができる』という考え方だ」。

 既存の書籍業界に気遣いばかりしているから、ソニーやパナソニックの電子書籍ビジネスはうまくいかなかった。
 日本の政界も、市民一人ひとりを見るのではなく、いろいろな利益集団に配慮ばかりしているから、新しい社会システムが築けないのだろう。

 政治や産業にかかわる人間は、市民、消費者をまっすぐに見て、目先の利益を超えたグランドデザインを描かなければ、これから衰退する一方ではないかと感じた。

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河内孝著『自衛する老後~介護崩壊を防げるか』(新潮新書)

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自衛する老後

 河内孝著『自衛する老後~介護崩壊を防げるか』(新潮新書、2012年5月20日発行)を読んだ。

 「序 答えは現場に埋まっている」に本書のエッセンスが詰まっている。
 「おむつを外し、自分の足で歩き、自分の口で食事ができるようにする、つまり『普通の生活に戻る』ための自立支援を進めている施設も増えている。医療機関と連携して認知症を研究しながら『治る認知症』、『収まる異常行動』に取り組んで成果を上げている施設がある。医療と研究から介護、養護まで、さまざまな福祉ニーズに切れ目なくこたえるコミュニティーを独力で築き上げた民間の医師もいる」
 「徹頭徹尾、介護を必要とする側に立って活動する人々がいることを、読者だけでなく全国の介護関係者に知ってほしい。そしてぜひ真似をしてもらいたいと思う。彼らの挑戦は、荒海を行く船に航路を示す灯台のように、『自衛する介護』の道しるべとなるだろう」。

 河内氏といえば、メディア論の第一人者、と思っていた。
 『次に来るメディアは何か』(ちくま新書)では、「メディアコングロマリット化」という近未来のメディアのあり様を示していた。

 ところが、今度は、『自衛する老後』。河内氏はこの分野、詳しいのだろうかと疑ったりもした。

 しかし、実は介護・福祉分野もご専門だったのだ。

 「私は2006年に新聞社を退社した後、特別養護老人ホーム(特養)を中心とした全国老人福祉施設協議会の理事を、2008年からは外国人看護師、介護福祉士候補者の窓口である国際厚生事業団の理事を務めてきた。福祉関係の大学で、『国際比較・福祉研究』という授業も担当している」。
 
 「北海道から九州まで福祉の現場を訪れ、困難な状況下で高齢者、障害者の介護に一生をささげている素晴らしい男女に出会えた。何ものにも代えがたい財産を得た思いだ」。

 「しかし同時に彼らが真剣に、ひたむきに働くほど理想と現実の亀裂が広がり、現場の想いが踏みにじられてゆく有様もみせつけられた。その度、「この国の高齢者福祉政策は、どこかで軸足をたがえてしまったのではないか」という思いに襲われる。

 「ひと言で言うならスタンスの問題、つまり制度と運用が『予算を管理する側』『介護保険を運用する側』の論理と都合で組み立てられているからだ」「少なくとも、介護保険法が国民に約束している、要介護者に、『その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう』なサービスが提供されているとは思えない」。

 「実際に行われているのは、『与える側』の許容範囲内でのサービス提供なのだ」。

 「だからといって、この事態を招いた責任をすべて、政治や行政側に押し付けるのはフェアではない。私たちにも責任がある」。
 「第一は、介護サービスの提供と負担のバランスを直視して、必要な結論を出してこなかったこと。つまり負担増(保険料引き上げ、あるいは増税)を受け入れるのか、それとも低福祉生活に耐えるのか、その選択と決断を避けてきたことである」。
 「第二に、ほとんどの人が自分なりに考えた老後設計を持たぬまま心身が衰え、介護生活に入ってしまうことだ。これでは行政や、ケアマネージャーが提供するプランを丸呑みするしかなくなる。しかし、自分の気持ちを自分以上に知る人はいないし、ましてや誰も一緒に死んではくれないのだから老後を人任せにしてはいけない。自分で考え、要求し、闘いとらなくてはいけないはずだ」。

 「子供たちに親をみる気持ちはあっても経済力が伴わない、そもそも少子化で子供の数自体が大幅に減少している。だから現在60代半ば団塊世代以降は、好むと好まざるとにかかわらず、『自衛する老後』という道しか残されていないのだ」。

 「すべての問題は現場にあり、答えもそこに埋まっている」「介護保険制度の様々な問題を、学者の机上論でも官僚の政策論でもなく、現場の介護職の人々とともに考えてみたかった」「その中から、『自衛する老後』のヒントを発見していただければ幸いである」。

◇  ◇  ◇
 介護の現場で活躍する人としてまず紹介されるのが、国際医療福祉大学大学院、竹内孝仁教授だ。
 おむつ外し、自力歩行、経管栄養や胃ろう装置を外すこと――を目標とした、介護力向上講習会を年6回開いている。
 「プロって何だ? 専門家と専従者の違いだ。医者が尊敬されるのは、専門の技術がなければできない仕事をするからだ。人は、大変だが、誰にでもできることをやったからといって、感心はしても尊敬はしてくれない。人にできない技術を持って初めてプロの介護職になる。プロを目指してくれ!」ということばに、竹内氏の目指すものが凝縮されている。  
 「近代医療技術は人工呼吸器など先端装置を開発し、鼻や胃から管で栄養液を注ぎ込み延命を図ってきた」「竹内イズムは、この発想をひっくり返す。自力更生でおむつをとり、自分で歩いて、口から食べる元の生活に戻ってもらおう、というのである」。
 「医療の側は、医療上の理由があって胃ろうをつけたんだろう。ならば介護の側は、それを外して常食に戻す理由がある。これが差のつく、クオリティの高い介護だ」。

 竹内教授は、認知症に関してもユニークなケア理論を提唱している。
 「認知症は医学的な治療方法が確立されていないのだから、家族、介護者を最も困らせる異常行動が起こる仕組みを解明して、有効なケア方法を見つけ出すことが先」という実用的な理論である。

 竹内イズムを実践する施設も増えている。
 その一つが世田谷区の特別養護老人ホーム「きたざわ苑」だ。
 「心臓疾患や、脳卒中の治療を受けて病院から介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホームに移って来た人の多くが全介助、つまり自分では歩行はもとより、食事もできずに経管栄養という人が多い。そのような入居者であっても『きたざわ苑』では、初日から(事前に家族に通告、了解を得たうえで)おむつを外し、特別の事情がない限り、リハビリ室で職員2人が付き添い、器具につかまってのつかまり立ち訓練を行う。5秒間つかまり立ちができたら、翌日からサークル状の歩行器に移る」。
 きたざわ苑は2006年から「在宅入所相互利用」、通称ベッドシェアリングと言う新しい取り組みも始めている。
 「施設のベッド1床を3人の人が3~4ヶ月交代で使うというもので、ショートステイのローテーションと考えてもいい」「きたざわ苑では、このプロジェクトを『単に長いショートステイ』から質的に進化させている。3ヶ月の間に入居者の自立度を高めて『安心して家で暮らせるようにして、家に帰ってもらおう』と考えた」「家族としても、在宅介護が限界となっている原因が解消されるなら、家に帰ってきて欲しいだろう。歩行障害、排泄、食事の介助、そして認知症に伴う様々な異常行動など、生活上の問題を少しでも改善したうえで家へ帰ってもらう」。

 愛知県豊橋市に福祉村を作り上げたのが、山本孝之医師だ。
 「野依地区にある丘陵一帯の約3万坪が山本先生の治める“領地”である」「社会福祉法人の施設としては、特別養護老人ホーム(定員120人、以下同)、軽費老人ホーム(100人)、ケアハウス(16人)、障害者施設、授産施設(入居、デイサービス110人)がある。医療法人の方は、福祉村病院(療養型医療病棟261床)、介護老人保健施設(100人)。この他に付属施設として認知症研究のための長寿医学研究所、神経病理研究所が並んでいる」
 「高齢者、特に認知症患者は、環境の変化に極めてぜい弱だから、病院、老健、グループホームなど、施設を転々とすることは避けたい。また、日常生活の自立能力を高めるには、菜園や運動場など野外で軽い運動をする空間も必要だ。このように医療から介護まで必要な機能を1ヶ所にまとめ上げるためには、余裕のある敷地内に多くの機能を集約する必要がある。福祉村構想はこうして生まれた」。

 熊本県で大学病院と地域病院、介護施設とのネットワーク「認知症疾患医療センター」作りを進めているのが、池田学・熊本大学大学院教授(神経精神医学)だ。
 「認知症の診断から治療、介護のパターンは次のように進むのが理想的だという」「早期発見→早期診断→鑑別診断→異常行動(BPSD)治療→身体合併症のマネージメント・ケア開始」「なぜ、この流れが理想的かというと、一口に認知症といっても症名や病態が多岐にわたっていて、それぞれに原因も違えば、対処方針も異なるからだ」
 「しかし残念ながら、現実の動きはそうなってはいない。現在、250万人近くいる認知症患者の多くは、専門医による精密診断を受けないまま自宅やグループホーム、介護施設で暮らしている」。
 「認知症に対処するには、何よりも早期診断プラス医療と介護側の連携プレーが大切である」。

◇  ◇  ◇
 本書は単に現場のルポをまとめているわけではない。
 現場からつかみとった介護保険制度下のさまざまな問題に深く切り込んでいる。
 
・「介護報酬は配置基準人員をベースに支払われるから、表現は悪いが、がんばる施設ほど『自分の首を絞めてしまう』のだ」「機械的におむつを替え、寝かせきりにしている施設ほど少人数で済み、コストも安上がり、つまり収益が出る」「逆に、意欲を持って自立支援に取り組んだ職員、職場を評価する基準はない」。

・「単純化すると在宅介護は、『家庭教師型』であり、施設介護は『塾型』といえる。とりあえず優劣の議論はおくとしても、どちらがコスト高であるかは子供でも分かる。在宅介護推進は、逃れようのない家族介護と予算の肥大化を覚悟しなくては選択できないはずだ」。

・「介護保険総費用は、開始時(2000年)の3.6兆円から11年間で8.3兆円と倍以上に増えている」「年間8.3兆円(2011年度)もの膨大なコストは、誰が、どのように負担しているのだろう。介護保険財政は、利用者が1割負担した残りを保険料と税で折半することになっている」「費用はかさむ一方だから月額2911円で始まった1号保険料は、3年後との改定の度に上がって2009年度には4160円(全国平均)となった」「今回の改定では、多くの自治体で壁といわれた5000円の大台を突破することになる」「介護保険は、支給対象が65歳以上で、このうち介護認定をとり、実際にサービスを受けている人は13.8%(2010年)。つまり10人中8人は掛け捨て状態といえる。こうした中では、保険料値上げには限界があるだろう」「膨張を続ける介護保険費用に応じるためには、大幅な給付の削減か、消費税増税、並行して本人負担額を増やしてゆく以外、答えが出ない」。

・「もともと社会保障関係費28.7兆円(2011年度)に占める介護関係費の割合は8%にすぎない。36%を占める年金、29%を占める医療費、社会福祉費(15%)、さらに急増している生活保護(9%)などの下位にある。これらを考えると、介護保険制度を維持するためには、5%程度の消費税増税ではとても足りない」。

・「介護保険制度を今の形で維持しようとすれば、保険料も税投入も増やしていくしかない。消費税が10%台を超えて20%台に近づくこと、保険料も限りなく1人1万円に近づいていくことを覚悟せざるを得ない」「その時になってあわてても遅い。国民、とりわけ65歳以上の人たちは、声をあげ、与野党を追い込んで原稿負担水準で介護保険制度が維持できる対案を要求しなくてはいけない」「たとえば介護保険会計の中で肥大化を続ける介護認定経費、行政事務費について厳しくチェックすることが必要だ」。

・「全国の介護施設で、高齢者の生活ぶりを自分の目で見て痛感するのは、『質の高い介護と、家族愛は両立しない』ということだ」「家族愛と科学的介護は別のもの、という意味である」「あるれる愛情があっても、いや、あるからこそ家族は認知症の肉親者に、疲れや情けなさが絡んだ感情的な対応をしてしまう。他方、経験のあるプロは対処の仕方を知っている。異常行動は不安のあらわれだから決して制止せず、感情的対応をしないで、本人と周囲の安全を同時に確保する」「ベッドから車いすへの移乗、床ずれ対策などの作業は、いくら愛情があっても素人よりノウハウを持っている専門家に任せるべきだ」。

・「厚生労働省は2011年になって、全国のモデル地区で利用者45人に対して介護職、看護師など26.5人体制で『24時間地域巡回訪問サービス』を行う、と言いだした。2012年度から実施地域を広げるという」「利用者一人当たりの要員を1.7人と計算しているが、職員募集をはじめ、莫大なコストをどうやって賄うのだろう」「この計画の真の狙いは、いずれ要介護者に自宅を出て地域内のサービス付き高齢者住宅に住み替えてもらうことにある」「高齢者にとっての難点は、住み慣れた家から引っ越さなくてはならないこと、家賃、管理費で都市部では月額20万円近くかかることである」。

・「介護職員の増加は、身分保障のない非常勤(パート)によって支えられている。彼ら彼女らは当然ながら、他産業の自給が上がればそちらに流れていくだろう。こういう人たちに、これまで紹介したような高い水準の介護を望むのは無理というものである」「2009年に鳩山政権が打ち出した新成長戦略は、医療・介護の分野では規模の拡大、民間からの積極的参入で45兆円の新規市場と280万人の雇用を生み出す、と想定している」「産業育成に力を入れることは大いに結構なのだが、それを支える労働基盤があまりにも脆弱なのだ」

・「社会福祉法人が経営する特養は行政の要請に応じて作られるから、建設費に補助金が出る」「社会福祉法人には独立行政法人『福祉医療機構』が低利で融資してくれるし、県単位の社会福祉協議会が利子補給もしてくれる」「一方の有料ホームは、土地購入費、施設建築費、運営費のすべてを入居者からの一時金と月額管理費、事業体の借金で賄わねばならないから、それが料金に反映される」。

・「介護市場にも経済の原理が浸透し始めた。つまり、供給側の増加と競争が業界再編を促し、淘汰を繰り返すことで最終的には規模の論理が働いて集中と寡占へと向かうだろう」「産業基盤の環境変化を受けて介護施設、有料ホーム、在宅サービスの関係を整理統合して新しい介護サービス供給体を作り出そうという『第三の道』論が生まれている」「本来、介護保険法が制定され措置から契約関係となり、ビジネスモデルが一変した時に医療、老健、有料ホーム、在宅介護など、サービス供給体制も整理・統合し、再編成されるべきだったのである」「この中で、民間の介護サービスと公共性の強い特養を歩み寄らせ、低料金で安心を提供する『国民共有・介護の家』(新型特養)作りを目指すべきだと考える」。

・「社会福祉法人の経営形態を、より自由度の高い企業形態に変革することが必要になる。構想を具体化するうえで、鳩山内閣当時、『新しい公共』円卓会議で提案された『社会事業法人』というビジネスモデルが検討に値する」「有料ホームを経営する民間会社も社会事業法人に転換することで、『新しい公共』の一翼をにない、一定の優遇措置を受け、より使いやすい料金でのサービス提供が可能になる」

・「ただし制度改革といっても、人口減の続く地域では、そもそも民間企業の参入意欲が薄い。こうした地域においては、また低所得者へのセイフティーネットとしても社会福祉法人、従来型特養、養護老人ホームの機能と役割が残るだろう」「他方、一部の富裕な高齢者が介護保険の世話にならず、ハイグレードなサービスを求めて超高級老人ホームに入るのも自由である」「『国民共有・介護の家』が目ざすのは、その中間、都市圏、地方の中核都市で急増している年金収入額300万円前後の高齢者のための『安心の場』作りなのである」。

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JRで忘れ物をしたら――自分で必死に探そう!

 JRで、忘れ物をしたら――。
 情けないことだが、最近、相次いでJRで忘れ物をした。
 無事、回収できたのだが、いい勉強をしたので、その教訓を公開!

 本日。新宿から乗った中央特快高尾行きにケータイを忘れた。JRは各駅の電話番号を公開していないので、テレフォンセンター(050-2016-1601)に電話した。しかし、全国各地にいるオペレーターが対応するので、サービス水準はバラバラ。「間違いなく八王子駅にある」ことが分かってから、そう言っても、なぜか、確認できなかった。

 なぜ場所が分かったかというと、これはドコモの力。ドコモの忘れ物対応窓口(0120-524-360)に電話し、まず、不正使用されないようにケータイをロックしたが、その時に、ケータイの位置情報を調べてもらったところ、八王子駅にあるとのことだった。電車内かもしれないので、しばらく間をおいて、再度、調べてもらうと、やはり八王子駅。

 JRによると、「電話でその時、忘れ物が届いているか」という問い合わせはできても、正式な届け出は、駅でする必要があると言う。

 どうせ駅に届け出るならと、結局、八王子駅に行った。ケータイはあった。届け出をきちんとテレフォンセンターが受けて、情報を入力してくれれば、見つかっていたはずだ。テレフォンセンターは機能していない。


 恥ずかしいので、内緒にしていたが、JR山手線の網棚にショルダーバッグをおき忘れたまま、電車を
降りてしまったことがある。
 カバンを置いた車両も場所も駅の忘れ物担当に告げたのに、「混雑時だから、カバンを回収できない」と言う。
 しかたなく、乗ったと思われる電車と、その前後の電車の番号を教えてもらった。
 この番号は1周回るごとに増える。941Gならば、次は1041Gになる。これだけをわきまえて、少し、先回りして、電車を待った。
 カバンは山手線を1周回っても、網棚にあった。運が良かった。カバンは無事、手元に戻った。

 教訓:JRは、動きが悪いので、忘れ物をしたら、自分で頑張って探すしかない。

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